取材の音声を録音するため、ペンタイプのレコーダーを置くと「喋った言葉を文字に起こしてくれるものですか」「AIの再現度はどうですか」と、作品の世界観を彷彿とさせるような言葉をかけられた。俳優・佐々木蔵之介がテレビ朝日系新木曜ミステリー『IP~サイバー捜査班』(7月1日スタート、毎週木曜20:00~ ※初回2時間スペシャル、放送後TELASAでも配信)で挑戦するのは、サイバー犯罪に立ち向かう“超デジタル人間”の刑事だ。

自ら「超がつくほどアナログ人間」と名乗り、今回の役どころに「格闘した」と苦労をにじませる佐々木のアナログぶりを掘り下げていくと、唯一のデジタルを駆使した趣味、そして“美食家”ぶりが浮かび上がってきた。

  • 俳優の佐々木蔵之介=テレビ朝日提供

    俳優の佐々木蔵之介=テレビ朝日提供

――『IP~サイバー捜査班』で演じる「サイバー総合事犯係」主任刑事の“超デジタル人間”安洛一誠(やすみや いっせい)という役どころへの苦労を教えてください。

僕自身、スマホで文字を打つにも“シュッシュ(フリック入力の仕草)”ではなく、“あ・い・う・え・お……(トグル入力の仕草)”ですし、デジタル機器をロクに使いこなせていない人間。台詞の中に出てくる「アルゴリズム」や「アカウント」を改めて調べ直したりして、それはもう格闘しました。また、イジメのように台詞量が多い(笑)。宿泊先から撮影所まで、京都の街並みを見ながら1時間半くらい歩いて、呪文のようにブツブツ唱えて覚えました。

でもIT用語がたくさん出て来るのは、あくまで“超デジタル人間”というキャラクターを際立たせるため。登場する事件は身近な題材ですし、ドラマとしてはとても分かりやすく仕上がっているので安心して楽しんでいただけます。

――佐々木さんは“超アナログ人間”とご自身で仰っていますが、このデジタル時代にそういられるのは、逆に難しいようにも感じます。時代に流されず“超アナログ人間”でいるための信念はあるんでしょうか。

“超”と言っちゃうと「どこまでやねん」と思われそうで、本当に“超”と名乗っていいのか自信がなくなってきますね(笑)。「流されないように」と努めてはいませんが、昔から取扱説明書は読まないタイプでした。読まなくてもできる範囲の機能しか使わない。「オプション機能」のようなものにはまったく興味がありません。

スケジュールもプリントアウトして紙で見ますし、台本も紙で読みます。現場で「50ページを開いてください」というときに、監督の1人がタブレットで1ページずつスクロールしていたんですけど、それを見て「50ページまでいくの時間かかるよね? こっちのほうが断然速いけどね!」って心の中で思ったり(笑)。

――「アナログのほうがいいところはたくさんあるぞ!」と。

今はニュースもネットで読めますけど、やっぱり新聞ですよ。ネットで何かを見ると、すぐ「この人はこういうのが好きなんだな」と決めつけられてしまうので、敢えて興味のあるニュースをクリックしなかったり、興味のないニュースをクリックしたり(笑)。新聞で、自分の読みたいニュースを選んで読むのが好きです。

――ちなみに、弊社もネットニュース媒体なので……それは申し訳ないです(笑)。

あっ!(笑) すみません、すみません!(笑)。

――こちらこそすみません(笑)。差し支えのない範囲でお伺いしたいのですが、スマートフォンのアプリもあまり使われないのでしょうか。

使わないですね。唯一、めちゃくちゃ使っているのは「食べログ」です。