仕事に慣れるためや、そのクオリティを高めるためによく使われる方法としてロールプレイング(ロープレ)があります。中にはその必要性を疑問視する声もあるようですが、目的をはっきりさせて適切な方法で取り組めば効果は見込めます。
ただし、ロープレと一言でいってもやり方はさまざまで、どのようなものを行えばいいのか適切な選択ができないケースもあります。そこで本記事ではロープレの意味や使い方、メリット・デメリットなどを解説します。
ロープレとは
ロープレとは、「ロールプレイング」の略で、日本語では予行練習のことをいいます。まずは、ロープレの意味や目的などについて解説します。
ロープレの意味
「ロープレ」は英語の「role(役割)」と「playing(演じる)」をカタカナ語にして組み合わせた言葉で、「ロールプレイング」の略語です。 日本語訳としては「役割演技」などが用いられますが、実際のところは「予行練習」という意味合いが強いです。
ロープレの目的
ロープレをする目的は、スキルアップのためです。職場や現場で体験するであろう場面を想定し、その中で営業や応対を実際のケースに近づけた形で演じることで、課題を明確化し業務に役立つスキルをアップさせます。
業界別ロープレ
ロープレの数は業界と同じ数以上ありますが、今回はその中から代表的なロープレを紹介していきます。
■接客ロープレ
接客ロープレとは販売員役とお客様役を設定して、実際に販売員としての動きをロールプレイすることです。実際の接客販売を想定して、販売員がお客様にどうアプローチをするのかをテストしたり、練習したりします。
■営業ロープレ
営業ロープレとは、現場を想定した提案ロープレのひとつです。ここでは自社や自社サービスの紹介、顧客の課題をヒアリングし、具体的な解決方法などを説明したうえで自社サービスを提案できるかといった実際の営業業務の演習を行います。
■研修ロープレ
研修ロープレとは、新入社員が実際に実務に入る前に行う研修型のロープレです。新卒の配属先やポテンシャルを見極めたり、チームでのコミュニケーションを促したりするために行います。同時に、社会常識や社内規範、マナーについても学習する機会になります。
■コールセンターロープレ
コールセンターロープレとは、コールセンターに勤める人が実際の電話を想定し行うロープレのことです。お客様から実際の電話がかかってきたかのように行うことで、そのオペレーターの現在のスキルや課題点を明らかにし、改善につなげることを目的として行います。
実際に顧客へ対応する方の経験値は積めますが、予行演習だからこそ冷静に自分の強みと弱みを判断できたり、新たな提案の仕方などを試したりすることができます。現時点よりもさらに上のスキルを求める際に効果的と言えるでしょう。
ロープレの種類
ロープレには大きく分けて3つの形式があります。それぞれに特徴が存在し、状況に応じたロープレを行わなくてはなりません。
ケース型ロールプレイング
ケース型ロールプレイングとは、特定の状況を細かく設定し行うロープレのことです。顧客の業種や立場、課題などの条件を細かに決め、実際の商談により近づけてロープレを実施します。ロープレ実施後には、営業側の対応やトーク、クロージングに関しての評価を上司が行い、フィードバックをすることで自分の課題や状況を再認識できます。
問題解決型ロールプレイング
現状生じている問題や、過去に生じた問題を実際に取り上げる形式を問題解決型ロールプレイングといいます。問題を解決するための考え方やそのためのスケジューリング、役割分担などが求められ、最後に実際の対応を確認することで実体験と比較して課題を見つけます。
グループロールプレイング
グループロールプレイングとはグループごとに分かれ、役割を交代しながら行う形式のことを指します。立場を入れ替えながらロープレをすることで新たな気づきを得ることができるでしょう。また、経験値が少ない者同士がお互いを評価し合うことで、上司や講師に言われるよりもストレートに課題を受け入れやすいというメリットがあります。
ロープレのメリット
ここではロープレを行うことで得られるメリットを3つ紹介します。
短期間で効率的にスキルを習得できる
まずは、限られた時間の中で効率的にスキルを習得できるという点が挙げられます。ロープレでは、実際に経験しやすいケースに合わせた訓練を行うため、限られた時間で効率的に能力が伸び、スキルを習得できます。
個人の課題を洗い出せる
個人の課題を細かく洗い出せるということもロープレのメリットです。ロープレでは実際に起こりうる状況に合わせて練習をするため、個人の課題が細かい所まで見えやすい状態となります。そのため、実際にお客様の前で仕事をするよりも先に個人の弱点を克服しやすくなります。
話すことに慣れる
繰り返し話す練習をすることで、商品についての知識をインプットできます。本番で「お客様を前にすると緊張で頭が真っ白になってしまった」という事態を避けるためにも、ロープレを通じてまずはたくさん練習を行い、堂々と話せるようになることが大切です。
ロープレのデメリット
実際の業務に即した動作を行うことで、実践的なスキルを養えるロープレですが、やり方によってはデメリットが生じる可能性もあります。ロープレをより効果的に行えるよう、デメリットもあわせて確認しておきましょう。
緊張感が薄れがちになってしまう
日頃から顔を合わせている者同士で行うロープレでは、緊張感が薄れてしまうことがデメリットとして挙げられます。店舗ごとや部署ごとなどの小規模な組織において、毎回同じメンバーでロープレを行うと、慣れが生じて緊張感に欠ける雰囲気になってしまうことがあります。実際の業務の場のような雰囲気作りができなければ、ロープレの効果を実感することは難しいでしょう。
新たな課題を発見しにくい
毎回ロープレの内容や形式が同じだと、新たな課題を見つけにくくなる可能性があります。必要に応じてロープレの内容や方法を見直し、参加者の新たな面が見えるように工夫しなければなりません。そうすることで、新たな課題の発見につながるのです。
さらに、自分自身の課題に気づくためにビデオ撮影を行うという方法もあります。ロープレを撮影し、自分の姿を客観的に見ることでロープレの効果をより高められるでしょう。
ロープレを成功に導くコツ
ロープレをより価値のあるものにするためにはいくつか押さえておきたいポイントがあります。ここでは営業ロープレをするにあたり大切な要素を紹介します。
■ロープレは3人以上で実施する
提案する側・される側の2人でロープレを行うと、その内容を客観的に評価・判断できる人がいないことになります。第三者目線での俯瞰的な視点を持たせるためにも、提案する側・される側とは別の人間を交えてロープレを行うようにしましょう。
■ロープレ中は動画を撮影してフィードバックに役立てる
ロープレ終了後に第三者から自身のロープレ内容に関するフィードバックを受けた際、「そんなことを本当に自分がしていただろうか?」と感じる方もいらっしゃるはずです。そのようなときに動画があると便利です。自分が演じている姿を自分自身で可視化することによって、「確かに指摘されたとおりになってしまっている」と納得ができ、改善につながりやすくなるからです。
ロープレを実際に活用してみましょう
本記事ではロープレの意味や使い方とメリット・デメリットなどを説明してきました。ロープレは主に新卒や中途採用などに新しいノウハウを教える目的や、基礎知識をしっかり実務で応用できているか能力を評価するときに行われます。
もしあなたがロープレを用意する側、もしくはロープレを受ける側だった場合、目的に適したロープレの内容になっているか確認しておくといいでしょう。