• 『ウルトラマンティガ』エンディングテーマ『Brave Love.TIGA』シングルCDジャケット(著者私物)。歌唱の「地球防衛団」は岸谷五郎を団長とし、宇都宮隆、唐沢寿明など豪華メンバーで構成された音楽ユニット

80~90年代にかけて、「ウルトラマン」のキャラクターはさまざまな商品展開や再編集映像作品、『USA』『G』『パワード』といった海外合作作品、各地で行われるアトラクションショーなどによって、いつまでも色あせない"不滅"の存在になった。一方で、かつてのような連続テレビシリーズの"新作"を観ることは、もう叶わないのかもしれないというムードも漂っていた。

そんな中、1993年に円谷プロによる久々の新作巨大ヒーロー作品『電光超人グリッドマン』が放送開始。そして1994年には単発のテレビスペシャル『ウルトラセブン 太陽エネルギー作戦』が放送され、特撮ファンを歓喜させた。特に『グリッドマン』はコンピューターワールドという意欲的な設定や、ユニークで斬新なデザイン・造型の怪獣たちが毎週暴れ回る特撮の魅力で、視聴者の興味をひいた。

さらに円谷プロは「ウルトラマン生誕30周年(1996年)」に向けて意欲的な動きを見せる。1995年に新たなるウルトラヒーロー「ウルトラマンネオス」と「ウルトラセブン21」を創造し、アトラクションショーやプロモーション映像で活躍させた後、劇場用新作映画として『ウルトラマンゼアス』(1996年)を企画。人気お笑いタレント・とんねるずをメインに据えたコメディタッチの作品でありながら"頼りないヒーローが苦手を克服し、強くなる"といった成長ドラマが盛り込まれており、なおかつ歴代ウルトラマンシリーズに出演した俳優諸氏が大挙ゲスト出演する豪華さで、ウルトラマン生誕30周年にふさわしい娯楽映画を作り上げた。

映画『ウルトラマンゼアス』に続いて、連続テレビシリーズの製作も実現させたいと願った円谷プロは、先に挙げた『ウルトラマンネオス』とは別の、まったく新しいウルトラマンの企画を練り上げた。それが『ウルトラマンティガ』だった。製作のゴーサインが出たのが4月末、そして放送開始が9月7日と、決定から開始までの期間が4ヶ月しかなく、実際に撮影に入ったのは7月になってからだったという。ただでさえ時間のかかる特撮を駆使するのが売りのウルトラマンシリーズとしては異例ともいえるタイトさで、それでもスタッフ各氏は"16年ぶりの国産テレビシリーズ"のウルトラマンを作り上げるべく、情熱をそそいだ。