京浜急行電鉄は24日、久里浜工場にて1000形新造車両(1892-1号編成)の報道関係者向け撮影会を実施した。1000形新造車両は2編成(1891-1号編成・1892-1号編成)導入され、5月6日の「モーニング・ウィング3号」から運行開始する予定となっている。
1000形新造車両の報道関係者向け撮影会は2回目。4月15日に京急蒲田駅で行われた1回目の撮影会では、車内を中心に公開され、京急電鉄の新たな試みとなる設備も紹介された。今回の撮影会では、1000形新造車両の2番目の編成(1892-1号編成)を展示。さえぎるものがなにもない環境の中、外観および床下機器を中心に撮影が行われた。
車両番号は1号車から「1892-1」「1892-2」「1892-3」「1892-4」(4両編成)。車体前面は1000形(ステンレス車)1800番台と同様、正面中央に貫通扉を備えた形状が特徴だが、車両番号の位置やライトの形状が異なり、「1000」の数字デザインもスリットナンバーになっているため、よく見ると違いがわかる。外装は全面塗装となり、新造間もないこともあって光沢がある。
1000形新造車両は座席指定列車や貸切イベント列車にも対応できるように設計され、車内の座席はロングシート・クロスシートに切替可能な自動回転式シートを採用。クロスシートにも使用されるため、背もたれが高く作られており、客室窓の外側からもよく見える。今回、先頭車2両(「1892-1」「1892-4」)の車内はロングシートの状態で公開され、背もたれが横向きに並んでいる様子を確認できた。一般座席は赤いシート地、優先席は青いシート地となっている。
1000形のステンレス車では配置されていなかった、乗務員室後方の座席(前面展望席)も復活。これにともない、乗務員室後方に縦長の窓が配置され、外観における特徴のひとつとなった。先頭車の車内に車いすスペースを設置し、付近のドア横に車いす・ベビーカーのステッカーを貼っている。
車体側面の「KEIKYU」ロゴと車両番号は水色(京急電鉄のコーポレートカラー)でデザインされ、従来車両と比べて車両番号のフォントが変わっている。特別感が少々増したように感じられた。
中間車2両(「1892-2」「1892-3」)は今回、クロスシートの状態で公開された。客室窓の外側から見た限りでは、ロングシート時と比べてぎっしり並んでいるような印象は受けなかった。1人あたりの座席幅は460mmとなっており、既存の2100形と比較して10mm拡幅されたため、これまでよりもゆったりと着席できるという。
京急電鉄では初採用となる設備として、2号車にバリアフリー対応の洋式トイレ、3号車に男性用トイレを設置。従来車両の場合、各車両の車端部にも窓が配置されているが、1000形新造車両ではトイレのある部分に窓がなく、その点でも外観の印象は従来と異なる。
トイレの設置にともない、車端部側の床下にトイレタンクを搭載しており、床下機器においても従来車両との違いがよく出ている。2・3号車のトイレはいずれも海側に配置され、その隣、山側はフリースペースとなっている。
各車両の側面上部に設置された種別・行先表示器は大型化され、フルカラーLEDによる表示に。列車の種別・行先に加え、行先等の外国語表記(英語・中国語・韓国語)や次の停車駅などを切り替えて表示するタイプを採用した。一例として、今回の撮影会では「ウィング号 品川」と表示され、その右下で「品川」の外国語表記と「次は横須賀中央」の表示が切り替わる様子を見られた。
その他、車内のさまざまな設備にも改良を施している。各座席にコンセントを設け、クロスシート運用時に利用可能なドリンクホルダーも設置。シート時には新型コロナウイルス感染症対策に効果のある抗菌・抗ウイルスのものを採用した。ドアと座席の仕切りに強化ガラスを使用し、ドア付近に立つ乗客と座席端部に着席する乗客の相互干渉を考慮した高さに設計されている。吊り手は径・太さを拡大し、握りやすくした。
1000形新造車両は、5月6日の「モーニング・ウィング3号」で運行開始する予定。三浦海岸駅を6時9分に発車し、トイレ付きの4両編成で運行され、金沢文庫駅から8両編成を増結した12両編成となって、7時28分に品川駅に到着する。デビュー後は座席指定列車や貸切イベント列車などでの運行も予定しているとのこと。ゴールデンウィーク明け以降、ウィズコロナ時代に対応した新しい京急電鉄の車両を体験できるだろう。