小田急電鉄とUDSは26日、「ロマンスカーミュージアム」の竣工お披露目会を実施した。「ロマンスカーミュージアム」は小田急線海老名駅隣接地に建設され、4月19日に開業予定。「“子ども”も“大人”も楽しめる鉄道ミュージアム」をコンセプトに、歴代の特急ロマンスカー車両などを展示し、多彩なコンテンツも用意した。

  • 「ロマンスカーミュージアム」に展示された歴代の特急ロマンスカー車両。写真左からSE(3000形)、NSE(3100形)、LSE(7000形)

1927(昭和2)年の小田急線開業以来、初の屋内常設展示施設となる「ロマンスカーミュージアム」は、小田急線海老名駅や海老名電車基地をはじめ、エリア開発の進む「ViNA GARDENS」とも隣接。小田急の歴史を後世に伝えるとともに、新たに誕生する街のシンボルとして、にぎわいを創出する。鉄骨造り地上2階建ての施設で、敷地面積は約4,000平方メートル、延床面積は約4,400平方メートル。事業主は小田急電鉄。企画・運営・デザイン監修は小田急グループのUDSが担当した。

歴代の特急ロマンスカー車両は、1階の「ロマンスカーギャラリー」に計5車種を展示した。SE(3000形)3両、NSE(3100形)3両、LSE(7000形)1両が並んで展示され、SE(3000形)とNSE(3100形)は一部の連結部通路のみ立入り可能。SE(3000形)は登場当時の塗装・形態に復元された先頭車と、御殿場線直通の「あさぎり」で活躍した頃の先頭車を見られる。NSE(3100形)の先頭車には、「さようなら 3100形(NSE)」のヘッドマークが掲げられていた。

  • ロマンスカー・SE(3000形)の外観・車内

  • 引退記念のヘッドマークを掲げたロマンスカー・NSE(3100形)

  • 展望席を備え、ハイデッカー構造が特徴だったロマンスカー・HiSE(10000形)

  • ロマンスカー・HiSE(10000形)の連接台車も間近に見ることができる

  • JR御殿場線直通の特急「あさぎり」で活躍したロマンスカー・RSE(20000形)。先頭車と2階建て車両を1両ずつ展示している

  • 「ロマンスカーミュージアム」の1階には、モハ1形を展示した「ヒストリーシアター」、ロマンスカーの歴史と小田急電鉄のあゆみを伝える「ロマンスカーアカデミア I」も

HiSE(10000形)は先頭車1両、RSE(20000形)は先頭車と2階建て車両の2両を展示し、それぞれ車内に入ることも可能。HiSE(10000形)の連接台車も間近に見ることができる。同じく1階の「ヒストリーシアター」では、小田急線開業当時の車両であるモハ1形を展示するとともに、小田急電鉄とロマンスカーの歴史を凝縮したショートムービーを放映。「ロマンスカーアカデミア I」では、小田急電鉄の歴史をまとめた企業年表に加え、同社の複々線化事業を学べる模型が展示されている。

2階の「ジオラマパーク」では、小田急線沿線を模した約190平方メートルの巨大ジオラマを展開し、ジオラマの全景を俯瞰できる階段状のデッキスペース「ジオラマビューテラス」も設置した。巨大ジオラマは新宿駅から江の島・大山・箱根などの観光地まで、HOゲージを中心に沿線の特徴と魅力を表現。ロマンスカー(10車種)と通勤電車(5車種)が走り、複々線をはじめとする鉄道設備も再現している。背景のパノラマスクリーンを活用し、映像・音響・照明で演出するジオラマショー「時間と距離のロマンス」を実施する。

  • 2階の「ジオラマパーク」では、新宿駅から江の島・箱根に至る沿線の多様さを巨大ジオラマで表現。映像・音響・照明で演出するジオラマショーも行われる

  • ジオラマ内を走るロマンスカーなどの運転体験もできる(1回3分 100円)

  • 2階「ロマンスカーアカデミア II」のインタラクティブアート

  • ロマンスカーシミュレーター“LSE(7000形)”。実際の運転台の機器を活用した

同じく2階の「ロマンスカーアカデミア II」では、2つのコンテンツが用意され、鉄道会社のまちづくりや運転士の仕事について理解を深められるエリアに。インタラクティブアート“電車とつくるまち”は、影に投影された映像に手をかざすと、動きに合わせて線路が引かれ、まちができていく体験型デジタルコンテンツとなっている。

ロマンスカーシミュレーター“LSE(7000形)”は、1980(昭和55)年の就役から40年近く活躍したLSE(7000形)で実際に使われた運転操作機器を活用。LSEに携った運転士のテストを踏まえ、リアルさも追求した本格仕様の電車運転シミュレーターとなっている。「秦野→本厚木」「本厚木→町田」「成城学園前→新宿」の3コースを用意し、実写映像によるリアルな運転体験を楽しめる。なお、利用は当日抽選制で1回500円。来館後、時間帯ごとの抽選で当選した人のみ体験できるとのこと。

  • ロマンスカーの乗務員による実演も行われた。実写映像はLSE(7000形)の引退前の走行時に撮影したものを使用している

  • 木でできたロマンスカー車両が並ぶ「キッズロマンスカーパーク」

  • 「キッズロマンスカーパーク」の中央に紙で作られたキッズジオラマがあり、自作のペーパートレインを走らせることもできる

  • 「キッズロマンスカーパーク」の車両内部はこどもたちが遊べる空間に

ロマンスカーをテーマにしたこどもたちのための空間「キッズロマンスカーパーク」も2階にあり、木でできたロマンスカー車両の内部にさまざまなタイプの遊び場を用意した。紙で作られたキッズジオラマも設置し、自作のペーパートレインを走らせることもできる。幼児を連れての来館に対応した設備として、みんなのトイレ、ベビールーム、ベビーカー置場なども設けている。

「キッズロマンスカーパーク」の隣、小田急電鉄オフィシャルグッズショップ「TRAINS(トレインズ) ロマンスカーミュージアム店」では、開業記念商品やここでしか手に入らない限定商品など販売。併設のカフェ「ROMANCECAR MUSEUM CLUBHOUSE」は来館者以外でも入店可能で、プレミアムなホットドッグを中心に、クラフトビールやスイーツなどのメニューをそろえている。屋上は「ステーションビューテラス」となっており、海老名駅や海老名電車基地を行き交う電車を一望できる。ロマンスカーの時刻表も掲示された。

  • 2階のミュージアムショップ「TRAINS」。開業記念商品も発売

  • 「ロマンスカーミュージアム」に併設されたカフェ「ROMANCECAR MUSEUM CLUBHOUSE」

  • 屋上の「ステーションビューテラス」。ロマンスカーの時刻表も掲示している

  • 「ロマンスカーミュージアム」の外観はシンプルなデザイン。木で組み上げたロマンスカーのオブジェを配置した

「ロマンスカーミュージアム」は4月19日に開業し、営業時間は10~18時(最終入館17時30分)。休館日は第2・4火曜日。料金は大人(中学生以上)900円、こども(小学生)400円、幼児(3歳以上)100円。なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、当面は事前予約制での入館となる。「ロマンスカーミュージアム」ウェブサイトにて、4月1日12時から予約受付を開始する。