ウルトラマンティガの外見上の大きな特徴は、従来の「銀+赤」に「紫」が加わったボディカラー。そして胸に備わった『ウルトラセブン』『ウルトラマンタロウ』風のプロテクターである。初代『ウルトラマン』のリメイク要素の強いウルトラマンパワードやウルトラマンGと比べるといっそう、ティガのデザインが"新しいウルトラマン像"を作るため、デリケートかつ大胆な改革を行っていることがわかるというものだ。

その一方で、ティガの目の色は初代ウルトラマン、帰ってきたウルトラマン(ウルトラマンジャック)を思わせる乳白色に輝いており、このあたりにウルトラマンとしての原点回帰を感じることができる。シンプルで無駄のない初代ウルトラマンのベーシックな佇まいを生かしつつ、超一流の料理人のように絶妙なさじ加減の味付けを施して、新時代のウルトラマンを作り上げたデザイナー・丸山浩氏の手腕に、改めて感心させられる。

また、ウルトラマンティガ最大の特徴として、戦う相手の特性に応じて2種類のタイプにチェンジする能力が挙げられる。第1話では怪力をふるう怪獣ゴルザに対して、通常の「マルチタイプ」から赤いラインの「パワータイプ」にチェンジ。そして空を高速で飛び回る怪獣メルバには、紫のラインの「スカイタイプ」にチェンジして立ち向かっていた。一定のポーズを取ったティガ(マルチタイプ)が、カットを割らずに体色を赤(または紫)に変化させ、間髪入れず怪獣に向っていくアクションスタイルは非常にスマートで、今までのウルトラマンとはひと味違うカッコよさが感じられた。

『ティガ』では、それまで主流だったウルトラマン、ウルトラ兄弟の設定(M78星雲・光の国から来た正義のヒーロー)から離れ、3000万年前に地球を訪れていた"超古代戦士"が現代に復活した存在="光の巨人"として描かれているのも興味深い。第1作『ウルトラマン』の最終回(第39話)「さらばウルトラマン」にて判明したウルトラマンの年齢設定は「2万歳」であり、これを基準にして他のウルトラ兄弟も〇万歳、〇千歳という設定が考案されている。兄弟を見守るウルトラの父は16万歳であり、伝説の超人と呼ばれているウルトラマンキングに至っては30万歳という高齢なのだが、そんなキングでも3000万年前のティガとは比べものにならない。基本設定の面においても『ティガ』は従来のウルトラマンシリーズとは違う、独自の世界観を築きたいという思いがうかがえる。

16年ぶりの新作"国産"テレビシリーズを実現させた『ウルトラマンティガ』は、ウルトラマン生誕30周年にふさわしく原点に立ち返り、ダイゴ隊員(演:長野博/V6)をはじめとする特捜チームGUTSの隊員ひとりひとりの人物像を掘り下げるドラマ性を追求。怪獣出現→GUTS出動→戦闘→ウルトラマンティガの活躍→勝利といった特撮テレビドラマ"黄金パターン"を大切にした上で、「怪獣はなぜこの世に出現するのか?」「ウルトラマンは人類を導いてくれる神なのか?」という根本的な問題に取り組んだエピソードも作られ、メインターゲットである子どもたちはもちろん、大人の特撮ファンをも大いに熱中させた。

第50~52話の"最終三部作"では世界を闇で満たそうとする超古代の怪獣ガタノゾーアが出現。絶望的なまでの強さで襲い来る邪神に挑む、ティガおよび全人類の総力戦がドラマチックに描かれた。

『ウルトラマンティガ』が好評をもって受け入れられたことで、続編『ウルトラマンダイナ』(1997年)が製作された。『ダイナ』は『ティガ』の最終回から7年後の設定で、新たなる光に導かれた主人公アスカ・シン(演:つるの剛士)がウルトラマンダイナへと変身。スーパーGUTSの仲間たちと共に、地球を脅かす脅威に立ち向かっていく。『ティガ』から『ダイナ』へと作品が継続していったことにより、「平成ウルトラマンシリーズ」が誕生。世界観を新たにして、よりSF風味を高めた『ウルトラマンガイア』(1998年)と合わせ、現在はそれぞれの作品の頭文字を取って「TDG」と呼ばれている。TDG三部作は平成ウルトラマンシリーズの原点的作品群として、四半世紀を迎えた今も多くのファンから愛されている。

ウルトラマンシリーズのターニングポイントというべき革新作『ウルトラマンティガ』。その真髄を受け継ぐ『ウルトラマントリガー』とはいかなる作品になるのか、その全貌は2021年7月10日に明かされる。

(C)円谷プロ (C)ウルトラマントリガー製作委員会・テレビ東京