2021年10月発送予定「超合金魂GX-97 超惑星戦闘巨人ダイレオン」(18,700円/税込)

バンダイスピリッツの人気ブランド「超合金魂」シリーズより、東映製作の特撮テレビドラマ『巨獣特捜ジャスピオン』で活躍した巨大ロボット「ダイレオン」が商品化されることが22日、発表された。「超合金魂GX-97 超惑星戦闘巨人ダイレオン」(18,700円/税込)として、4月23日16時からプレミアムバンダイで予約受付がスタートする。

主人公・ジャスピオンが駆る、主役メカ・超惑星戦闘巨人ダイレオンを超合金魂で再現した「超合金魂GX-97 超惑星戦闘巨人ダイレオン」は、宇宙船からロボット形態に完全変形。アイアンウルフまたはガービンを艦首ハッチ内に格納できる。ジャスピオンのミニフィギュアも付属する。

1985年にテレビ朝日系全国ネットで放送された『巨獣特捜ジャスピオン』は、『宇宙刑事ギャバン』(1982年)、『宇宙刑事シャリバン』(1983年)、『宇宙刑事シャイダー』(1984年)と3作続いた「宇宙刑事シリーズ」のヒットを受け、等身大ヒーローアクションと巨大メカニック特撮のさらなるパワーアップを狙って製作された連続テレビドラマである。

古代銀河バイブル(聖書)に記された予言のとおり、邪悪な大魔神サタンゴースが甦った。このままでは凶暴化して暴れ回る巨獣たちによって、全銀河宇宙が滅亡してしまう。宇宙仙人エジンからサタンゴースを倒せと使命を与えられた青年・ジャスピオン(演:黒崎輝)は、美女アンドロイド・アンリ(演:塚田聖見)と共に超惑星戦闘母艦ダイレオン号に乗り込んだ。サタンゴースは銀河の各惑星に潜む数々の巨獣たちを凶暴化させる魔力を秘めている。銀河宇宙の平和を守るため、ジャスピオンは冒険の旅に出る――。

  • 『巨獣特捜ジャスピオン』シングルレコードジャケット(著者私物)。メタルテックスーツを装着したジャスピオンと、戦闘巨人ダイレオンの勇姿。オープニング曲「俺が正義だ!ジャスピオン」とエンディング曲「銀河狼ジャスピオン」を収録

『巨獣特捜ジャスピオン』では「宇宙刑事」で好評だった「宇宙規模の背景を持つヒーロー像」「メタリックな戦闘用強化スーツ」「ヒーローが乗り込む巨大母艦」「ヒーローが戦闘に用いる特殊バイク」「分離・変型を行う巨大戦車」といった要素を踏襲しつつ、新たに「巨獣」と呼ばれる巨大怪獣の魅力を打ち出すべく、アイデアが練られた。企画書では、これまで「宇宙刑事」で培ってきたノウハウを駆使し、画期的な「怪獣」シリーズにしたいという意欲に満ちた内容が記された。登場する巨獣には、マブタの開閉や涙を流す目、口からヨダレをたらす描写など、リアルな生き物らしい動きを特撮で表現する構想が練られている。

第1話「巨大怪獣の惑星」で、ジャスピオンとアンリを乗せたダイレオン号はまずビージー星に着陸する。そこでは、身体を球体にして転がることのできる巨獣マリゴスと、大きな羽根で空を自在に飛び回る巨獣ハネダーが生息していた。サタンゴースの目から発射された怪光線で凶暴化した2大巨獣は、都市部へと接近。住民たちを危機から救うべく、ジャスピオンは戦闘巨人ダイレオンを操縦して戦いに赴いた。初期エピソード(第1~3話)では、ジャスピオンがさまざまな惑星をめぐり、サタンゴースや巨獣に遭遇する本格スペースオペラというべきスケールの大きなエピソードが作られた。視聴者を作品世界へいざなう大事な第1話では、当時の最新技術だったVTR合成(東通ECGシステム)をふんだんに使用。「ジャスピオンとアンリの背後からヌッと顔を出す巨獣マリゴス」「飛んでくる巨岩をパンチで粉砕するジャスピオン」「マリゴスの頭部までジャンプし、ビームスキャナーガンで攻撃するジャスピオン」など、等身大ヒーローが50mクラスの怪獣と戦うイメージを見事に具現化している。

