以前、マイナビニュースでもご紹介した、“友人が釣った高級魚を最高のシェフの料理でおすそ分けしてもらう”をコンセプトとする六本木のレストラン「リストランテ ペスカトーレ」が、第2号店として兵庫・神戸に「割烹 波勢(はぜ)」を2021年7月2日にオープン。開店日に先立ち行われた体験会で、絶品料理を味わいつつ、開店にあたっての思いを聞いてきた。

  • 器も盛り付けも綺麗な前菜を辛口の日本酒でいただいた

「割烹 波勢」の本店は、兵庫・神戸に店を構えて25年を迎える「日本料理 波勢」。新鮮な魚と地元の食材を活かした本格的な和食料理が楽しめることで、地元の方をはじめ、著名人も訪れ、人気となっている。「割烹 波勢」は、「日本料理 波勢」が提供する地元の新鮮な素材を使った日本伝統の料理と、釣りと食事を一気通貫で楽しめるリストンテ ペスカトーレの業態を融合させた“新時代の割烹店”。

  • 「割烹 波勢」入口の看板にはさりげなく「釣り人」の文字があった

お店の場所はJR三ノ宮駅西口・阪急電鉄神戸三宮駅東口より徒歩約7分、神戸市営地下鉄南出口より徒歩約7分で、駅周辺の喧騒からちょっと離れた静かな北野エリアにある。店内はカウンターと奥にテーブル席も有り。カウンターはヒノキの6mの一枚板、テーブルもイチョウの一枚板を使用。店内の花や盛り付けに使う葉などはオーナーの自宅から採ってきているのだとか。

「割烹 波勢」のルーツとなるレストラン「釣り人のためのシェフシェアリング“釣り人”」(2020年7月に「リストランテ ペスカトーレ」としてリニューアル)は、「大きな魚を釣っても、上手く捌けない」、「せっかく大量に釣れたのに食べきれない」といった、釣りを趣味としている人なら一度は感じたことがある悩みを解消したいとの思いから始まっている。会員制で、釣った魚を持ち込むことができ、さばいてもらった魚を持ち帰ることもできる「釣り人会員」(入会金20,000円/初月1,000円/2ヶ月目以降 月々5,000円)と、釣り人会員が釣ってきた美味しい魚を食べることができる「応援会員」(入会金5,000円/月々2,000 円)の2パターンとなっている。

料理長が釣ってきた鮮魚を、こだわりの日本酒と共に

この日は、「6,600円ディナーコース(ワンドリンク付き)」をいただくことができた。カウンターには、ヒレナガカンパチ、ホンカンパチ、オナガダイ、フウセンキンメ、ウメイロ、アオダイ、アカハタ、アカイサキと、この日のためにオーナー、料理長らが八丈島で釣ってきたという大きな魚がズラリと並んでいた。

  • 前日に八丈島で釣ってきたという、ヒレナガカンパチ、フウセンキンメ、ウメイロ、アオダイ、アカハタなどの高級魚

見るからに、市場ではかなりの高値が付きそうな魚ばかりだが、ディナーで6,600円というのはかなり安い。釣り人グループ代表の佐野順平さんによると、近年、釣ってきた魚を買う店舗や、釣った魚を買える通販などが世の中に出てきているが、この店のコンセプトはそうしたものと一線を画すものであり、あくまでも趣味で魚を釣った人や、その友人などコミュニティの中にいる人たちの代わりに調理をするサービスとして営業している。釣り人から魚を預かり、調理代と飲み物代をいただき低価格で提供しながら、漁業協同組合(漁協)とも良い関係を築いていきたいという。漁協の方には釣り人を良い漁場に案内してもらい、釣り人が何度も海に通えるようなフォローアップをすることで、漁協、釣り人、店の三位一体で釣りという趣味のサステナビリティを追求、実現することが、釣り人グループが掲げる理念だそうだ。

コースは金時草ひたし、もころし豆腐 新順才、オジサン南蛮漬などの前菜から。その見た目からそう名づけられているものの、結構高級魚な「オジサン」がさりげなく入っているところがさすが。美しい器に乗った料理はどれも丁寧な仕事ぶりがわかる繊細な味で、併せていただいた日本酒「花垣 超辛口 純米無濾過原酒」が進む。厳選されたお酒のラインナップにも注目で、魚料理とのマリアージュも楽しめるのがポイントだ。

  • オーナーさんが「日本酒の中で一番好き」とおすすめしてくれた「百黙」は兵庫県限定で流通している純米大吟醸。フルーティな香りと甘みにうっとりと酔いました

続いて出てきたお椀は、7月のオープンに合わせて七夕をイメージしたもの。お椀の蓋の裏には神戸の名所が描かれていた。一つひとつ違う絵柄で揃えているという。こんなところからもお店のおもてなしの心が伝わってくる。

  • お椀の蓋の裏には神戸の名所が描かれていて鉄道のカラフルな絵柄が。こうしたお店のおもてなしの心が嬉しい

お造りはこの土地ならではの、明石の鯛、蛸、そしてヒレナガカンパチ。蛸は明石沖で前日に釣ってきたそうで、新鮮でコリコリした歯応えが絶品。さっぱりした梅肉がとても合う。鯛も身が締まっており味が濃い。芽ネギを包んだヒレナガカンパチも脂が乗っていて美味。続いてオナガダイ西京焼き、アオダイ黄身煮と、色んな魚を割烹ならではの調理で味わえた。

  • 明石の鯛、蛸など、地元ならではの新鮮さも味わえる

  • 脂の乗ったヒレナガカンパチは芽ネギを包んで

  • コリコリした食感の蛸はさっぱりした梅肉ソースで

後半で印象に残ったのが、相生アサリ、丸茄子、アスパラ、ミニトマトなどが入った強肴(しいざかな)。丸茄子を炊くのに干し海老を使っており、そのスープをそのまま使い、その中に入れたアサリの旨味と相まって、極上のスープになっていた。食事は、明石鯛飯を赤出汁と共に。鯛の骨を焼いて出汁を摂り炊いているそうで、お米1粒1粒にしっかりと味が染み込んでいて上品な美味しさだった。最後はデザートにメロンとさくらんぼをいただいて、大満足。ごちそうさまでした!

  • アサリと干し海老の旨味が極上だった「強肴」の一品

  • 鯛飯と赤出汁でお腹はしっかり満足!

釣り人グループのとしては、今後は関東だけでなく、関西にもコンセプトを広めていきたいという。周辺地域には海釣り公園もあるが、決して釣果が大きな高級魚じゃなくてもOK。会員になり釣った魚を持ち込めば、料理長の職人技で絶品な和食を味わうことができるので、地元の釣り好きな人にも是非一度足を運んでもらいたい。

●information
「割烹 波勢」
兵庫県神戸市中央区山本通 1 丁目7- 5 北野メゾンブランシュB1
営業時間:11時30分~14 時30分 / 17 時~ 22 時
休:水曜日・隔週火曜日