――やはり、食べることがお好きだからですか。

そうです! 今回撮影をした京都でも、街を歩きながら「現在地検索」して近くにどんなお店があるのかをチェックしていました。口コミが多いと「大衆的な人気があるのかな」と想像したり、少ないと「ちょっと高級なお店なのかな」と予算を覗いてみたり。お店が勧めているメニューを確認して参考にすることもあります。

――「食べログ」で、いい出会いも?

ありますね。でも「食べログ」上では口コミや点数がついていない、自分の嗅覚で入ったお店に「行った」ボタンを押す快感もたまらない。僕は「食べログ」に関しては、月に400円払っていますから。

――有料会員でいらっしゃるんですね!

食べログだけは有料会員です。ロケに行ったときも、「現在地の300メートル/500メートル」で検索して「この辺りにはどんなお店があるのか」を必ず調べます。今はなかなか旅にも行けませんが、旅やロケでどこかに行ったときに「今ここでいかに美味しいものが食べられるか」を知るために、有料会員になりました。

今回は残念ながら共演者の誰とも食事はできなかったのですが、差し入れには毎回違う京都のお菓子を用意して。僕がキャスティングされた理由はこれだと思っているので(笑)、命をかけて頑張りました。

――皆さんの反応はいかがでしたか。

堀内敬子さんが「これを糧に頑張っている」と言ってくれました。事前に「次はこんな差し入れができそう」と予告をしたときは、いつもより減るのが早かったです。京都のスタッフの方から「このお店は知らなかったです」と聞くと、密かに「やった!」と。

――「知らなかった」というお言葉も、やはりうれしいものですか。

特に地元・京都のものは日頃からアンテナを張っているので、同じ京都の方にそう言われると「おっ! そうですか! 知らなかったですか!」とうれしくなっちゃいます(笑)。京都だと弟の交友関係にも頼り、協力を仰ぐこともあります。

――地元ならではの、心強い協力体制ですね。では最後に、そんな“人とのつながり”についてお伺いします。今作では、福原遥さん演じる古宮山絆(こみやま きずな)の名前についてのお話も登場します。コロナ禍で世の中的に「絆」というワードを目にする機会が増えたのではないかと思いますが、佐々木さんがこの1年で「絆」について考えたことがあれば教えてください。

昔はインターネットを介する絆なんて存在しない、そんな関係性は浅いという考えがあったと思いますが、今はビジネスの場でも、名刺交換せず、一度も対面せずリモートで終わる仕事もあると聞きます。対面で何かをするのが難しい時期ということもありますし、リモートでも「ちゃんとつながることができる」と信じてやっていかなければいけない。

僕は今回たまたま京都で撮影だったので家族にも会えましたが、オンライン帰省であったとしても、絆は変わらずに確かめられるもの。離れていても、人とつながっていることのありがたさを感じられる機会になったなと思います。

■佐々木蔵之介
1968年2月4日生まれ。京都府出身。神戸大学在学中から劇団「惑星ピスタチオ」で活動し、NHK連続テレビ小説『オードリー』(00年)で注目を浴びる。映画『空母いぶき』(20年)で第43回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。近年の出演作にNHK大河ドラマ『麒麟がくる』、ドラマ『ミヤコが京都にやって来た!』、映画『記憶屋 あなたを忘れない』など。映画『峠 最後のサムライ』、『科捜研の女 -劇場版-』の公開を控えるほか、自身が立ち上げた演劇ユニット・Team申(チームさる)では、7月より全国8都市で舞台『君子無朋(くんしにともなし) ~中国史上最も孤独な「暴君」雍正帝~』を上演予定。