歌舞伎俳優・市川海老蔵の十三代目市川團十郎白猿襲名を記念したフジテレビ系スペシャルドラマ『桶狭間~織田信長 覇王の誕生~』が、きょう26日(21:00~23:32)に放送される。

この作品は、織田信長を一躍戦国時代の主役に押し上げた一戦「桶狭間の戦い」を描いた本格時代劇で、主演の信長を演じる海老蔵のほか、時代劇初挑戦となる広瀬すずに、三上博史、中尾明慶、竹中直人、北村一輝、松田龍平、黒木瞳、佐藤浩市など、豪華キャストが名を連ねる大作となっている。

民放地上波ではほとんど制作されなくなった時代劇だが、敷居が高いことは一切なく、子供から大人まで誰もが楽しめるエンタテインメント作品。また、フジテレビが制作するからこその、実に“スタイリッシュ”な時代劇に仕上がった。

  • 『桶狭間~織田信長 覇王の誕生~』に主演する市川海老蔵 (C)フジテレビ

■歴史の行く末を知っていてもスリリングに

今作は、織田信長を主人公に、「桶狭間の戦い」に焦点を当てるという、多くの視聴者が主人公に対して一定のイメージを持ち、その合戦の行く末も少なからず知っている題材だ。しかし、クライマックスに待ち受ける「桶狭間の戦い」をカウントダウンするように時が刻まれていく緊張感と、その合間に挿入される“信長と合戦に関わる人物たち”の見応えのあるエピソードによって、2時間30分という大作にもかかわらず最初から最後まで飽させない物語運びとなっている。

その挿入されるドラマというのも、秀吉(中尾明慶)との出会い、父・信秀(北村一輝)が教えた覚悟、妻・濃姫(広瀬すず)とのふれあい、義父・斎藤道三(佐藤浩市)との交流、母・土田御前(黒木瞳)との複雑な親子問題、謀反を起こす柴田勝家(松田龍平)との師弟関係など、エピソード自体が興味深く濃密というのはもちろんなのだが、そこへ登場する演者たちが超豪華。目にも飽きさせず、次々と映し出されるシーンにくぎ付けになっていくのだ。

また、そのエピソードの中には、桶狭間の戦いに向けて陣営それぞれの思惑の変遷や、攻略のヒント、また偶然が重なったことで起こる好機などが、終盤のクライマックスへ集約されていく構造を見せている。そのため、行く末を知っている視聴者にとっても、スリリングなドラマとして十分楽しめるだろう。

多くのスター俳優が登場し、“重厚感”や“渋さ”だけが目立つようにも思えるが、『教場』でも注目を集めた味方良介が演じる信長の家臣・服部小平太や、最近注目の若手俳優・鈴鹿央士が演じる松平元康(後の徳川家康)、少年忍者の川崎皇輝が演じる若かりし頃の信長と、フレッシュな役者たちの躍動も印象に残る。今作の注目の1つでもある、映像作品として親子初共演となる海老蔵の長女・市川ぼたんちゃんと長男・堀越勸玄くんは、スター俳優たちとの堂々と、そして初々しい演技を披露している。

■抜群の存在感同士・信長×義元の対峙は圧巻

今作は、「市川團十郎白猿襲名記念ドラマ」と銘打っているだけあって、役者・市川海老蔵の魅力が爆発している。信長という“圧倒的な主人公”を見事に体現しているのはもちろん、信長が持つカリスマ性と柔軟性、「うつけ者」と呼ばれる奔放さ、変化を恐れない行動力、また時に運を天に任せる采配と決断力、時に妻・濃姫に見せる少年のような爽やかさなど、海老蔵でしか出せない、魅力たっぷりの信長になっているのだ。

海老蔵と言えばあの鋭い“眼力”。そのおかげで、画面に吸い込まれていく…終始そんな感覚にさせられる。

  • 市川海老蔵

  • 三上博史

  • (C)フジテレビ

圧倒的な存在感を見せるのは、主人公だけではない。桶狭間の戦いのもう1人の重要人物である信長の敵将・今川義元を演じる三上博史も、海老蔵に負けない異様なオーラを放っている。今川義元と言えば、お白粉でお歯黒の容姿に、馬ではなく輿に乗って出陣する…という“気位が高い”イメージで、共感しづらい姿を連想する人も多いだろう。今作でもその見た目のインパクトはもちろんあるのだが、三上が演じることによってデフォルメしすぎることがなく、人間味あふれるキャラクターに仕上がっている。

特に、終盤に待ち受ける信長との対峙(たいじ)は圧巻。双方が目指したものや信じるものが明るみとなり、それがぶつかり合う攻防戦は、2人が放つ“存在感の違い”も相まって緊迫感あふれる見事なシーンとなっている。これぞ「桶狭間の戦い」という最大のクライマックスを、2人の好演によって実現させているのだ。必見。