「どうぞお納めください。日頃から世話になってますから」――そう言って政治家や医者に「現ナマ」(現金)が入った袖の下を茶封筒で手渡す。ドラマや映画でよく見かける定番シーンのひとつです。

しかし、今どきこんな絵に書いたような賄賂など、なかなかありません。ましてやそんな映画のワンシーンに自分が立ち会うなど、誰も想像だにしないでしょう。そもそもこのキャッシュレス時代、分厚い現ナマを目にする機会すらなかなかないのが現実です。

ところが、ツイッターユーザーでお医者さんの「医タオちゃん」(@130R_itaoitsuji)さんはある日、そんな映画の定番シーンに遭遇。当時の状況をこう報告しました。

  • ※画像はイメージ

90近いけど元気なお爺が外来で、「先生には世話になってるから…」ってかなり分厚い封筒を渡してきた。
ぱっと見で、200万くらいの厚さの束だし、これは受け取れないと返そうとしたけど、
「ナマモノなんで」と押し切られた。
そっと開けてみたらカマボコやった。
ほんまにナマモノやん…

分厚い封筒にナマモノ。確実に「現ナマ」かと思いきや、中身はまさかのカマボコ。思わぬ展開に1万リツイート、5.1万件のいいねが付くなど(5月7日時点)、ツイッター界隈は大騒ぎ。コメントも殺到しています。

「封筒にカマボコww」「現ナマかと思いきや……」「コレがホントの現生(現物支給 生モノで)」「吹き出した。。かなり吹き出してしまった。。。」「封筒にカマボコ!絶対ねらってるw」「私は手紙だったことがあります。気持ちですと言われて渡されて本当に気持ちでした」

ちなみに、現金ではなく一安心した「医タオちゃん」さんは、無事にカマボコを日本酒のアテにしたそうです。

気になるカマボコの味は……

今回は「医タオちゃん」さんに直接、お話をうかがうことができました。

――これまで袖の下を渡されそうになったことはあったのでしょうか?

ご高齢の患者さんで、渡そうとしてくる方がごく稀にいらっしゃいます。しかし、私は本当にいらないので、病院に寄付して欲しいと断っています。

――カマボコのお味はいかがだったでしょうか?

カマボコはさっぱりしてて美味しかったです。ただし、カマボコはカマボコですので、どうにもこうにもカマボコを超える驚きはありません。やはりカマボコはカマボコだなぁ、という印象です。

――これほどの反響をどう受け止めていられますか?

こんな何気ない話が沢山の人に読まれて驚いています。みんなコロナの閉塞感でホッコリした話が欲しいんだな、と思いました。

最初は手に汗を握る不穏な空気が漂ったツイートでしたが、最後まで読んでみれば一転、なんともホッコリする日常のワンシーンだったのでした。ああ~、なんかカマボコ食べたくなってきた。