2017年1月クールに、テレビ東京ドラマ24枠で放送され、共同生活を送る"おじさんのテラスハウス"として話題を集めた"ゆるシブ"コメディ『バイプレイヤーズ』。ドラマシリーズ1、2を経て、2021年1月クールには『バイプレイヤーズ~名脇役の森の100日間~』が放送され、4月9日より映画『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』が公開されている。

ハウス、島と舞台を移してきた同作が今回描くのは、都会からはなれた森に囲まれた大きな撮影所“バイプレウッド”の物語。各局の連ドラや映画作品が一気に集まってしまったことで起きる大騒動には100人の俳優が集結し、パロディネタや業界ネタも満載となっている。今回は、パート1から出演し続ける田口トモロヲ、松重豊、光石研、遠藤憲一にインタビュー。シリーズが始まった時からまさかの「かわいい」といった反応も多かった同作について、話を聞いた。

  • 映画『バイプレイヤーズ〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら〜』に出演する松重豊 、田口トモロヲ、光石研、遠藤憲一

    左から松重豊 、田口トモロヲ、光石研、遠藤憲一 撮影:泉山美代子

■故・大杉漣さん不在に不安も、4人の安心感

——これまでの作品でも絆が深まっている皆さんですが、今回改めて映画・ドラマを撮影されて、『バイプレイヤーズ』の現場ならではの楽しさはどんなところにあると思いましたか?

田口:シーズン1、2を共に作り上げてきた大杉漣さんがリーダーとして存在していたので、漣さんの不在は大きいんです。これまでと同じようなことはできないという気持ちでやらせていただいたんですけど、4人で会うと楽しいから、はしゃいじゃう。時間が空いても、メンバーがそろった瞬間に積み上げた安心感、培われたものが再生される感じで、すごく楽しかったです。

松重:『バイプレイヤーズ』という作品の特殊性は、実名でやっているところ。観てるお客さんも個人と役の境目を知りたいんだろうし、僕らも「これ芝居なの? 本物なの?」というギリギリのところを見せるのが究極の目的で、そこに大前提があります。虚実を面白く見せればいいんじゃないかというところなので、普段から関係性が出来てるんです。カメラが回った瞬間から作品が始まるんじゃなくて、僕らがいるところからすでに何かが始まってる。僕らも、外に出していい部分と放送できない部分は使い分けているし。

田口:僕の下ネタね(笑)

松重:そこは、確実にカットラインだなとわかる(笑)。その辺の虚実ない交ぜ感は、やっていてすごく楽しいところです。

光石:たぶん最初の6人がもっと若い時に揃ってやろうとしていたら、色んなことがあったんだろうけど、みんな50歳過ぎて集まったのがすごく良かったんじゃないかな。皆、節度を持って品良く芝居できてるんじゃないかと、僕は勝手に思ってるんですけど。

松重:品、良いですか? トモロヲさんの下ネタは……?

光石:そういうところも、品が良いじゃないですか(笑)

遠藤:本当に、楽しかった。バカ騒ぎしているうちに終わっちゃった、という感じだったけど、俺はフィリピンの場面が多かったので、もうちょっと出してもらったら良かった(笑)。雑談と芝居の狭間でバーンといけるので、「何かをしよう」といったこともないし、日常会話のように思いついたことをやりとりしていて。これはすぐに出来るようなことじゃないので、良い感じの仲間になったなと思いました。

——役者さんが100人出演するというところでもすごい映画ですが、誰か印象に残ってる方はいますか?

田口:意外と、他の方と会ってないんです。ブルーバック撮影の時はおじさんばっかりだったので、おじさんの同窓会みたいな状態で、昔話や健康と介護の話ばかり。芝居、見てなかったなあ。芝居を気にするような集まりじゃなかったです(笑)

全員:(笑)

松重:『バイプレイヤーズ』は役じゃなくて自分の名前を背負ってやっているので、「演じてるな」と言われた瞬間に、恥ずかしい人になっちゃう。「役割を演じてるんだ」というところが見えちゃうと、その人自体が浮いちゃう感じがあると思うんです。皆「演じてる」というところをうまく消して映像の中に入り込んでる感覚があります。誰の演技が良かったというより、皆元気で良かったなと思ったくらい。控えの場所からシチュエーションのシーンに入っていく瞬間も、すべて作品として捉えられる感じで、そこも逆に面白かったりする。

光石:若い人たちがすごい。僕がたぶん濱田(岳)君くらいの年齢の時に、60歳前後の人たちの中に入ったらガチガチだったろうけど、全然彼らは遜色なく出てきて楽しくして帰っていく。今の人たちはすごいなと思いました。皆、すごかったです。

遠藤:俺だけ異質な話になっちゃいますけど、フィリピンの場面で出てきた女性は、初めて出た三池崇史さんの映画(『天国から来た男たち』)に出ていた子だったんです。フィリピンを舞台にした作品だったんだけど、そこに出ていた方が東京に来ていてオーディション受けて選ばれたそうで、再会した時にはびっくりしました。すっかりベテランの域になって、演技に対してもすごくこだわりのある人になってたから、ハグするシーンで「え~んどう、ちょっと早いよ。もうちょっとゆっくりしたとこで、私が涙出すから」と。もう、彼女から言われる通りに(笑)

全員:(笑)

光石:素敵な話ですね(笑)

■「かわいい」を意識しはじめた!?

