20歳になったら国民年金に加入しますが、いつまで払って、いつから受け取るのかご存知でしょうか。分かっているようで実はよく分かってない年金制度。保険料を納めるからには、制度内容を知っておきたいですね。公的な年金は、国民年金と厚生年金の2種類ありますが、ここでは国民年金についてお伝えします。
■国民年金のキホンのキ
日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、国民年金に加入します。国籍は関係ありません。外国人であっても日本に住民票があれば国民年金に加入しますし、逆に日本人でも海外に住んでいれば国民年金の加入義務はありません。
国民年金の保険料は、2021年度は1万6,610円ですが、毎年同じ金額とは限りません。保険料は物価や賃金に連動するので、毎年少し上下しています。
保険料を納める期間と支払い方法
保険料を納めるのは20歳から60歳になるまでで、納める方法は毎月納付、まとめて納付の制度があります。まとめて納付する方法を前納と言い、前もってまとめて納めることで割引を受けられます。
前納期間としては6カ月、1年、2年があり、期間が長いほど保険料の割引額が大きくなる仕組みになっています。また、月々納める方法でも通常より1カ月早く納める方法であれば、早割が適用され、保険料の割引を受けられます。
割引額は現金納付か、口座振替かクレジットカードかによって異なります。最も割引額が大きいのが、口座振替で、2年前納すると割引額が1万5,850円です。クレジットカード納付、現金納付なら割引額は1万4,590円です。いずれの方法でも約1カ月分の保険料に相当する金額なので、お得ですね。しかもこの割引額、1カ月複利で年利4%に相当するそうです。年平均に換算すると約1.8%の割引になりますが、それでも銀行の金利に比べると高いといえますね。
納付猶予制度や免除制度も
とはいえ、保険料の支払い自体が家計的に苦しい人もいることでしょう。そのような際には、納付猶予制度や免除制度を利用しましょう。納付猶予制度は20歳から50歳未満の方で所得が一定以下の場合に利用できます。名前の通り猶予(先送り)する制度です。免除されているわけではありません。学生の時に学生納付特例を利用した人は多いと思いますが、これも納付猶予です。
一方、免除制度は所得が一定以下の場合、保険料の納付が免除されます。免除の場合、老後の年金は少なくなりますが、国庫負担(税金)があるためゼロにはなりません。
出典 : 日本年金機構
■年金の受け取りは、いつからいくら?
年金の受け取りは原則65歳から始まります。20歳から60歳まできっちり保険料を納めると65歳から満額の年金を受け取ることができます。年金も保険料同様、物価や賃金に連動するので毎年同じ金額ではありません。2021年度の満額の年金額は78万900円です。
ただ、きっちり保険料を納めていなくても、受給資格期間が10年あれば年金を受け取れます。受給資格期間とは保険料を納めた期間、猶予や免除された期間等を合計した期間です。10年に満たない場合は、受け取れません。
また、受給資格期間が10年以上あったとしても、納付していない期間等があると満額より少ない金額になってしまいます。そのため、年金の受給条件を満たしたり、年金額をアップさせたりするために、60歳以降も65歳まで国民年金に任意で加入できる任意加入制度があります。免除や猶予制度を利用した場合、あとから保険料を納めることはできますが、10年以内というタイムリミットがあります。10年以上経つと、納められませんが、任意加入することで、リベンジできるということです。
繰り上げ・繰り下げ制度
また年金の受け取りは原則65歳ですが、65歳より前に受け取る繰り上げ制度、65歳より後に受け取る繰り下げの制度があります。繰り上げした場合、年金は減額され、繰り下げをすると年金は増額され、その増減率は一生続きます。
では、繰り上げ、繰り下げすると、年金はどの程度増減するのでしょうか。繰り上げの減額率は1カ月あたり0.5%(2022年から0.4%)です。もし5年繰り上げて60歳から年金を受け取ると、30%減額(2022年から24%減額)しますから、78万900円の年金は54万6,630円になるということです。一方、繰り下げの増額率は1カ月あたり0.7%です。5年繰り下げて70歳から受け取ると42%増額になり、110万8,878円になります。
■現役時代は「納めて増やす」
年金をどのように受け取ると得か損か、といった情報は数多くありますが、ベストな受け取り方はその人次第です。自分自身の家計状況、働き方、家族構成、老後をどのように過ごしたいかによって、ベストな受け取り方は変わるでしょう。しかし、ベストな受け取り方を知るためには、自分の年金について、知らないと、考えることはできません。
また、老後を不安なく過ごすためには、年金を受け取れない、あるいは、受け取れたとしても低年金、このような状況は避けたいものです。そのためには、やはり現役時代に納められる年金は納めておくことです。年金額には自分の過去が反映されています。後悔しないよう、自分の年金について考えてみましょう。