キリンホールディングスと協和発酵バイオでは、「アミノ酸」に関するセミナーを実施した。本稿では、コロナ禍で健康に不安を感じる方に向けた「ニューノーマル時代の健康管理とアミノ酸習慣」に関する情報をレポートする。

  • セミナーに登壇した協和発酵バイオ コンシューマープロダクト事業部長(兼キリンホールディングス ヘルスサイエンス事業部 主幹)髙久直也氏、同 コンシューマープロダクト事業部(兼キリンホールディングス ヘルスサイエンス事業部)森脇圭氏

キリングループが手掛ける領域のひとつが、サプリメントや健康食品・飲料を通して健康課題を解決し、経済的・社会的価値を創出する「ヘルスサイエンス」領域だ。「プラズマ乳酸菌」など、同社が持つ様々な素材ポートフォリオのなかには、「オルニチン」「シトルリン」「アルギニン」といったアミノ酸もある。

今回のセミナーでは、キリングループであり、「アミノ酸」に関して世界有数の歴史と実績を持つ協和発酵バイオの髙久直也氏、森脇圭氏が解説を行った。

ニューノーマル時代の健康管理とアミノ酸習慣

「そもそもアミノ酸とはどのようなものかご存じですか?」と森脇氏。

アミノ酸とは体の約20%を占めている栄養素で、アミノ基とカルボキシル基をもつ化合物の総称だという。栄養素としてはもっともベーシックなもののひとつと言える。不足すると栄養失調として生命維持に支障をきたしてしまうそうだ。体重が50kgの人間の場合、約10kgがアミノ酸であり大きな割合を占める栄養素だ。

協和発酵バイオの調べによると、2015年の機能性表示食品届出制度により、機能性アミノ酸市場は急速に拡大しているという。代表的な機能の内容として、GABAやテアニンといったアミノ酸の名前を耳にすることも多いだろう。

そういったアミノ酸について、「私たちの健康維持に役立つもので、欠かせない栄養素です」と森脇氏は語る。

健康に大切な3つの要素として「バランスの取れた食事」「適度な運動」「良質な睡眠」が挙げられるが、昨今、コロナ禍による外出自粛で運動ができなかったり、健康への不安でストレスを感じていたりと、直接的ではなく、間接的に健康を脅かされている状況だ。

「アミノ酸のうち、オルニチンやテアニン、GABA は眠る前に飲むことで不安をやわらげ、睡眠の質を高めることが知られています。また運動効果を高めることが知られるBCAA、 アルギニン、シトルリン、グルタミン効率の良いからだ作りや、回復に役立ちます」と森脇氏。

セミナーでは、実際に健康維持に役立つアミノ酸が解説されたので紹介しよう。

睡眠に役立つアミノ酸

●回復系アミノ酸「L-オルニチン」:滋養食・しじみに多く含まれ、主に肝臓で働く「回復系アミノ酸」。体内の毒素を分解し、疲労回復を助ける。リラックスさせる神経にも作用していると言われる。

●リラックス系アミノ酸「GABA(γ-アミノ酪酸)」:高めの血圧を下げたり、ストレスを緩和すると言われる「リラックス系アミノ酸」。トマトに多く含まれることが知られる。

不足しがちな運動の効果を高めるアミノ酸

●元気のアミノ酸「L-アルギニン」:糖源性があり、体内では栄養素しても働く「元気のアミノ酸」。運動刺激により血中でNO(一酸化窒素)を放出する。肉や大豆、ニンニクに多く含まれる。

●めぐりのアミノ酸「L-シトルリン」:血中のアルギニン濃度を高めることで、NOの産生を促す「めぐりのアミノ酸」。国内では冷え性改善を訴求することが多い。スポーツアミノ酸としても有名だが、運動前に摂取することで疲れにくくなるため、おうちフィットネス初心者の三日坊主防止のお守りにも。

森脇氏によると、アルギニンとシトルリンは血管ともかかわりが強いそう。ストレスや睡眠不足でダメージを受けて血管が老化すると、様々な健康リスクがあるが、適切な運動をすることでしなやかさを取り戻せるという。試験によると、シトルリンの摂取により、運動することで血管の内側で産生されるNO(一酸化窒素)が発生し、血管を柔らかくする働きがあるという。また血中アルギニン濃度を高めることでも発生するそうだ。

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セミナーの最後に森脇氏は、「アミノ酸を飲んでいれば健康でいられるというわけではありません。健康には良質な睡眠・適度な運動・バランスの取れた食事が必要です。しかしアミノ酸は根本的に必要な栄養素なので、普段の健康習慣に気軽にプラスしてみてください」と締めくくった。