クライマックスを彩るのは戦闘巨人ダイレオンと、2大巨獣との迫力のバトルシーン。同時期のスーパー戦隊シリーズ『電撃戦隊チェンジマン』(1985年)の巨大ロボット・チェンジロボ(3機のマシンが合体)と印象を変える意味もあり、シルバーを基調としたカラーリングや無骨でシンプルなデザインとなったダイレオンには、母艦形態からロボット形態への華麗なる“変型”ギミックに力が入れられている。巨獣との格闘戦が想定されたダイレオンだけに、大きな拳によるパンチはもちろん、巨獣のボディに痛烈なハイキックを繰り出すことも可能。巨大ロボットのアクション表現に飛躍的な進歩をもたらした。

第1話で珍獣ミーヤを仲間に迎えたジャスピオンは、第2話で氷の惑星ピース、第3話で惑星ドドを巡った後、「太古の昔、巨獣が支配していたといわれる惑星」=すなわち我々の住む地球にやってくる。第4話「第3惑星に進路をとれ」以降、ジャスピオンたちは地球に拠点を定め、サタンゴースとその息子・マッドギャラン(演:春田純一)の魔の手から人々の平和を守ろうと決意を固める。地球には巨獣ガイオスをはじめ、数多くの巨獣が眠っているという設定があるほか、マッドギャランが宇宙から呼び寄せた巨獣も登場。テツゴス、ナマゲラス、イワゴリーラ、バドルゲスなどのオーソドックスな怪獣然としたものから、キダマー、カベゴンタ、ダイヤゴラスに代表される突飛なシルエットを持つもの、アイガー、フォードンなどの戦闘に特化したものまで、バラエティに富んだユニークな巨獣が活躍を見せ、毎回のダイレオンとの決戦を彩った。ダイレオンのアクションは回を追うごとにダイナミックさを増していき、空中で二度、三度グルングルンと回転してみたり、巨獣をかかえてバックドロップを決めたり、目を見張る格闘戦を幾度となく披露した。

  • 徳間書店『SUPER VISUAL SPECIAL6 巨獣特捜ジャスピオン』表紙(著者私物)。雑誌『テレビランド』のために撮影された美麗かつ貴重なスチール写真で構成された写真集

ジャスピオン役には、当時すでに『伊賀野カバ丸』(1983年)『コータローまかりとおる!』(1984年)と2本の映画作品で主演を務め、JAC(現:JAE)の若きアクションスターとして人気を集めた黒崎輝がキャスティングされた。野性味あふれるアクションとコミカルな演技を得意とする黒崎は、まさに銀河宇宙を冒険する野生児、銀河のターザンというジャスピオンのイメージにピッタリ。ふだんはアンリやミーヤとドタバタなかけあいをしているが、マッドギャランの暗躍をかぎつけたとたん、精悍なヒーローの顔つきになってタフな戦いを展開する。作り手が目指した「誰もが気軽に声をかけられる、親しみやすいヒーロー像」を体現できる俳優として、黒崎は最適だったといえるだろう。

『大戦隊ゴーグルファイブ』(1982年)でゴーグルブラック/黒田官平、そして『科学戦隊ダイナマン』(1983年)でダイナブラック/星川竜と2年連続で変身ヒーローを演じた春田純一が、本格的な悪役に挑んだマッドギャランも強烈な印象を残すキャラクターである。父・サタンゴースを崇拝するマッドギャランは、地球全体を巨獣たちが暴れ回る「巨獣帝国」に変えようと企み、手下の異星人軍団を率いて人間にさまざまな挑戦を仕掛けてくる。ふだんはサングラスをかけたクールな青年の姿だが、戦闘時にはサングラスを取り、目が怪しく発光すると同時に漆黒の戦士に変貌。ジャスピオンを脅かすライバルとして、存在感を高めた。

『巨獣特捜ジャスピオン』は、ジャスピオン、マッドギャラン、ブーメラン(演:渡洋史)といった俊英アクションスターによる超人的ライブアクション、ジャスピオンが駆使するメタルテックスーツ、ビームスキャナーガン、プラズマブレーザーソードなどのメカニカルな装備、アイアンウルフやガービンをはじめとする戦闘メカ、ダイレオンと巨獣のダイナミックな格闘アクションなど、数々の魅力が盛り込まれた特濃サービス満点の特撮アクション作品として、放送から36年を経た今でも作品を愛するファンによって伝説的に語り継がれている。放送当時発売された「DX超合金ダイレオン」も変型ギミック、プロポーションともに優れた出来栄えで人気を集めたが、今回登場する「超合金魂GX-97 超惑星戦闘巨人ダイレオン」はさらなるディテールアップやギミック、塗装が施され、熱烈な『ジャスピオン』ファンの期待に十分応え得る仕上がりになっているようだ。

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