ダーウィンはイギリスの自然科学者です。地質学や生物学に精通し、種の形成理論を発表しています。ダーウィンの科学的な発見は修正を施されながらも、生物多様性に一貫した理論的説明を与えていることから、現代生物学の基盤として多くの人々に知られています。今回は、ダーウィンの生い立ちやどんな発見がされたのかを紹介します。

  • ダーウィンはどんな人物?

    ダーウィンはどんな人物?

ダーウィンはどんな人物?

チャールズ・ロバート・ダーウィン(Charles Robert Darwin 1809年2月12日-1882年4月19日)は、イギリスの自然科学者です。地質学や生物学に卓越した知識を持ち、進化生物学の「種の形成理論」を発表しています。

ダーウィンの進化論とは

すべての生物種が共通の祖先から長い時間をかけて、彼が「自然選択」と呼んだプロセスを通して進化したことを明らかにした人物として、広く世界で知られています。ダーウィンの唱えた進化論は現代では当たり前と思えるかもしれませんが、当時は批判も多くありました。

進化の事実は存命中に受け入れられた一方で、自然選択の理論が進化の主要な原動力と見なされるようになったのは1930年代、彼の死後でした。 ダーウィンの科学的な発見は、修正を施されながらも世の中へ、生物多様性に一貫した理論的説明を与えており、現代生物学の基盤をなしているといえるでしょう。

進化論の提唱の功績から、現在では一般的な生物学者と見なされることもありますが、ダーウィン自身は地質学者を名乗っています。 現代の学界でも地質学者であるという認識が確立しているとのことです。

ダーウィンの生い立ち

1809年2月12日にイングランドのシュルーズベリーという町に誕生しました。 医師で投資家だった父ロバート・ダーウィンと、母スザンナ・ダーウィンのもと、6人兄弟の5番目の子どもとして生まれています。 裕福な家庭で、父方の祖父は医師、博物学者であるエラズマス・ダーウィン、母方の祖父は陶芸家であり企業家でもあるジョサイア・ウェッジウッド。有名な一家にて生きていくことになります。

幼少期から大人になるまで

小さなころから博物学的な趣味を好んでいました。8歳のときには植物や貝殻、鉱物の収集を行っており、すでに人生のテーマを歩んでいたようです。 父ロバートは博物学に興味はありませんでしたが、園芸が趣味であり、幼いダーウィンも小さな庭を与えられていました。兄のエラズマスは化学実験に没頭していたため、ダーウィンに手伝わせていたこともあり、ダーウィンは兄を慕っていました。

16歳(1825年)のときには父の医業を助けるため、エディンバラ大学で医学と地質学を学ぶことになりました。しかし、その後中退しています。学校での勉強よりも「自然」や「化学」などの身近なものに興味が強く、疑問を抱いていました。

20歳になると、父ロバートによって牧師になることを勧められますが、ダーウィンは牧師になる気などなく、自然観察や実験を進めたいと考えるようになりました。しかし、牧師をしながらでも好きなことができると感じたため、ケンブリッジ大学に進学します。

ケンブリッジ大学では、人生の恩師とも呼べる2人との出会いを果たします。地質学者のアダム・セジウィックと植物学者のジョン・スティーヴンス・ヘンズローです。ダーウィンはこの2人と親しく交流を重ねていったのです。

ビーグル号航海

1831年にケンブリッジ大学を卒業すると、ヘンズローの紹介からイギリス海軍の測量船ビーグル号に乗船することになりました。1834年6月にマゼラン海峡を通過し、7月には南米西岸のバルパライソに寄港しています。

その後、ガラパゴス諸島のチャタム島に滞在した際、諸島のあちこちにゾウガメのさまざまな変種が存在することを確認。初めてガラパゴス諸島の変種の分布に気づいたとされています。

帰国後

ヘンズローがダーウィンの作った標本採集を手紙にして博物学者たちに見せていたため、ダーウィンはすでに科学界で名を馳せていました。

航海からの帰国後、ダーウィンはすぐケンブリッジへ行き、恩師のヘンズローに会いました。ヘンズローは博物学者がダーウィンのコレクションした資料をを利用できるようカタログ作りをアドバイスし、ダーウィンは植物の分類を引き受けることになったのです。

  • 著書『種の起源』はどんな内容?

