民間企業では、6月下旬~7月上旬ごろに支給される夏のボーナス。国家公務員の場合、夏のボーナス支給日は6月30日と法律で定められており、地方公務員もその決まりに基づいて支給されます。では、公務員の2021年夏のボーナス支給額は、平均でどのくらいなのでしょうか。

  • 2021年、公務員の夏ボーナス平均支給額はいくら?

    2021年、公務員の夏ボーナス平均支給額はいくら?

■2021年公務員の夏のボーナスは?

新型コロナウイルスの影響も気になる2021年夏のボーナス。公務員の平均支給額は、どのくらいなのでしょうか。三菱UFJリサーチ&コンサルティング「2021年夏のボーナス見通し」によると、国家公務員の2021年夏のボーナス(期末・勤勉手当)の平均支給額は66万1,100円、前年比2.8%減と予想されています。

夏のボーナスの減少は、東日本大震災後に復興財源の確保を目的にボーナスが切り下げられた2012年以来、9年ぶりのことです。今回、夏のボーナスが引き下げられる見通しとなった理由は、職員の低年齢化によって平均額が抑えられたことと、給与法で支給月数が年間0.05カ月減少となったためです。

一方、地方公務員の平均支給額は、どうでしょうか。地方公務員のボーナス支給額は、国家公務員の支給実態に合わせられるところがほとんどです。みずほ総合研究所「2021年夏季ボーナス予測」によると、公務員(国+地方)の1人当たりのボーナス平均支給額は、73万1,290円と、前年比1.6%減となりました。2019年夏、2020年夏はいずれも前年比増でしたが、ここへ来て減少に転じた形となります。

■過去のボーナス支給額の推移は

では、過去のボーナス支給額と比べると、どのような変化があるのでしょうか。先ほど紹介した今年2021年の夏ボーナスの予想額と、2016年~2020年の夏と冬のボーナス平均支給額を、下記にまとめてみました(全て国家公務員。管理職および非常勤を除く一般行政職)。

<夏のボーナス※1>
2021年 66万1,100円 前年比2.8%減
2020年 68万100円 前年比0.1%増
2019年 67万9,100円 前年比3.9%増
2018年 65万2,600円 前年比2.1%増
2017年 64万2,100円 前年比1.6%増
2016年 63万100円 前年比1.6%増

※1 : 前年比率は著者にて計算

<冬のボーナス※2>
2020年 65万3,600円 前年比5.0%減
2019年 68万7,700円 前年比3.1%減
2018年 71万円 前年比0.6%減
2017年 71万4,400円 前年比1.4%増
2016年 70万4,800円 前年比1.7%増

※2 : 内閣官房内閣人事局 報道資料より

まず、夏のボーナスの推移を見てみると、2020年までは前年比増となっていたボーナスですが、今年2021年は減少へと転じています。先ほどもあったように、国家公務員の夏のボーナスが減少するのは、2012年以来9年ぶりのことです。一方、冬のボーナスは、2018年以降は減少が続いており、2020年については、前年比5.0%減と大きく減っていることがわかります。

とはいえ、景気や業績の影響を大きく受ける民間企業のボーナスと比べれば、公務員のボーナスは安定的に支給されていると言えるでしょう。前年比で減少といっても、大幅なマイナスとはなっていません。ただし、公務員のボーナスには、民間企業の給与やボーナスの支給実績が反映されています。公務員の2021年夏のボーナスは、2020年の給与法改正により決定されましたが、これは、2019年8月から2020年7月の民間企業のボーナス支給額などが反映されたものなのです。

つまり、コロナ禍による民間企業の給与やボーナス減は、公務員のボーナスにはまだ反映されていない状況です。コロナによる民間企業の業績悪化が公務員のボーナスにあらわれるのは、これからです。次回の公務員のボーナス支給額は、さらに減少するものと予想されています。

■公務員のボーナスはどうやって決まる?

公務員のボーナスには民間企業の支給実績が反映されていますが、もう少し具体的に見ると、以下の3点と比較したうえで、国家公務員のボーナス金額が算出されています。

・国家公務員の4カ月分の給与
・民間企業(企業規模50人以上などの条件あり)の4カ月分の給与
・民間企業の前年8月からその年の7月までに支給されたボーナス金額

なお、比較対象となる給与は、業種や役職階級、学歴、年齢などが同じ条件のものです。また、民間企業の基準に合わせて国家公務員の給与水準が改定され、俸給制度や諸手当制度の見直しも行われています。

これらの調査結果をもとに、国家公務員の給与を民間企業の水準に合わせるよう勧告しているのが「人事院勧告」です。そして、人事院勧告の結果により給与法が改正され、国家公務員の給与やボーナスが決まっているのです。

一方、地方公務員のボーナスは、多くの場合、国家公務員のボーナスに準じて決定されています。しかし、都道府県や市区町村、または政令指定都市など、所属している自治体により、ボーナスの支給時期、算定方法は異なります。

■比較的安定している公務員のボーナス

公務員のボーナスは、民間企業の支給実績が反映されています。しかし、民間企業のように、業績悪化で支給額が大幅に減ったり、「ボーナスなし」の憂き目にあったりすることはありません。コロナ禍にあっても、給与やボーナスなどにおいて、比較的恵まれた環境にあると言えるでしょう。ただし、公務員のボーナスにコロナの影響がおよぶのは、これからです。民間企業の支給状況とともに、公務員のボーナスについても、引き続き注視していきたいところです。