黒木といえば、テレビでも脇毛を披露し、お茶の間にも強烈なインパクトを残した女性だ。前作が配信されるや、森田の演じた黒木の話し方や雰囲気、微妙な仕草まで「本人とそっくり」と話題に。森田は「もちろん話し方や見た目も大事にしましたが、テレビに出演しているときの黒木さんは、本当の黒木さんではなく、仮面をかぶった姿であり、その内側こそ大切な部分」とキッパリ。

研究する中で、森田が黒木に対して抱いた印象とは「私と同じように、実はごく普通の女性。そして頭がよくて、しっかりとした常識を持っていて、倫理観もある」というもの。「私自身、黒木という役を通して、性や愛に対していろいろな気づきがありました。例えば『女性が裸になることは、どうして恥ずかしいのか』と考えても、実際の黒木さんの話していることや資料を読んでいると、『周りがそう思っているから、という理由もあるのではないか。私には、その問題の本質がちゃんと見えているのだろうか?』と思わせられる。知的で、とても魅力的な女性だと思います」と語る。

森田がたくさんの愛情を注いだ黒木という役は、彼女にとって数々のチャレンジをさせてくれた存在だ。とりわけ前シーズンでの美しくも大胆な濡れ場は、視聴者の度肝を抜いた。森田は“脱ぐこと”に対して、当初は「偏見を持ってしまっていた」と明かす。

「シーズン1の時にスタッフと共に役作りのためストリップを観に行ったんですが、なぜこんなにきれいな方たちがストリップを……と悲観的に考えてしまったんです。でも彼女たちは、自分の仕事として、堂々とステージに立っている。また、またAV女優というお仕事が本当に好きで、誇りに思ってやっている方たちとご一緒して、これまでの自分の考えがいかに狭かったのかと、恥ずかしく思いました」と吐露。さらに「武(正晴)監督が、そのシーンのリハーサルを全力でやってくださって。武監督のものづくりにかける情熱を見たときに、“脱ぐ、脱がない”といった悩みはどうでもよくなった。『なぜ私は、ここで躊躇しているんだろう。なぜ恥ずかしがっているんだろう』『武監督の思いに応えたい!』と吹っ切ることができました」と清々しく語る。

シーズン2でも、撮影現場の熱気をたっぷりと吸収した。森田は「シーズン2での黒木は、苦しい思いをたくさんします。でも武監督は『人って、悲しいときに、本当に悲しい顔をするのかな?』という問いかけをしてくださった。たしかに人間って、辛いところは見せなかったり、そんなときでも『大丈夫』と言ってみたり、むしろ笑顔を見せたりするもの。武監督は、感情の深いところまでを表現する大切さを教えてくれました」。また村西役の山田については、「ただでさえたくさんあるのに、山田さんは、ものすごい量のセリフを付け足していくんです」とにっこり。「本当にすごいです。村西の熱量が、山田さんご自身のお芝居に対する熱量と重なります。コロナ禍という状況で、『私は、なんてありがたい現場にいるんだろう』といつも幸せを感じていました」と喜びを噛み締める。