    ダーウィンはイギリスで生まれました

著書『種の起源』とは

ダーウィンが5年にもわたる航海と調査をもとにしたためたのが「種の起源」です。「種の起源」は簡単に説明すると「地球上にはさまざまな生物・種が存在しており、それは絶えず生存を続け、進化し続けるものだけが生き延びる」といった内容です。

『種の起源』への反響

ダーウィンが唱えた種の起源の内容である「地球上にはさまざまな生物・種が存在しており、それは絶えず生存を続け、進化し続けるものだけが生き延びる」という考え方は、現代ではあまり疑問に感じられない内容であっても、19世紀当時はキリスト教の影響が強く、「神」の信仰が主流であったため、ダーウィンの考え方は人々に理解されにくいものでした。

発表当時はダーウィンの考え方に理解のできない人からの批判が多くあったとされています。それでもダーウィンは研究を続け、多くの本を出版していきました。

  • ダーウィンの名言

    ダーウィンの周りの反応はよくなかった

ダーウィンの名言

ダーウィンは19世紀のキリストの考えが主流であるなか、多くの名言を残しています。

It is not the strongest of the species that survives, nor the most intelligent that survives. It is the one that is most adaptable to change.

生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである。

A man who dares to waste one hour of time has not discovered the value of life.

1時間の浪費をなんとも思わない人は、人生の価値をまだ発見してはいない。

Ignorance more frequently begets confidence than does knowledge: it is those who know little, not those who know much, who so positively assert that this or that problem will never be solved by science.

無知というのは、しばしば知識よりも確信に満ちている。科学によってこれやあれやの問題を解決することはできないと主張するのはきまって知識がない人である。

  • ダーウィン賞

    心に響く名言が多いですね

ダーウィンに関する賞

ダーウィンの名を冠した賞をご紹介します。

ダーウィンメダル

英国王立協会が隔年で授与する、生物学分野で顕著な業績を上げた人物を称える賞です。分子進化の中立説を提唱した木村資生氏が1992年、日本人として初めて受賞しています。

ダーウィン賞

ダーウィンメダルとは異なり、ダーウィン賞は名誉な賞ではありません。受賞の対象者は「愚かな行為によって死亡する、もしくは自身の生殖能力を無くした人」。こうすることによって自らの「劣った遺伝子を抹消」し、「人類の進化に貢献した」ため、ダーウィンを冠した賞を贈る――という、とても皮肉に満ちた賞なのです。

ダーウィン賞は、1980年代に「信じられないほどアホな死に方をした人の話」を取りまとめた電子メールが出回ったことに端を発しており、現在はダーウィン賞に関する本の著者が管理するサイトにて発表されています。

  • ダーウィンのことがわかる書籍

    「皮肉の賞」は複雑な名誉であるかもしれない

ダーウィンの関連書籍

ダーウィンについてさらに知りたいと思う人へ、ダーウィンのことがよりわかる書籍を紹介します。文庫本から漫画まで、自分の好きなスタイルで読めるような本が多く出版されています。

改めて「好奇心」を大切にしようと思えたり、気になることは調べていきたいと思えたりするような本ばかりですので、ぜひ一度手にとって読んでみてくださいね。

種の起源「上」(光文社古典新訳文庫)

光文社古典新訳文庫より出版されている「種の起源『上』」は、一般読者向けに発表された本です。多く語られることのなかった種の起源の発想に至る歴史的な部分がわかりやすく書いてあります。

ダーウィン『種の起源』を漫画で読む(いそっぷ社)

いそっぷ社より出版されている「ダーウィン『種の起源』を漫画で読む」は、オールカラーの漫画で本を読むことが苦手な人でも手に取りやすいです。大人が読んでも楽しめ、子どもへの教育としても使える便利な一冊となっています。

ダーウィンの「種の起源」: はじめての進化(岩波書店)

岩波書店から出版されているのは、「ダーウィンの『種の起源』: はじめての進化」です。美しい絵と文章でわかりやすく書かれており、生命の「なぜ?」が楽しめる本です。子どもと一緒に読めるような科学絵本となっています。

  • まとめ

    本を読んでみよう

まとめ

今回は、イギリスの自然科学者であるダーウィンについて紹介しました。ダーウィンは卓越した地質学・生物学の知識を持ち、幼い頃からの好奇心で研究を続け「種の起源」にたどりつきました。自然選択説は現在でも進化生物学の基盤の一つとされており、19世紀当時からすると世紀の大発見であったとも言えるでしょう。

わかりやすくまとめられた本も多く出版されているため、ぜひ一度読んでみてください。自分や子どもの「好奇心」を大切にしたいと考えるきっかけになるかもしれません。