入社・異動した職場の直属の上司からパワハラを受けた時はどう対処すべき? 同じ職場に人の悪口や不平不満しか言わないグループがいた時に注意すべきことは? 理不尽な職場の人間関係にあっても、できるだけストレスを溜めずに過ごすための話し方について、ベストセラー『人は話し方が9割』の永松茂久さんに聞きました。

  • 「上司に叱られた時」のNGリアクションは? /『人は話し方が9割』著者・永松茂久

■直属の上司がパワハラ体質や相容れないタイプだったときの対処法は?

毎日顔を合わせる上司が高圧的で、理屈抜きできついというケースはあると思います。実際、仕事に行くのがつらすぎて「うつ」になったり、自殺するような人も増えているようですし、コロナがそれに追い打ちをかけている面もあります。

言いたいことも言えず、自分の中にストレスを溜め込んで、しまいには自分を責めて心が壊れていく人もいます。

とはいえこうした場合、順番で言うといきなり相手を避けるのではなく、1度はぶつかってみるべきだと私は思います。

人間関係の「三大原則」では、人は誰もが自分に一番興味があって、自分のことをわかってほしいし、自分のことをわかってくれる人を好きになります。

何か互いの共通点を見出して、一歩前に踏み出す努力をしてみる。それでも本当に嫌な人間だった場合、無責任かもしれませんが、私は「逃げなさい」と助言するようにしています。

そのかわり、直属でない別の自分を分かってくれる人、相性のいい人を見つけてその人とのコミュニケーションを3倍に増やせばいいと思います。

その人との時間を増やすことで、心にゆとりができますし、物理的に直属の上司と過ごす時間も減ると思います。それでも状況が改善されなければ、最終的には人事への相談、あるいは異動や転職をするしかないと思います。

■日々の業務を支障なく進めるために何かいい方法は?

嫌な上司にコードネームをつけるのも1つの方法です。例えば「滝」「クッパ(ゲームのラスボス名)」「しいたけ」など、かわいいキャラの名前がいいと思います。

同じように感じているメンバーとそれを共有して「今日もしいたけがぼやいててさー」とか「朝から滝が吠えててさ、いい滝行になったよ」といった調子です。本質的な解決法ではありませんが、笑いに変えることで気持ちがラクになると思います。

また職場には不平不満、他人の悪口しか言わないという人、集団もいます。そういう人と同じ場にいなければいけない時に注意したいのは、「絶対にその人たちをその場で変えようとしない」ことです。

意見をした瞬間に1000本の矢があなたに向かって飛んできます。SNS空間でよくある「炎上」状態です。その場はやり過ごすようにして、「周りが言ってもあなたは言わない」ことで、自分のブレない軸を保ってください。

「愛のムチ」とか本人の成長を思っての叱咤激励かもしれませんが?

仕事ですからやりたくないことを命令されるケースも当然あります。それでいちいち相手を嫌いになってるようだと社会人は務まりません。

また、上司が部下を育てるために、時には厳しいことも言うでしょう。最近はそれに対して異常にバリアを張って、何かにつけ「課長、それはパワハラですよ」と主張する「ハラハラ(ハラスメント・ハラスメント)」もあると聞きます。

一説にはいわゆる「体育会系」は昭和40年代生まれで終わったそうです。今ちょうど40~50代で、会社の幹部の世代です。これとさきほどの「ハラハラ」の世代には大きなギャップがあるでしょう。その前提で相互に理解し合えるポイントを探る必要があります。

■上司に叱られた時のNGリアクションは?

その人が優秀な上司なら、部下を叱る時に個人の性格や存在自体ではなく、行動や仕事への姿勢を批判するはずです。それは過去の経験値から、より成果に繋がる行動や取り組み方を伝えたいからです。

そういうケースで受け取る側がバリアを張ってしまうのは、自らの成長機会を失うことになります。私の経験値では上司がものを言いやすい子、ものを頼みやすい子は、必ずと言っていいほど後でグンと伸びます。

絶対に避けたいのは「どうして僕だけ責められるんでしょう」といった「すねる」「ふてくされる」「いじける」といった感情的な態度です。また、「だって」と言い訳を並べるのもダメです。

叱ることはパワーが必要ですし、叱る側にも嫌われる覚悟が要ります。それを拒否する態度は、成長のチャンスを自ら放棄していると捉えられても仕方がありません。

できる人は、叱られた後に「申し訳ありません。あの発言は不適切でした。ご指摘ありがとうございます」と「謝罪」と「感謝」をダブルで伝えます。

■最後に20代へのメッセージをお願いします。

今の20代は優秀な人が多い、と直感的に感じています。おそらく生まれた時から好景気を知らずにきていて、ゆとり教育でもなくなっていたため、競争が激しかったせいかもしれません。

とりわけ今回のコロナ禍の就職戦線を戦った人たちは、バブルで遊び惚けていた世代よりも、間違いなく真剣に人生を考えていると思います。きっと、ここから優秀なビジネスパーソンが輩出するだろうと僕は見ています。

若い人たちに言いたいのは「ピンポン病」にかかるなということ。ピンポン病とは周りの目を気にするあまり、目の前の課題に対して必ず「ピンポン!」と正解をもらわないと恥ずかしいと感じ、そこで立ち止まってしまう病気です。

社会に出て成功できるかどうかは、バッターボックスに立った数に比例します。1打席目からホームランを狙う必要はありません。

仮にその人の打率が1割なら10回打席に立てば1回は成功する可能性が高い。でもこれが1000回立った人なら打率は1割じゃないはずです。

なぜなら、打席に立った分、球筋が見えてきて、球を捉える能力が上がるはずだから。ベンチで批評する人にはならないでください。何度でもバッターボックスに立ち、チャレンジし続けてください。