ビジネスパーソンであるならば、タスクフォースという言葉は頻繁に耳にするでしょう。ドラマ『半沢直樹』の半沢も、ドラマの中で立ち上げていましたね。

タスクフォースとは本来、アメリカの軍隊用語です。それがビジネスシーンで使う際は、どのような意味をもつのでしょうか。

本記事ではタスクフォースという言葉について、ビジネス用語としての意味や目的、うまく機能させるポイントなどを解説します。正しく理解できれば、仕事にも活かせるかもしれません。

  • タスクフォースとはいったい何なのか

    タスクフォースとは何を指すのでしょうか

タスクフォースとは

タスクフォースはもともとはアメリカの軍隊用語で、「特別編成部隊」や「機動部隊」などの意味をもちます。

ビジネスシーンでのタスクフォースの意味

ビジネスシーンにおけるタスクフォースとは、新規事業の立ち上げや緊急のトラブル対応などの目的で、一定の期間に限って収集されるチームを指します。収集されたメンバーは日常業務とは別に、タスクフォースの業務にあたることになります。

メンバーは各部署から集められ、普段なかなか接点のないメンバーとともに業務にあたります。そして無事に目的が果たされた際にはタスクフォースは解散します。

タスクフォースの役割

それでは、タスクフォースの役割とは何でしょうか。

タスクフォースはスピードが求められる新規事業の立ち上げや、緊急性の高いトラブルが起きてしまったときに立ち上がります。集められるメンバーは、各部門から専門知識をもった精鋭たちです。社外の専門家を招集する場合もあります。

人事や職務に関する権限はタスクフォースリーダーに委ねられることが多く、スピード感をもって業務が遂行されます。また専門の異なる社員が同じ目的のもと一堂に会することで、活発なコミュニケーションが生まれるでしょう。つまりタスクフォースの役割は、会社全体の生産性を上げることです。

タスクフォースとプロジェクトチームの違い

タスクフォースと似た言葉に「プロジェクトチーム」があります。意味はほぼ同じですが、どちらかというとタスクフォースは緊急性の高い事案に対して、プロジェクトチームは中長期的に取り組む事案に対して使われる傾向にあります。

タスクフォースとワーキングチームの違い

ワーキングチームも、ある特定の問題の調査や計画遂行のための作業班という意味で、タスクフォースと意味はほぼ同じです。しかしここでも事案の緊急性の違いがあり、タスクフォースに比べるとゆるやかに課題解決にあたるチームを指す傾向にあるようです。

タスクフォースとクロスファンクショナルチームの違い

クロスファンクショナルチームは「CFT」とも呼ばれ、組織を横断して特定の事案にあたるという点で、タスクフォースとほぼ同じ意味です。違う点をあげるとすれば、正式な部署として設置されることもあるという点でしょう。

  • タスクフォースとはいったい何なのか

    似た意味の言葉も覚えて、ボキャブラリーを増やそう

タスクフォースのメリットとデメリット

タスクフォースとは何なのかを解説してきました。それではタスクフォースのメリットとデメリットは何でしょうか。

目的が明確

新規事業の立ち上げやトラブル解決など、ゴールが明確です。そのために何が必要で何が足りないかなど、ゴールまでの道筋を立てやすくなります。

人材を集めやすい

目的が明確なため、そのためにどんなスキルや経験をもつメンバーがふさわしいのかも明確になります。場合によっては社外の専門家を招集することもできます。

コミュニケーションが円滑になる

部門を超えて横断的にメンバーが集められるので、活発なコミュニケーションが生まれ、組織としてのコミュニケーションも円滑になることが期待されます。

今まで関わりのなかった人と同じ目的に向かって業務を行うことで、連帯感が生まれ、新しいアイデアが生まれるかもしれません。他部門への理解を深めるのにも最適です。

サポート体制が脆弱

どの部門にも属さない独立したチームのため、何かトラブルがあった際のサポート体制があまり整っていません。

スキルや経験が共有されにくい

タスクフォースはゴールにたどり着いた時点で解散となります。そのため、タスクフォースとして培ったスキルや経験を、社内で共有して次へ活かすという体制が整いにくい状況にあります。

対立の火種になりかねない

タスクフォースに見合うスキルをもったメンバーを選びやすい一方で、その選び方によっては対立を生んでしまうこともあります。メンバーを決める際は、配慮が必要です。

  • タスクフォースのメリットとデメリット

    タスクフォースのメリットとデメリットを把握しよう

タスクフォースの効果的な進め方

メリットとデメリットを抑えたところで、効果的なタスクフォースの進め方を見ていきましょう。ぜひ、実務で役立ててください。

課題と日程を明確化する

大切なのは、ゴールをどこに設定するかです。いつまでに、何をしなければならないのかをどこまで具体的に示せるかで、メンバーのモチベーションも変わってきます。また、ゴールへ向かう現在地を知ることで、メンバー間の連帯感も生まれるでしょう。

適したメンバーを集める

ゴールのために、どんなスキルが必要なのかをリストアップして、それに見合う人材を選びます。タスクフォースの課題によっては、日常の業務は一時中断せざるを得ないこともあるでしょう。人事部や部門長との調整は慎重に行う必要があります。また人選はデリケートな問題です。対立が生まれないよう、工夫して進めましょう。

PDCAに沿って業務を行う

ゴールが決まりメンバーがそろったら、PDCAに沿って業務を開始します。PDCAとは基本的な業務の行い方で、以下の通りです。

Plan(計画)…業務の計画を立てる
Do(実行)…計画に基づいて実行する
Check(評価)…実行した業務を確認して評価する
Act(改善)…評価を分析し、改善して次の計画設定に役立てる

社内のノウハウとして蓄積する

タスクフォースとして目的を完遂し解散したらそこで終わり、というわけではありません。タスクフォースで培った経験やノウハウが蓄積され社内に共有されれば、組織がより強固なものになり、今後に役立てることができます。どのように共有されるべきか、考えておくことも大切です。

  • タスクフォースを効果的に作るためには?

    解散後もノウハウが蓄積されていれば、組織はより強固なものに

タスクフォースの成功事例

それでは、タスクフォースを導入して成功した事例を紹介します。

有名なところでは、マクドナルドの事例があります。マクドナルドではサービスの品質向上のために、お客様対応に関するタスクフォースを立ち上げたという事例があります。社会的な信頼を得るために社会情勢に詳しい専門家を外部からも招致し、問題解決にあたりました。

また、日本政府が国内の人口減少問題などの解決にあたるため、専門家などを招いてチームを立ち上げていますが、これもタスクフォースといっていいでしょう。

  • タスクフォースが成功した事例について

    企業だけでなく日本政府も導入しています

緊急性の高い課題はタスクフォースで解決!

タスクフォースについて解説してきました。緊急性の高い事案に対して、それ相応のスペシャリストを集めゴールを目指すのがタスクフォースです。

目標設定やメンバー選定などは慎重に行う必要がありますが、タスクフォースとしてきちんと機能すれば、迅速な対応や活発なコミュニケーションにつながり、組織として大きな強みとなります。

タスクフォースについて理解を深め、明日からの仕事に活かしましょう。