「お世話になりました」は退職・転職や異動、年末の挨拶などでよく使われる、感謝の気持ちを表す言葉です。

本記事では「お世話になりました」を使ったビジネスメールの例文や正しい使い方について、場面ごとに紹介。目上の人に使える敬語なのかや注意点、言い換え、英語表現もまとめました。

  • 「お世話になりました」の意味

    「お世話になりました」の意味と使い方を覚えて、感謝の気持ちをスマートに表現しましょう

「お世話になりました」の意味とは

「お世話になりました」は「世話になる」を丁寧に表した表現です。「世話」には「面倒を見る」や「希望に寄り添う」といった意味があります。

「なります」の過去形「なりました」なので、過去にしてもらった手助けや配慮などに対する感謝をするときに使います。

目上の人にも使える敬語であり「大変お世話になりました」などで謝意アップ

「お世話になりました」は、丁寧な感謝の表現として、目上の人や取引先の相手に使っても問題ありません。

感謝の気持ちをより深く伝えたいのであれば、「大変お世話になりました」「長きにわたりお世話になりました」などとするといいでしょう。

シーン別「お世話になりました」の使い方・例文

ここからは、シーン別に使える「お世話になりました」の使い方を例文で紹介していきます。

退職や転職時の挨拶・メールの例文

退職の挨拶メールで「お世話になりました」を使った例文です。「お世話になりました」は丁寧な表現なので、上司や社外の人へ退職の挨拶をしたいときにも使えます。

まず始めに退職の事実と、伝えられる範囲で退職の理由を述べてから、お世話になった感謝の気持ちを「お世話になりました」で表現するといいでしょう。社外の人や取引先への挨拶では、「貴社担当は弊社○○が引き続き担当いたします」などと付け加えて後任を明確にすると、より丁寧です。

「この度、一身上の都合により退職させていただくことになりました。これまで大変お世話になりました」

「この度、結婚することとなり、◯月◯日をもって退職することとなりました。在職中は本当にお世話になりました」

「◯月◯日をもって(会社名)を退職し、転職することとなりました。大変お世話になりました。転職先でも(会社名)で学んだことを生かして精進いたします」

上記の例文はメールや手紙だけではなく、大勢を前に口頭で退職の挨拶をするときにも、そのまま使えます。

異動時の挨拶・メールの例文

異動が決まったときに送るビジネスメールの例文です。例文を覚えておけば、在籍中の感謝の気持ちをスマートに伝えられるでしょう。

「この度○月○日付けで××部へ異動することとなりました。担当になって以降、○○様には大変お世話になりました」

社外の人に異動の挨拶メールを送る場合は、今後の担当者も併せて知らせておくと、より丁寧です。

「5月より△△課へ異動することになりました。○○課では大変お世話になりました。後任は××が担当いたします。引き続きご協力いただけますようお願いいたします」

転勤時の挨拶・メールの例文

転勤を社外の人に伝える場合は「いつもお世話になっております」、社内の人に伝える場合には「お疲れさまです」を文頭に付けると丁寧です。冒頭の挨拶に続けて転勤が決まった旨と日付を記載し、「大変お世話になりました」へとつなげましょう。

「いつもお世話になっております。私事ですが◯月◯日付けで△△へ転勤となりました。これまで大変お世話になりました」

「お疲れさまです。私事ですが◯月◯日付けで△△へ転勤することになりました。短い間でしたが、大変お世話になりました」

年末年始の挨拶の例文

一年の締めくくりとして、その年の感謝を伝える挨拶をする際にも、「お世話になりました」を使用することができます。

「今年も大変お世話になりました。(中略)どうぞよいお年をお過ごしくださいませ」

このとき、メールで送る際の件名は、「年末のご挨拶(△△会社◯◯花子)」のように、一目で年末の挨拶だとわかるようにしましょう。

また取引先など社外へのメールの際は、件名を「年末年始の営業のご案内(△△会社)」などとした上で、本文には挨拶の他、仕事納めと仕事始めの日にち・時間を記載しておくと親切です。

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また、もしも年末の挨拶メールを送りそびれてしまった場合は、年明けの営業開始日に新年の挨拶メールを送るといいでしょう。

「昨年は大変お世話になりました。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます」

  • 「お世話になりました」の例文

    「お世話になりました」のシーン別例文を覚えておけば、挨拶メールをスムーズに作成できます

「お世話になりました」を使用する際の注意点

「お世話になりました」を使用する際に、気を付けるべき点も見ておきましょう。

初対面の人には使えない

「お世話になりました」は、「今まで面倒を見ていただきありがとうございます」という意味を持ち、面識のある相手にこれまでの感謝を伝える言葉です。

そのため、初対面の人、今まで関わりのなかった人に使うことはできません。

目上の人に「お世話様でした」はNG

前述のように「お世話になりました」は目上の人に使えますが、よく似た表現である「お世話様でした」は、「ご苦労様でした」という意味合いも含んでいます。「面倒を掛けたね」といったニュアンスを持つ、目下の人へのねぎらいの言葉です。