——『バイプレイヤーズ』は始まった当初から女性人気も大きくて、「かわいい」「萌える」といった声もありましたが、そういった反応についてはどうとらえられてましたか?

遠藤:シーズン1の時に、「かわいい」って言われはじめたんだっけ? たぶんシーズン2からみんなちょっとずつ変わってきて、衣装にこだわるようになったのか、おしゃれになっていった(笑)

全員:(笑)

光石:そうだっけ!?(笑) ずっと千葉で撮っていたので、あんまりそういうのは漏れ聞こえてこなかったかな。

松重:でも、シーズン2で千葉の海に入ってタイトルバックを撮っているときに、割とギャラリーがいて、地元の人たちがキャーキャー言ってたんです。

光石:意識してる!

松重:僕らはスーツで海から上がって来て、5人でしょう? 嵐と間違えられてるんじゃないかと(笑)。「俺ら、嵐と間違えられてるんじゃないの!?」という話をしたら、光石さん、「俺が二ノかな」と言ったんですよ。そのときに、「意識する」とはこういうことなんだと……。

光石:冗談で言ったんだよ!(笑)

松重:「かわいい」と思われることを、自分の中に二ノとして落とし込んでるんです!

遠藤:そういえば、今回(有村)架純ちゃんが出てるから、父親みたいな気持ちで「架純ちゃん、かわいいよね」と光石さんに言ったら、「うん、タイプかな」って。

全員:(笑)

光石:冗談で言ってみただけだよ!(笑)

松重:かわいい担当を1番意識されてるのは光石さんです(笑)

光石:してない、してない!(笑)

田口:僕にはそういった評判は全く聞こえてこなかったんですが、そんなに入ってたんだ、光石さんの耳には!(笑) 意外でしたけど、街で偶然女性に「観てます!」と言われたことはあります。

——ちなみに今の流れで、松重さん、田口さん、遠藤さんの担当はいかがですか?

松重:僕は、世話係です。大杉さんの腹心ですから。

田口:僕は下ネタ担当です。

遠藤:俺は幼稚だから、おはしゃぎ担当!(笑)

——では、このメンバーで、「今だから言っておきたいこと」はありますか?

松重:僕ら、けっこう言っているんです。腹に溜めることができないので、ずっとしゃべって、口に出てるから、腹に据えかねるということもない関係です。ただ、光石さんが二ノをとっちゃったので、「誰が松潤なんだ」というところは……。

光石:ないよ!(笑)

遠藤:俺は、怒られたことがある。1回皆で待ち合わせた時に、前日に松ちゃん(松重)に「ここだよ」と言われてたのに、違うところで待ってて。

光石:あった! 僕と松重さんは2人で待っていたんですよ。で、遠藤さんと田口さんが来ない、と。段取りしてたのは松重さんですから、「おかしいな」とちょっとイライラしはじめ、「光石さん、ここで待ってて」と、パッと別の場所を見てすぐ帰ってきて「いた、2人いた!」って。

田口:車に乗ってたの。

遠藤:「(待ち合わせは)下って言ったでしょ!? 言いましたよね!?」って、すげー怒られた(笑)

松重:俺、そういうことだったら本書けるよ! 皆の暴露をしていいんだったら、だらしなさとか、聞いてなさ加減とか(笑)

光石:あれ、怒られてたね。でも全然ヘラヘラしてるの(笑)

田口:もう撮影現場の話でもない。日常生活だから(笑)

■田口トモロヲ
1957年11月30日生まれ、東京都出身。俳優・監督として様々な作品に関わり、NHK総合のドキュメンタリー番組『プロジェクトX〜挑戦者たち〜』(00〜05年)ではナレーションも好評となる。近年の出演作に映画『パラレルワールド・ラブストーリー』『見えない目撃者』(19年)、『ミッドナイトスワン』(20年)など。公開待機作に『夏への扉-キミのいる未来へ-』(6月25日公開)がある。

■松重豊
1963年1月19日生まれ、福岡県出身。舞台・映画・ドラマと活躍し、12年にドラマ『孤独のグルメ』で連続テレビドラマ初主演を果たした。近年の出演作に大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』『悪党~加害者追跡調査~』(19年)、映画『検察側の罪人』『コーヒーが冷めないうちに』(18年)、『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』(19年)、『グッドバイ〜嘘からはじまる人生喜劇〜』『罪の声』(20年)など。公開待機作に『老後の資金がありません!』(21年公開)などがある。

■光石研
1961年9月26日生まれ、福岡県出身。1978年、16歳の時に映画『博多っ子純情』のオーディションを受け、主役に抜擢される。以降、様々な作品に出演し、大河ドラマやNHK 連続テレビ小説でも名バイプレイヤーとして活躍。2011年には第3回TAMA映画賞最優秀男優賞、2016年には第37回ヨコハマ映画祭・助演男優賞を受賞する。2019年には『デザイナー 渋井直人の休日』で主演を務めた。公開待機作に『由宇子の天秤』(2021年公開)がある。

■遠藤憲一
1961年6月28日生まれ、東京都出身。Vシネマ、映画、ドラマなどで幅広く活躍し、2009年にはドラマ『湯けむりスナイパー』での連ドラ初主演も話題に。近年の出演作にドラマ『さすらい温泉 遠藤憲一』『それぞれの断崖』『私のおじさん〜WATAOJI〜』(19年)、『竜の道 二つの顔の復讐者』(20年)など。公開待機作に映画『地獄の花園』(5月21日公開)がある。