みなさんは雲外蒼天という言葉を知っていますか。著名人の座右の銘として耳にしたことがあるかもしれません。響きは少し難しいですが、字を見れば案外、理解しやすい言葉です。
雲外蒼天は、もともとの意味「雲の外は青空」が転じて「困難の先には明るい未来」と捉えられ、ビジネスシーンではスローガンやスピーチに多く用いられます。ポジティブな印象で励ましの意味を持つ雲外蒼天。今回はその意味や使い方、例文、類語を紹介します。
雲外蒼天の意味
雲外蒼天には、「困難を努力して乗り越えた先には、明るい未来がある」という意味があります。文字通り「雲の外には、青空が広がっている」という意味から転じたと考えられています。
苦労している友人に、「ここを乗り越えれば明るい未来が待っているよ」と励ましのメッセージを送りたいときに最適です。
雲外蒼天は座右の銘として人気
広く知られるようになったのは、1980年代の終わりごろ。著名人が座右の銘として取り上げたことがきっかけです。最初は経済人から好まれたようですが、のちに政治家やアスリートへ広がったといわれています。
読み方は「うんがいそうてん」
「雲外蒼天」の読み方は「うんがいそうてん」です。「蒼」は「あお」という読み方は知っていても、「そう」が思い浮かばないという方も多いでしょう。顔面蒼白(がんめそうはく)の「そう」と同じだと思っておくと、少し思い出しやすくなるかもしれません。そのほかの漢字は特別難しい読み方ではありません。この機会に、ぜひ覚えてみてください。
雲外蒼天の使い方や例文
聞きなじみがないため、若い方には少しハードルが高いかもしれません。しかし、悩んでいる友人や失敗で落ち込む同僚を「今はつらいけど、頑張れば報われるよ」と励ますことができる、頼りになる言葉です。
ここからは雲外蒼天を用いた例文をご紹介します。難しい言葉だと気後れせずに、使い方を知り活用してみましょう。
雲外蒼天を信じる
今はまだ努力が報われていない困難な状況で、励ましや自分を鼓舞するときに使います。
<使用例>
- 大事な試合で負けてしまったが、雲外蒼天を信じて次の試合に向けて練習に励んだ
- 「雲外蒼天を信じて頑張ろう」と、みんなで声をかけ合った
雲外蒼天の極み
苦労してやっと成功をつかんだ人を、賞賛したいときなどに使います。
<使用例>
- 一介の町工場から世界的企業に成長させた。まさに雲外蒼天の極みだね
- 大病を患ったが、闘病の末にトップアスリートに返り咲いた彼は、雲外蒼天の極みだ
雲外蒼天の類語・言い換え表現
雲外蒼天と似た意味を持つ言葉に、「開運見日」や「撥雲見天」があります。ほかに「雲外に蒼天あり」や「明けない夜はない」という表現にも置き換えられます。このような類語について解説していきます。
開雲見日
開雲見日とは、「厚い雲が晴れて、日の光がさす」が転じて、「心配ごとがなくなって、明るい未来が見える」という意味で使われます。雲外蒼天とは若干異なり、「誤解が解けて、真実が見える」というニュアンスを含みます。
<使用例>
- 彼が証言してくれたおかげで無罪が証明された。開雲見日だ
撥雲見日
「撥雲」とは、日光を遮っている厚い雲が晴れることを意味しています。心配事がなくなるといったニュアンスで使われますが、この言葉も常用漢字ではないと言えるでしょう。
<使用例>
- 融資の話がうまくまとまりそうなので撥雲見日の気分だ
雲外蒼天の英語表現
英語圏では励ましのフレーズとして多く使われるため、覚えて活用してみましょう。
There is always light behind the clouds
有名な小説「若草物語」の作者、ルイーザ・メイ・オルコットの言葉です。「雲の向こうはいつも青空が広がっている」と、他者や自分を鼓舞するニュアンスがあります。ネイティブには認知度の高いフレーズなので、使うと喜ばれるかもしれません。
There is azure sky waiting just beyond the clouds
「azure sky」とは紺碧の空という意味です。「雲の向こうに紺碧の空がある」と、雲外蒼天とほぼ同じ意味で使います。
雲外蒼天の意味や使い方を理解しよう
前向きでポジティブな印象の言葉、雲外蒼天を紹介してきました。「今を努力して乗り越えれば、明るい未来が待っている」という励ましの言葉に使われ、著名人の座右の銘としてもしばしば用いられます。
自分を鼓舞したいとき、仕事に行き詰まった同僚を励ましたいとき、雲外蒼天という言葉が救いになるかもしれません。