「以降」という言葉は、日常やビジネスシーンでもよく使われ、耳にすることの多い言葉です。しかし実際に使用する際、正しい意味やシーンで使えているでしょうか。

本記事では、「以降」の正しい意味やビジネスシーンでの使い方、類語や対義語について解説していきます。

  • 「以降」の範囲は? その日を含む?

    「以降」の正しい使い方や意味について学びましょう

「以降」の意味とは? その日は含む? 範囲は?

特にビジネスシーンにおいて、「○○以降」といった言葉をよく耳にしますね。

読み方は「いこう」です。「以」は、「用いる」という意味を持ち、また時間や範囲の起点を表す漢字です。「降」は「後(のち)」という意味を持ちます。そのため「以降」とは、その直前の数字や日付、出来事などを「含んだ」、それより後のことを意味します。

「以降」の詳しい範囲

以降の前に付けられた数字や日付、時間、出来事について、それぞれの場合に分けて、使用例や例文とともに具体的に解説していきます。

数字

以降は主に、ある時点や数字から後を指す言葉です。使用例は以下の通りです。

  • 10以降
  • 5,000以降

「10以降」の場合は、10は含んで10から後のことを指し、「5,000以降」の場合は、5,000を含んで5,000から後のことを指します。

日付や時間

以降は、日付や時間とセットで使われることが多くあります。使用例は以下の通りです。

  • 4月1日以降に確認します。
  • 13時以降であればミーティングに参加できます。

例えば、「4月1日以降」であれば4月1日になった時点からその後の日付を指し、「13時以降」であれば13時00分から後のことを指します。日付や時間はビジネスシーンでも多く利用されるため、正しく理解しておきましょう。

また、待ち合わせや約束・アポイントを取り付ける際は、「○○から○○まで」を使う方が相手との認識のずれが少ないとされています。

出来事

出来事と合わせて以降を使用する場合もあります。使用例は以下の通りです。

  • 昨年度の会議以降、仕事効率がかなり上がりました。
  • 先輩と昨日の飲み会以降、お会いしていない。
  • 午後以降であればその作業に取り掛かれます。

出来事と合わせて使用する場合は、出来事が起きた時点から後のことを指します。

「以降」の使い方・例文

ここでは、「以降」の使い方を例文で紹介します。

  • 15時以降に改めてご連絡いたします
  • 13日以降でご都合のいい日はございますか
  • 面接の結果は明日以降にメールにてお送りいたします
  • 「以降」の範囲は? その日を含む?

    「以降」の使い方について学びましょう

「以降」の類語とは

以降の類語にはどのようなものがあるのでしょうか。それぞれの正しい意味を理解し、シーンや言葉のニュアンスで使い分けていきましょう。

以来

以来は、ある時から引き続き続いている、という意味の言葉です。そのため、「明日以来」など、未来のある時点を表すのには使用できません。

なお「先週雨に降られて以来ずっと体調が悪かったが、昨日やっと回復した」などのように、今は続いていなくても、過去のある期間について表現することもできます。

その後

その後は、ある出来事が起こり、それから後の時間をいう表現です。「以後」、「それから」、「それから後」などとも同じような意味で使われることが多くあります。

また、直後の短い時間を指したり、広範囲の後の時間を指したりと、用途は多岐にわたっており、副詞的に用いられることもあります。

今後

今後はその文字通り、今から後(のち)、こののちといった意味の言葉です。「今後もよろしくお願いします」といった使い方が一般的です。

以降と同じように、「この後ずっと」という期限のない言葉です。文法的には名詞や副詞としての働きがあります。

爾来

爾来は「じらい」と読みます。名詞で用いる場合は「それよりこのかた」、副詞で用いる場合は「それからのち」「それ以来」という意味の言葉です。

昔の古い小説で使われることが多く、現在ではあまり使われないどちらかと言えば古い言葉になります。「爾来友好関係を保っている」といった使い方をします。

  • 「以降」の範囲は? その日を含む?

    以降の類語を知り、シーンで使い分けましょう

「以降」の対義語とは

以降の正しい意味や使い方、類語について見てきましたが、適切な場面で正しく使うためには、対義語についても知っておく必要があります。

ここからは、以降の対義語について解説していきます。意味を知り、使い分けられるようにしましょう。

以前

以前は、「その時よりも前」という意味です。今より前の時点、現在から見て近い過去について使用する場合や、副詞的な意味で使用する場合があります。

<例文>

  • ここで働く以前は、事務関係の仕事をしていた。
  • 結婚以前の住所は○○です。
  • 以前、お会いしたことがあります。

以前は基準となる数や出来事を含むのが通常ですが、例えば明治以前というときに、明治時代を除いて、その前をさす場合もあります。

先立って

先立って(さきだって)には2つの意味があります。1つ目は「さきごろ」「先日」、2つ目は「他よりさきに出かけ」「前もって」です。「せんだって」と読まないよう注意しましょう。

予め

予めは「あらかじめ」と読み、副詞的に用いる言葉です。「物事の始まる前に、ある事をしておくさま」「前もって」という意味があります。

<例文>

  • テストがあるから、予め分からないところを調べておく。
  • 予め決められた内容で進めていく。

かつて

かつては、過去のある一時期を表す語で、「以前」「昔」という意味があります。現在に近い過去ではなく、遠い過去に使われることが多いです。

また、文の後に打ち消しの語を伴って用いると、「今まで一度も」「まったく」「全然」といった意味にもなります。

  • 「以降」の範囲は? その日を含む?

    以降の対義語について学びましょう

「以降」の英語表現とは

以降の英語表現として、「from」「since」などがあります。覚えておくと、ビジネスシーンで海外の方ともやり取りをする際に役立ちます。それぞれの単語について見ていきましょう。

from

fromの意味は「(場所や人)~から開始して」です。継続の意味を持たせる場合は、「on」と組み合わせます。

<例文>

  • I live in Tokyo from the second year on.(2年目以降、東京に住んでいます。)
  • That will be from tomorrow.(それは明日以降になります。)

since

sinceは直訳すると、「~以来、~の時からずっと、~した時から(今までの間に)」です。文法としては接続詞、前置詞、副詞の働きがあります。

<例文>

  • They have been very happy together ever since their marriage. (彼らは結婚以来ずっとともに幸せに過ごしている。)
  • 「以降」の範囲は? その日を含む?

    以降の英語表現を知り、使いこなしましょう

「以降」とはその直前の数字や日付、出来事を含む、それより後のこと

以降は、ある出来事を含んだそれより後のことであると解説しました。よく聞く言葉ですが、言葉の意味を正しく知らないことも多く、誤った使い方をすると相手との認識の違いが生まれ、トラブルにもつながります。正しい意味や使い方を覚え、ビジネスシーンで活用していきましょう。