最近、FIRE(経済的自立・早期リタイア)という言葉も聞くようになっていますが、若いうちにしっかりお金を貯めて経済的自立をする考え方が広まっているようです。経済的自立のためにいくらあればよいかは人それぞれの考え方次第ですが、ひとつの目標となる金額が「1,000万円」ではないでしょうか。

そこで本記事は、20代で1,000万円を貯めることを目標に、毎月の貯金額や理想的な貯め方について説明していきます。

  • 20代で貯金1,000万円を貯めるには何をしたらいい?

20代で1000万円貯金している人はどれくらい?

20代で1,000万円という目標に向けて資産形成に励めるよう、まずは20代で1,000万円貯金している人がどれくらいいるのか確認してみましょう。

金融広報中央委員会が毎年調査している「家計の金融行動に関する世論調査(2020年)」によると、20代で1,000万円以上の貯蓄がある人の割合は次のような状況です。

一人暮らし:1.7%
2人以上世帯:4.0%

20代の一人暮らしの人が100人いれば約2人、20代の夫婦などは100世帯のうち4世帯は1,000万円以上の貯蓄があることになります。2人以上世帯のほうが多いのは、共働きなどで貯蓄に回せる金額が多いということでしょう。

しかし実は、ここでいう20代というのは世帯主の年齢です。たとえば独身の20代でも親と同居している人は上記のどちらの割合にも含まれていないのです。

その点を考慮すると、実際には20代で1,000万円人の貯蓄をしている人はもっと多いのかもしれません。自分のお金の自由度が高い独身だからこそ、大きな貯金額も目指せるはずです。

新卒で就職後、20代のうちに1,000万円貯めるには毎月いくら積み立てが必要?

仮に大卒で就職し、20代のうちに1,000万円に到達させようとすると、月々いくら貯めていけばいいのでしょうか。22歳で就職し、30歳になる前までの8年間積み立てていくと仮定して計算してみましょう。

まず、貯蓄ゼロからのスタートで、金利等を考えず単純に計算すると1年間に125万円、ボーナスを考えなければ月々約10万4,000円の積み立てが必要です。職務・役割に合う人材を雇用・配置するジョブ型雇用という言葉も使われるようになり、能力次第では若いうちから高い給料をねらえるようになりつつある昨今ですが、入社してからしばらくは月々10万円以上を貯金に回すのは厳しいかもしれません。

国税庁の民間給与実態統計調査(2020年9月公表)によると、2019年の20代(男女計)の平均年収(額面金額)は20歳~24歳で264万円、25歳~29歳で369万円となっており、20代前半と後半では100万円近くの差があります。

最初から月々10万円が難しいようであれば、徐々に積立額を増やしていってもいいでしょう。たとえば、入社後最初の3年間は月々8万円、その後の5年間は月々12万円貯めていくと20代のうちに1,008万円貯まる計算になります。ボーナスが支給される人はボーナスで調整していくのもいいでしょう。

毎月積み立てる方法は?

それでも実際にこれだけの額を貯金に回してしまうと、家計を圧迫してしまうという人もいると思います。そこで、できるだけ月々の積立額を減らし、かつ1,000万円に近づけられるように、金利の力も借りてみましょう。

ここで、金利の違いで毎月の積立額がどれだけ違うか確認してみましょう。8年間後の目標額を1,000万円として、3種の金利で毎月積立額をシミュレーションすると下表のようになりました。

  • 注1:シミュレーションは金融広報中央委員会 知るぽると「目標積立額シミュレーション」を使用 / 注2:12カ月複利として計算 / 注3:運用にかかる手数料等は考慮していません

毎月の積立額は、金利が0.2%であれば10万3,566円、3%で9万4,566円、5%で8万8,666円と金利によって大きく変わってきます。

昨今の銀行預金は金利が高めのネット銀行でも0.2%程度です。3%や5%といった高い金利を期待するためには、株式や投資信託などの投資性商品で運用していくことが必要でしょう。

投資には価格が変動するリスクがありますが、時間をかけて運用できる人ほど、たとえ損失が出てもリカバリーする時間があります。仮にリカバリーできるのが30代に入ってからになるとしても、長い人生で考えると20代のうちから投資を始めておくのはおすすめです。

ただし、万一働けなくなって収入が途絶えてもしばらく生活できるだけの預貯金が貯まっていないうちに全額を投資に回すのはおすすめできません。月々の積立額のうち、一部は銀行預金など安全な金融商品で積み立てて、残りを投資に回すことを意識するようにしましょう。

節約や副収入も考えよう

今回、20代のうちに1,000万円を貯めるためには、投資で実現可能性が高まることを説明してきましたが、投資以外の方法も合わせて実行することを心がけましょう。

ひとつは節約。不要に出費を削る必要はないですが、無駄遣いはしないこと。またポイ活、株主優待、ふるさと納税などを活用し、できるだけ支出額を抑える工夫もしてみましょう。

もうひとつは副収入を得ることです。会社が副業を解禁している場合には起業やアルバイトなどでお金を稼ぐのもおすすめです。オークションやフリマアプリを活用して不用品を販売しながら細かくお金を稼ぐのもいいでしょう。

目標は1,000万円という大きな額ですが、チリも積もれば山となることを忘れずに。さまざまな工夫をしながら資産を積み上げていってください。