幕張メッセ(千葉県)で開催しているヘリテージカーの祭典「オートモビル カウンシル2021」(AUTOMOBILE COUNCIL 2021、会期は4/11まで)で、ジェームス・ディーンが最後に乗っていたポルシェ「550 スパイダー」らしきクルマを発見した。しかも、値段が書いてあるので、その気になれば800万円台で買えるらしい。一体どういうことなのか、出展者に聞いてみた。

  • ベック 550 スパイダー

    あ、「550 スパイダー」だ!

実は新車だった!

「550 スパイダー」はポルシェが1954年に発売したスポーツカー。ジェームス・ディーンが1955年9月に自動車事故で亡くなった時に乗っていたのも、このクルマである。

「オートモビル カウンシル2021」に写真のクルマを出展していたのは、大阪府にあるヨシムラオートという会社。同社代表取締役の吉村雅一さんによると、このクルマは「550 スパイダー」のレプリカで、米国はインディアナ州にあるベックというメーカーが作っているそうだ。つまり、この「550 スパイダー」はレプリカではあるものの新車なのである。

  • ベック 550 スパイダー

    伝説のクルマ「550 スパイダー」に新車で乗れる?

「ベック GTS」というクルマに乗っていて、レースにも参加している吉村さんは、自らインディアナに足を運び、ベックのクルマの輸入を始めたという。GTSは生産台数が年間5台と少ないことから、それよりも生産台数の多い(といっても年間25台らしいが)「ベック 550 スパイダー」も輸入してみようと考えたとのことだ。

  • ベック 550 スパイダー

    レプリカではあるものの希少なことに変わりはなく、生産台数も少ないので世界的に取り合いになっているという「ベック 550 スパイダー」

ベックが本物のように一から作っている「550 スパイダー」だが、例えばエンジンやブレーキなどは現代のものを使用している。写真の個体はフォルクスワーゲンのエンジンを搭載していているとのこと。ほかにも、スバルの2.5L水冷エンジンを搭載するバージョンもあるという。もしもエンジンが当時のままであれば、部品がなかったり職人がいなかったりするので、壊れてしまったらおそらく修復は不可能だが、このレプリカであれば中身は現代版なのでそもそも壊れにくいだろうし、何かあっても直せるはずだ。

  • ベック 550 スパイダー

    屋根には幌が取り付けられるそうだ

写真のクルマは「フルオプション」の状態で、値段は830万円となっている。吉村さんは現地での価格、インディアナからカリフォルニアへの陸送、そこからの船賃、登録料、そのほかの諸経費などについていろいろと話してくれたが、書いてもいいかわからないので筆者の主観でいうと、830万円というのは、あまり利益を乗っけていない価格だなと思えた。「あんまり高く書くと、売れませんからね(笑)」というのが吉村さんの言葉だ。

吉村さんは先にクルマを仕入れてから売る「現物主義」を大切にしているそうなので、「ベック 550 スパイダー」が欲しいと思った場合、ヨシムラオートに在庫があれば、すぐに購入できるそうだ。写真のクルマも、その場で「買った!」といえるだけの度胸さえあれば、おそらく売ってくれたに違いない。伝説的なクルマに、レプリカとはいえ800万円台で乗れるというのは、とても魅力的な話だと思った次第だ。

  • ベック 550 スパイダー
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