3代目の「ワンダーシビック」を範とし「爽快」なデザインを採用したというホンダの新型「シビック」(通算11世代目)。では、性能や安全装備、純正アクセサリーなどの詳細はどうなのか。事前取材で確認してきたので、開発責任者の言葉も交えつつお伝えしたい。

  • ホンダの新型「シビック」

    ホンダの新型「シビック」

6MTを搭載!

ホンダの「シビック」は次の新型で通算11世代目。パワートレインは排気量1.5Lの直列4気筒VTECターボエンジンのみのスタートで、トランスミッションはCVTと6MTが選べる。

  • ホンダの新型「シビック」

    新型「シビック」のボディタイプはハッチバックのみ。グレードは「EX」とLX」の2種類だ

最高出力134kW(182PS)/6,000rpm、最大トルク240Nm/1,700~4,500rpmを発生するエンジンは、トルクオンデマンドの最適化と高効率ターボチャージャー、4-2エギゾーストポート・シリンダーヘッドなどを採用。CVT仕様では最大トルク発生回転域の全てで20Nmのトルクアップを果たしている。2022年には「e:HEV」と「タイプR」の2モデルを追加するとのことなので、電動化やハイパワーモデルを望む向きには、もう少し待つ時間が必要になる。

  • ホンダの新型「シビック」

    新型「シビック」が搭載する1.5Lの直列4気筒VTECターボエンジン

CVTはブレーキ操作時のステップダウンシフト制御や全開加速時のステップアップシフト制御を取り入れ、特有のラバーバンドフィールを払拭。アクセルペダルの踏み込みとエンジン回転数、車速がリンクすることで、ドライバビリティと音と加速の一体感に磨きがかかったという。

シフトレバー下側にはドライブモード選択スイッチがあり、「ECON」「Normal」「SPORT」の3つが選べる。SPORTモードと小ぶりなパドルシフトを駆使すれば、スポーティーな走りが楽しめそうだ。

  • ホンダの新型「シビック」
  • ホンダの新型「シビック」
  • シフトレバーの下にはドライブモードを選べるスイッチが

6速マニュアルトランスミッション(MT)が先代に引き続き搭載されたことも嬉しいニュースだ。開発責任者の佐藤洋介氏によると、「10代目シビック(現行モデル)のデビュー時には、3割以上のお客さまにMTを選んでいただいた」とのこと。昔からのシビックファンは、やっぱりMTでこれに乗りたいと思っているのであろう。「ミッションはショートストロークで剛性感のあるシフトフィールを実現していて、操る楽しさを追求しました」とは佐藤さんの解説。エンジンからの振動やギアの騒音を低減するデュアルマスホイールも、先代に引き続き採用している。

  • ホンダの新型「シビック」
  • ホンダの新型「シビック」
  • 6MTのシフトノブ(左)。ステアリング下にはMTのABCペダルが見える(右)

進化した「ADAS」にアクセサリーも多数

開放的なグラッシーキャビンと薄く軽快に見えるボディを組み合わせた新型シビックの車体は、アルミや高ハイテン材を多用し、構造用接着剤を現行型に比べ9.5倍もの長さで使用することで、ねじり剛性が19%向上。35mm長くなったホイールベースと12mm広くなったリアトレッドにより、ハンドリングと乗り心地がレベルアップしているという。

  • ホンダの新型「シビック」

    アルミや高ハイテン材を多用した新型「シビック」

現行モデルで少し気になったロードノイズに関しては、タイヤやエンジンなどの音源からボディに音が伝わる経路を改善。タイヤの共鳴音を消すノイズリデューシングホイールを採用するとともに、防音材と吸音材を適した場所に使用することで、会話やエンタテインメントを楽しめる車内空間を実現したとする。

  • ホンダの新型「シビック」
  • ホンダの新型「シビック」
  • 左が「EX」、右が「LX」のホイール

「ADAS」(先進運転支援システム)はフロントカメラに100度の広角カメラ(現行モデルは50度)を搭載。認識技術が向上したことで、白線や縁石などの道路境界、車両、人を正確に認識するとともに、ターゲットまでの距離と横位置が計測できるようになった。

  • ホンダの新型「シビック」

    フロントガラスの中央上部に広角カメラを搭載する

ステアリングと車間をアシストするトラフィックジャムアシストは0km/hから作動するので、高速道路での渋滞時にもしっかりと対応。佐藤氏は「誰でも、いつでも、安心して使える心の通った運転支援ができる」ものになったとし、性能については「欧州の上級モデルが採用するものに負けない」と胸を張る。

「EX」グレードのヘッドライトにはミドルビームを搭載したアダプティブドライビングビームを採用。10km/hまではロービーム、10~30km/hはミドルビーム、30km/h以上はハイビーム、街灯などが多い市街地に入るとミドルビームに切り替わるので、対向車に配慮しつつも運転者は歩行者が見つけやすくなり、さらに歩行者の眩惑をも低減した配光が可能になった。

  • ホンダの新型「シビック」

    「EX」が採用したアダプティブドライビングビームヘッドライト

事前取材の会場にはブルーに塗られた純正アクセサリー装着車も展示されていた。コンセプトは「ふたりのための上質なクーペ」で、エクステリアではフロントロアースカート、ブラックのドアミラーカバーとエンブレム、サイドバイザー、マッドガード、テールゲートスポイラーを装着。ホイールは「EX」のダーク切削クリア、「LX」の切削クリアの18インチに比べ、より精悍なデザインとなる「MS-038型アルミホイール」を履いていた。

  • ホンダの新型「シビック」
  • ホンダの新型「シビック」
  • プレミアムブルーメタリックの純正アクセサリー装着車

インテリアでは、ホワイトとレッドの2色から選べるLEDのフットライト/シートアンダーライト、センターコンソール/ドリンクホルダーイルミネーション、インナーハンドル/ドアポケットイルミネーション、ドアを開けた際にシビックロゴが足元を照らすパターンプロジェクター、ユーロホーンなどが用意されている。