高度経済成長期とは異なり、今はなかなか将来の収入増が期待できない時代。また折からのコロナ禍もあって、今後の雇用や収入に不安を感じている人も多いかもしれない。
その一方で平均寿命はますます伸びており、老後資金への心配も募る。老後に備えての貯蓄額としては、当面の目標として「1,000万円」が意識されることも多いようだ。今回はマイナビニュース男女会員803人を対象にアンケート調査を実施、「1,000万円を貯めるために力を入れていたこと」など聞いてみた。
Q.あなたには1,000万円以上の貯蓄がありますか?
「はい」(41.5%)
「いいえ」(58.5%)
Q.1,000万円を貯めるために力を入れていたのは次のうちどれですか?(複数選択可)
1位「節約して貯蓄額を増やす」(71.2%)
2位「投資でお金を増やす」(42.3%)
3位「出世して給料を上げる」(23.7%)
4位「副業で収入を増やす」(23.4%)
5位「その他(自由回答)」(2.1%)
Q.1,000万円以上の貯蓄を作るために、具体的にはどのようなことを実践していましたか?(自由回答)
■「節約して貯蓄額を増やす」
・「切り詰めるところは切り詰めて節約し、ボーナスは使わない」(39歳女性/サービス/事務・企画・経営関連)
・「食品は半額で買うようにして食費を節約する。ポイ活をしてポイントで買い物をする」(49歳男性/医療・福祉・介護サービス/公共サービス関連)
・「実家で暮らす、もちろん家にお金は入れる。なるべく無料でできること、楽しめることを探して趣味にする。必要のない出費を減らして、そして実益にする。休日はよく図書館に通っていた」(38歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「たまったポイントを食材に換えて食費を軽減。ふるさと納税を活用して生活費を軽減。固定費を見直し、固定費を軽減」(40歳女性/広告・出版・印刷/クリエイティブ関連)
・「必要なものを必要な分しか買わない。投資信託や公社債などの資産運用をする」(30歳男性/コンピューター機器/IT関連技術職)
・「特に意識はしていなかったが、自然に貯まっていました。忙しく買い物をする機会が少ないので出費が少ないからだと思います」(48歳男性/総合商社/事務・企画・経営関連)
・「ポイントでなんとか日銭に稼ぐような活動をして、お金を捻出してできるだけいい生活をしようとしています」(41歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「ポイ活とアンケート、試写会への応募で映画代を捻出、全てキャッシュレス支払い」(47歳女性/専門商社/営業関連)
・「外貨で地道に長期貯蓄。買い物はポイント倍の時に買溜め、セール品を買う」(42歳女性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「携帯などの固定費を抑えられるように、時々家計の出費を見直す」(33歳女性/金融総合グループ/事務・企画・経営関連)
・「自転車操業の様な支出をせず、最初に給料をなるべく使わない生活を1カ月して、最低限どれだけの生活費がいるかを把握して、残りを自分でリスクを把握できる投資に無理なく回す」(48歳男性/流通・チェーンストア/販売・サービス関連)
・「コンビニで買うことを極力減らす。飲み物は家から持参。ポイントをためて、現金化する。ポイントで支払えるものはポイントで支払う」(47歳女性/コンピューター機器/IT関連技術職)
・「飲み物はマイボトル持参で、原則水。外食は原則しない。人付き合いは必要最低限にとどめる」(44歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/事務・企画・経営関連)
・「毎月の給料を預金していたら、いつのまにか1,000万円は超えていました。住居費がかからないので、貯まったと思います(結婚する時、既に自宅を建てていました)」(38歳女性/教育/専門サービス関連)
・「実家でパラサイト生活し、必要最低限の物しか買わない。交際費もゼロにするため、親しい友人も作らない」(46歳男性/物流・倉庫/販売・サービス関連)
・「小さいころからのお年玉や祖父母からもらった小遣いをこつこつと貯めて、それを元手に定期預金にした。昔は年利がよかったので、結構すぐにお金がたまった」(46歳女性/教育/事務・企画・経営関連)
・「毎月の貯金額とボーナスからの貯金額は、例え出費が多い月でも絶対に変えない。ある程度の出費額を見込んで通常使用する口座に入れておくようにして、貯金用の口座には余程の不慮の事故的な事がない限り手を出さない」(34歳女性/建設・土木/事務・企画・経営関連)
・「タバコを控えて、お酒を飲まず、なるべく節約を心掛けるように慎ましく暮らしてきました、自分は親からの財産相続は期待できないので、自分で貯めて老後に備えなければならないという危機感を持って生きていく心掛けが大切だと思います」(48歳男性/ホテル・旅館/事務・企画・経営関連)
■「投資でお金を増やす」
・「通常通り仕事をして無駄な出費はしない。余剰金は投資に回す」(36歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「株式投資で配当を貰いながら中長期運用する。ある一定の利益が出たら利確する」(47歳男性/サービス/営業関連)