「お世話様でした」は「ご苦労様でした」と同じく、目上の人や社外の人に使うと失礼にあたることもあるので注意してください。

「お世話になりました」の類語や言い換え表現

「お世話になりました」の類語や言い換え表現を紹介します。感謝の気持ちを伝えるいろいろな表現を覚えて、ビジネスシーンで行う挨拶が単調にならないようにしましょう。

お引き立ていただきありがとうございました

「お引き立て」は「ご愛顧」と同じような意味合いがあるため、「これまでありがとうございました」という感謝の気持ちを述べたいときに使えます。

ビジネスメールでは一般的に「お世話になりました」を使いますが、企業や小売店などでは顧客に対する感謝の表現として「お引き立ていただきありがとうございました」が使われることもあるので、マスターしておきたいところです。

「格別のお引き立てをいただき誠にありがとうございました」

お力添えいただきありがとうございました

「お力添え」は、助けや援助を意味する「力添え」に、尊敬を示す接頭辞「お」が付いた丁寧な言葉です。

「お力添え」のあとに「ありがとうございました」を続けることで感謝の気持ちを表すことができます。「お世話になりました」と同じく目上の人に使っても失礼にはなりません。

「○○様のお力添え誠にありがとうございました」

「弊社にお力添えいただき誠にありがとうございました」

「先日はお力添えいただき、誠にありがとうございました」

「お力添えありがとうございました」だけでも丁寧な表現ですが、例文のように「誠に」を付けるとより強く感謝の気持ちを伝えられます。

ご愛顧いただきありがとうございます

「愛顧」は、商人や芸人が特別に目をかけてくれた相手に対して、へりくだってお礼の気持ちを述べるときに使われていた言葉です。現在でも尊敬の接頭辞「お」を付けた「ご愛顧」がビジネスシーンで使われています。

「ご愛顧いただきましてありがとうございます」を使う場合には、「平素より」や「日頃より」などを文頭に付けるのが一般的です。

「平素より弊社の商品をご愛顧いただき、ありがとうございます」

「日頃よりご愛顧をいただきまして、ありがとうございます」

「ご愛顧」は日頃の感謝の気持ちを表すとき以外に「今後も引き続きお願いします」という意味で以下のように用いられることもあります。

「変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願いいたします」

ご高配にあずかり厚く御礼申し上げます

「高配(こうはい)」とは、「高い配慮や心配り」という意味の言葉です。「お世話になりました」よりもかしこまった表現なので、主にメールや文書で使われます。日頃からお世話になっている人にメールや手紙を送る場合には冒頭のフレーズとして使える言い回しです。

「平素は格別のご高配にあずかり、厚く御礼申し上げます」

「弊社とのお取引の際には、ひとかたならぬご高配にあずかり厚く御礼申し上げます」

「この度は、新事業についてのさまざまなご高配にあずかり、厚く御礼申し上げます」

  • 「お世話になりました」の類語

    「お世話になりました」の類語もマスターして、語彙力を高めましょう

お世話になった相手へのお礼のギフトには、メッセージとともにお菓子などを

特にお世話になった人に対しては、感謝の気持ちを込めてギフトを渡すこともあるでしょう。その際にギフトでおすすめなのは、クッキーなどの日持ちのするお菓子です。

また普段の何気ない会話から、相手の好きなものをあらかじめリサーチしておき、プレゼントするのも喜ばれるでしょう。ギフトには、メッセージカードや手紙を添えるのもいいでしょう。

たくさんの人に配る場合はシールを活用すると便利

自分が退職や転職をする場合に、たくさんの人に小分けのお菓子などを配ることもありますね。そのままでももちろんいいですが、「お世話になりました」と印字された市販のシールを活用すると、より感謝の気持ちが伝わるかもしれません。

「お世話になりました」の英語表現

「お世話になりました」を英語で表現する際は意味する直訳はないので、「◯◯してくれてありがとう」などの言い換え表現を使います。

・Thank you very much for your help.(助けていただき、本当にありがとうございます)

・Thanks for everything.(いろいろとありがとうございました)

・I appreciate your help.(あなたの助力に感謝いたします)

どの表現も過去の助けなどに対する感謝の気持ちを表しているため、「お世話になりました」の代わりとして使っても違和感はありません。

「お世話になりました」は感謝の気持ちを表す敬語表現

「お世話になりました」は、世話をしてくれた相手に対する感謝の気持ちを表す言葉です。敬語表現なので目上の人にも使えます。ビジネスシーンでも頻繁に使われるので、意味をしっかり理解してスマートに使いこなしましょう。

退職や異動の挨拶メールで正しく使うためには、例文を覚えておくことも大切です。類語や英語表現をマスターしておけば、さまざまなシーンで「お世話になりました」が使えるようになるでしょう。