各局でお笑い番組が次々に放送される中、また新たなネタ番組が誕生する。くりぃむしちゅーの有田哲平がMCを務めるTBS系『賞金奪い合いネタバトル ソウドリ~SOUDORI~』(26日スタート、毎週月曜24:58~ ※一部地域除く)は、芸人たちがこん身のネタで対決して賞金を奪い合い、各ブロックの勝者たちによる対決を制したチャンピオンが、それぞれの獲得賞金を“総取り”するというシステムだ。

演出を担当するのは、フジテレビで『爆笑レッドカーペット』『ENGEIグランドスラム』『THE MANZAI』、共同テレビ出向後は『ザ・ベストワン』(TBS)、『カバる!~あのコントを俳優がカバーしたら~』(NHK BSプレミアム)、『ネタX(エクス)チェンジ』(読売テレビ)、『~あなたのストレス、コントに変えます~ 喜怒哀ラフ』(MBS)など、数多くのネタ番組を手がけてきた藪木健太郎氏。ここに来て一気に増えた他のネタ番組との差別化の意識や、MC・有田から感じるお笑いへの向き合い方などを聞いた――。

  • 『賞金奪い合いネタバトル ソウドリ~SOUDORI~』MCの有田哲平 (C)TBS

    『賞金奪い合いネタバトル ソウドリ~SOUDORI~』MCの有田哲平 (C)TBS

■“お金”を前面に出すネタ番組

世に知られぬ芸人たちを発掘してきた『有田ジェネレーション』が動画配信サービス・Paraviに移行するため、その後番組としてスタートする『ソウドリ』。藪木氏と『ザ・ベストワン』で一緒に仕事をしているTBSの坂本義幸チーフプロデューサーからオファーがあり、「有田哲平のMC」「ゴールデンを目指せるソフト」「ネタ番組」という条件を受け、制作に着手した。

“お金を絡める”というネタ番組の企画は以前から温めていたそう。そこに昨今、各局が視聴率の重点指標を設定して様々なネタ番組が生まれる中で、新たな座組を探したときに「やっぱり若い芸人さんたちの掘り直しや、システムとして“お金”を前面に出しているものがないと思ったので、今回満を持して出したという形です」(藪木氏、以下同)と、立ち上げの経緯を明かす。

勝者の判定は、一般審査員25人が面白かった芸人に1人1票投票する方式で、投じられた1票は賞金4,000円に換算。1ブロックで最高10万円、計4ブロック行われることからチャンピオンになると最高40万円を“ソウドリ”できる。1票あたりの換算賞金をアップすることで、ゴールデンタイムで数百万円レベルの“ソウドリ”に規模を大きくすることも見据えている。

■芸人たちが嫌がっても「ヒリヒリするのが良い」

有田は、このお笑いトーナメントを主催するCEO「ドン・アリタ」に扮し、米プロボクシングの名物プロモーター、ドン・キングを意識した格闘技色の強いキャラクターに。ネタ番組において、「普通はネタの邪魔をしてしまう恐れがあるので、“側”を固めるのは良くないんです」というが、葉巻たばこを持ちながらマイクパフォーマンスで観客を煽っていく有田と、進行をサポートする宇賀神メグアナ&野村彩也子アナのパートは、コント的な要素を盛り込んだ。

それが成立するのは、「有田さん自身が、対戦カードのマッチメイクに関わっている」からだ。初回は「異種格闘技! 賞レースファイナリストバトル!」と題し、『M-1グランプリ2020』『キングオブコント2020』『R-1グランプリ2021』それぞれのファイナリストである錦鯉、滝音、ZAZYが登場。それ以降も1つの括りで対戦カードの見どころを作っており、「ご本人の意向もあって、有田さんにも何かしらを“背負って”いただく形が良いのではと考え、格闘技を主催する世界観を作りました」と狙いを語る。

  • (左から)宇賀神メグアナ、有田哲平、野村彩也子アナ

  • (左から)滝音、錦鯉、ZAZY

  • (C)TBS

マッチメイクでは、有田から「本人たちが嫌がってもヒリヒリするのが良いよね」というアイデアがあったそう。例えば、同じような芸風で括られた相手と対戦することは、いわゆる「かぶる」ことにもなり、芸人側としては避けたい傾向にあるというが、「そういうものこそファンが喜ぶというのを知ってるのは、有田さんの好きな格闘技のイズムなんですよね」と理解し、そのイメージを共有してブッキングに取り組んでいる。