・「高配当の株と株主優待のある株を持っているだけ。雪だるま式に資産が増えてゆく」(40歳男性/広告・出版・印刷/営業関連)
・「S&P 500 ETFを毎月買い増す。安い仕事を断る。要領の悪い顧客の仕事は断る。節税を怠らない(経費を付けまくる、ふるさと納税、イデコ等)」(42歳女性/化粧品・医薬品/その他技術職)
・「買い物をする時は必要以上にお金を持ち歩かず、買うものをメモして買うようにする。自動販売機を利用せず、水筒にお茶やコーヒーを入れて持参。ネットで買い物するときはポイントサイトを経由して買い物する。ポイントサイトでお小遣いを稼ぐ。手数料の安いインディックスファンドで利ざやを増やす」(48歳男性/食品/その他技術職)
・「貯蓄をしながら株式投資で増やしていき、ポイ活でポイントを増やしてから最近はポイント投資をしています」(49歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「ポイ活している。買い物時ポイント還元して、換金してコツコツ貯める。少額不動産を購入し、ある程度回収して売却する」(48歳男性/不動産/営業関連)
・「相続した不動産や株式などの資産運用を、効果的に行う」(36歳男性/クレジット・信販/営業関連)
・「株に投資しています。それから債券を購入しております。国債も金利が高くはないものの、安全性が高いので購入しています」(38歳女性/その他/その他・専業主婦等)
■「出世して給料を上げる」
・「年収を上げることを意識して、仕事で結果を出す」(46歳女性/広告・出版・印刷/事務・企画・経営関連)
・「給料高ければ自然と溜まる」(55歳男性/証券・投資銀行/専門職関連)
・「本業で昇進した、さらに転職もした」(41歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「15年間も特定の彼女を作りませんでした。仕事に没頭している内に自然と1,000万円は溜まっていました。その1,000万円を軍資金にして、現在は不動産、株、債券、ビットコインなど投資家生活をエンジョイしています。彼女も沢山できました。残念なことは自身来年40歳となり、だいぶ歳を取り過ぎてしまいました」(39歳男性/物流・倉庫/技能工・運輸・設備関連)
■「副業で収入を増やす」
・「自作物をオークションで販売」(43歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「小説家になって印税でもらっています」(36歳男性/輸送用機器/営業関連)
・「Tポイントを荒稼ぎし、ヤフオクで期待できるものを買い、ヤフオクで高値で売りもうけている」(32歳男性/教育/専門職関連)
・「マイナビさんのこのアンケートでポイント稼ぎをしてますよ! いつもありがとうございます」(48歳男性/物流・倉庫/技能工・運輸・設備関連)
■総評
調査の結果、マイナビニュース会員の中で1,000万円以上の貯蓄がある人は41.5%と、4割以上となった。
1,000万円を貯めるために力を入れていたことを聞いたところ(複数選択可)、1位は7割以上が回答した「節約して貯蓄額を増やす」(71.2%)。以下、2位「投資でお金を増やす」(42.3%)、3位「出世して給料を上げる」(23.7%)、4位「副業で収入を増やす」(23.4%)と続いた。
続いて、1,000万円以上の貯蓄を作るために、具体的にはどのようなことを実践していたかを尋ねた。今回は一つのコメントに複数の実践方法を記す人が多く、ごく大まかな、便宜的な分類となっている。中でも特に、前問で1位・2位となった「節約して貯蓄額を増やす」と「投資でお金を増やす」を中心としているものが目立つ。つまり、日常的な節約や堅実な貯金を行い、余裕資金で投資を行なっているという人が多くいることがわかった。
節約にあたっては家計を見直し、無駄な出費をカットすることで貯金を増やすという人が多い。格安スマホへの乗り換えやネットバンクへの切り替えで通信料金や手数料を抑える。コンビニでの買い物を控える。バーゲン品や値下げ品、見切り品を購入する。会社にお弁当や飲み物を持参する。ランチ会や飲み会にはなるべく参加しないなど、その手法はさまざまだ。
また、キーワードとして「ポイ活」を挙げる人も目立った。「ポイ活」は、日々の生活の中でポイントを貯め、現金を使わずに買い物などすること。いまは各種サービスでポイントが付与されることが多く、有効活用すれば大きなメリットにつながるということだろう。
「投資でお金を増やす」では前述の通りリスクを取ることはせず、堅実で安全性の高い商品を選択している様子が見られた。コメントにあった「株式投資で配当を貰いながら中長期運用する。ある一定の利益が出たら利確する」というのが、代表的なスタイルかもしれない。
平均的な会社員であればおそらく、1,000万円を貯めることはそう容易いことではないだろう。親の遺産を引き継いだり、宝くじやギャンブルで大金が転がり込んだということでもない限り、多くの人は日々地道に働きながら貯蓄に励んでいるはずだ。今回の調査でもそんな私たちの、堅実な日常が垣間見えるものとなっている。
調査時期: 2021年3月23日
調査対象: マイナビニュース男女会員
調査数: 803人
調査方法: インターネットログイン式アンケート
※写真と本文は関係ありません