並々ならぬ情熱を、いま夢中になっているものに注ぎ続け、抜け出せないほどになっている「沼女子(オタク女子)」。マイナビニュース・マイナビウーマンでは、マーケティングの視点から彼女たちを調査・解説するWebセミナー『コロナ禍で加速!「沼」にハマる女性たち。「沼女子(オタク女子)」のインサイトとは?』を実施した。

なかには新型コロナウイルスの影響を受けた生活スタイルの変化で新たなものにハマり、「沼女子」になる方も。そんな「沼女子」の消費行動を紐解いていく。

「沼女子」ってどんな人たち?

セミナーに登壇したのは、マイナビ コンテンツメディア事業部に所属するプランナーの桑野好絵氏と山崎珠里氏。2人は女性市場やZ世代など媒体のターゲットとなるユーザーの調査やクラスタ分析を通して、マイナビニュース・マイナビウーマンでの企業プロモーションのプランニングを行っているという。

桑野氏らによると、「沼女子」とはマイナビニュースがつくった造語で、いわゆる「趣味に惜しみなくお金を使う女性のこと」。

そもそも「沼」とは、何かしら好きなことや好きな人などの対象から抜け出せなくなるくらいハマることを"沼にハマる"という表現したネット用語。そんな「沼」にハマっている女性たちのことを「沼女子」と定義している。以前から使われている「オタク」よりもポジティブで幅広い印象だ。アイドルやアニメに限らず、コスメや資産運用、ポイ活なども沼になり得るという。そういったことから「沼女子」は対象が幅広く、動向を捉えにくい部分もある。

今回マイナビニュースが実施した、20~40代の女性500名に行ったアンケートの結果を見てみよう。アンケート回答者がこれまでにハマったことのあるジャンルを聞いてみたところ、最も多かったのが、演劇やミュージカル、宝塚、そして漫画などを原作原案とした2.5次元舞台を含めた「舞台」。続いて「バンド・アーティスト」「コスメ・美容」「スポーツ観戦」「アイドル」といったコンテンツが続く。

そして、今ハマっているエンタメ関連の趣味の数を聞くと、「2つ以上ある」と回答した人は約半数以上と、沼を渡り歩く人もいる様子。

沼にハマるとそこに関連する消費行動も高くなるため、マーケットとしては非常に魅力的な層と言えるだろう。

「ライト沼」と「ガチ沼」

また、昨今のコロナ禍の影響を受け、時間を有効に使おうと新たに何かにハマった女子たちも増えているという。今回のセミナーでは、そういったコロナ禍で新たにハマったことがある女子を「ライト沼」、以前からハマり続けていている女子を「ガチ沼」と分けて考察した。

マイナビニュースが「ライト沼」層に「新型コロナウイルスの感染拡大がきっかけでハマったこと」を聞くと、「料理」「ポイ活」という回答が多い傾向となった。料理に関しては、コロナ禍で外食が減ったことも影響していると推測される。時間があるから見てみよう、やってみようと思い立つ方も多かったのか、映画やドラマ・アニメの鑑賞や、アイドルや俳優、ゲームにハマったという回答も上位に入っている。

このような「ライト沼」のうち、「料理」や「映画」などは一時的な傾向が強く、コロナ禍が落ち着いたら離脱する可能性が高いと両氏は分析する。「これらのジャンルは、離脱しないようにサブスクリプションサービスでアプローチしたり、続けてもらうことを焦点に当てた定期的なアプローチが必要だと考えています」と山崎氏。

一方、マンガやアニメ、俳優、アイドル、舞台といったジャンルにハマった方は「ガチ沼」の予備軍だという。「その理由として、ハマったら深い「ガチ沼」のジャンルには、俳優やアイドル、キャラクターと言った『推し』となる対象がいるからです」と桑野氏。

推しがいることで、継続して沼に居続けてくれる可能性が高くなる。そのため、推しのあるジャンルは予備軍獲得のため、気軽に触れられる無料コンテンツなどを広く拡散し、入口を広げてより多くの網を張っておくことが重要だという。空いた時間で様々なものに触れるなか、それまで見なかったコンテンツに突然ハマることも大いにあり得るので、ターゲティングしすぎないこともポイントだそう。

続いてコロナ禍以前からハマり続けていている「ガチ沼」の女子たちの実態についても解説が行われた。

「ガチ沼」の女子たちに「今ハマっているジャンル」を質問すると、「漫画」「ゲーム」がトップ2の結果に。これに関して「コロナ禍の影響を受けてコンサートや演劇の公演が中止になった、いわゆる"現場"が減ったから、という問題もあると思います」と山崎氏は分析する。

「また、沼女子は今ハマっているジャンルの前にも、一度は他のジャンルの沼にハマった経験がある人が多い傾向にあり、"何かにどっぷりハマりやすい性質"が強いと言えます。ハマりやすいからとことん消費する。なかには『推しに使うお金は、光熱費と同じ』と言う人もいるほど、好きなキャラクターや俳優などの推しには、惜しみなくお金を使うことも特徴です」

沼女子の消費行動は、写真集やブロマイドのような直接的なグッズだけに限らない。「推しが宣伝していることをきっかけに、商品・サービスを使ったことがある」と回答した方は82.3%、と、推している対象を起用したプロモーションは当然ながら興味関心が高い。また「ずっと広告に起用されてほしいから買い続ける」といった意見も。

また「メンバーカラー・アーティストカラーを意識して商品やサービスを買った」ことがある方も65.9%にのぼる。推し本人とは直接関係ないところでも、消費が生まれているようだ。

他にも"コンサートやイベントに行くときの化粧品や洋服"、"推しが行った場所に遊びに行く(食べに行く)"など多岐にわたることが調査から見えるという。

「ガチ沼」の女子に行った定性調査では「推しに対して私たちは責任がある」と考え、推しがずっと活動できるように支え続ける、というモチベーションを持つ方も。そのためにも、推しのためにお金を使うべくしっかりと働き、ずっと推し続けられるよう健康管理やライフプランをしっかりと立てる傾向も見られたという。

大きなマーケットになりつつある「沼女子」だが、訴求する際には注意したい点がある。「推しへの愛を利用しようとしている商法は、すぐわかる」「推しを利用した感が見え見えだと、企業が推しを人質に取ったと思う」という声もあったという。「沼女子の気持ちを利用するのではなく、企業も一体となって推しを応援する姿勢を感じ取れるプロモーションは、成功と言えるでしょう」と山崎氏。

メディアにもプロモーションにもリテラシーの高い沼女子へアプローチするには、沼の深さやジャンルでしっかりとターゲットを選定することが大切だ。そして、推しに関連する消費は幅広いことをしっかり認識し、推しに対して愛を持った起用やアウトプットが重要といえる。

「沼女子は、なぜその商品に推しが使われているのかも考える傾向があります。タレントやキャラクターを使う際は、沼女子と同じ目線に立ち、彼らを応援する気持ちを忘れないことも大切ですね」と、桑野氏は今回の調査結果を振り返った。