女優の吉岡里帆が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、あす30日(13:40~ ※関東ローカル)・6月6日(14:00~ ※同)に2週にわたって放送される『酒と涙と女たちの歌 ~塙山キャバレー物語~』。茨城県日立市の国道沿いに13軒の小さな飲み屋が並ぶ「塙山キャバレー」の人たちを追った作品だ。

トタン張りの小さな飲み屋街を守ってきた女性たちは、母親から芸者として身売りされた人や、子供と生き別れた人など、みな壮絶な人生を歩んでおり、そんな姿を見た吉岡は「みなさんの力強い言葉から人生の教訓が節々に出てくるので、女性としてもそうですし、1人の人間としても本当にカッコいい人たちだなと思います」と語る――。

  • 『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録を行った吉岡里帆

    『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録を行った吉岡里帆

■心に響いた名言「やっぱり酒のつまみは会話」

収録を終え、「塙山キャバレーのママさんたちは、みんなそれぞれに個性があって、そこに温かさと強さが相まって本当に魅力的でした。だから、お客さんたちもそんなママたちに会いたくて、塙山キャバレーに来ているんだなというのをすごく感じました」という吉岡。「エネルギーあふれるみなさんに会いに、私もいつか行ってみたいです」と、すっかり魅了された様子だ。

特に、あるママの「おいしいつまみはどこに行っても作ればある。でも、会話ってなんぼカッコつけてもそのときの感情でぶつかり合うから作れるものではない。やっぱり酒のつまみは会話」という名言が響いたそうで、「コロナ禍で人との距離感ができてしまうご時世だからこそ、あの言葉がとても印象的でした」と話す。

個性あふれるママたちが登場する中で、吉岡が最も惹かれたのは、最高齢82歳の「京子」のママ。夫に続き息子を亡くしたばかりだが、それでも笑顔で店に立つ姿が印象的で、「酸いも甘いも全部知っていて、お客さんを包み込む懐の深さがあって、お客さんはあの笑顔で本当に心が穏やかになるんだろうなと、包容力に驚きました。どんなに暗い話をしても悲しい話をしても笑い飛ばしてくれるから、みなさんが話を聞いてほしくて行きたくなるんだろうなと思います」と共感した。

ちなみに、今回登場するような個人経営の小さな飲み屋に足を運んだ経験は自身もあるそうで、「こういうところでしかない出会いもきっとあるでしょうし、やっぱりその店のママに会いに行ってる方が多いですよね」と語る。

  • 塙山キャバレーのママたち (C)フジテレビ

■自身の心の拠り所はマネージャー

番組では、塙山キャバレーで営んでいた店で、周囲の店も燃やしてしまう火事を起こして自殺を考えた男性。突然妻を亡くし、1人で家に引きこもっていた男性。コロナ禍で演奏の場を奪われたバンドマンなど、多くの客がママたちの店を“心の拠り所”としていることがうかがえるが、吉岡にとってのそうした存在は、マネージャーだそう。

「ずっと一緒にいて、たくさんの大変な現場を乗り越えてきました。やっぱり何気ない話ができる人がそばにいてくれるって本当に大事で、本当にありがたいです。誰かにふと話ができるということが、何でも前向きに捉えられる秘けつだなって思います」と明かしてくれた。