スーパー戦隊シリーズの「劇場用新作」エピソードの3本立て興行『スーパー戦隊MOVIEレンジャー2021』が2月20日から公開されている。
そのラインナップは『魔進戦隊キラメイジャー THE MOVIE ビー・バップ・ドリーム』、『騎士竜戦隊リュウソウジャー 特別編 メモリー・オブ・ソウルメイツ』、そしてテレビに先がけて新登場する『機界戦隊ゼンカイジャー THE MOVIE 赤い戦い!オール戦隊大集会!!』の3作品。『キラメイジャー』では邪悪で妖艶な敵ミンジョ(演:壇蜜)によって"夢の世界"に送り込まれ、果敢に戦うキラメイジャー6人の大活躍が繰り広げられる。
『スーパー戦隊MOVIEレンジャー2021』公開記念インタビューの今回は、クリスタリア宝路(たかみち)/キラメイシルバーを演じる庄司浩平が登場。自分の個性や才能をキラキラと輝かせている他のメンバーと心を通わせ仲間になった宝路は、宝石の国クリスタリアの王・オラディンやマブシーナ、博多南無鈴とも密接な関係にあった。周囲の状況に流されないマイペースさと、興味のあるものに対する探求心の強さ、そして不器用ながら仲間を思う優しさを兼ね備えるスケールの大きな男・宝路を演じる庄司浩平が、"子どもたちのヒーロー"を演じられた実感や、撮影現場で築かれた仲間たちとの絆について、みずみずしい笑顔を交えながら語ってくれた。
――クリスタリア宝路は初登場となるエピソード12「ワンダードリルの快男児」から、強烈なインパクトを伴って現れました。初めて現場に入られたときの印象はいかがでしたか?
俳優として仕事をするのは『キラメイジャー』が初めてだったので、何も分かっていない状態で現場に入りました。キラメイジャーのみんなは事前に説明を受けていたり、制作発表などである程度心がまえを持った状態で撮影に臨んでいたようですが、僕は途中からいきなり入ってきたにも関わらず、スタッフさんからも「もうわかってるよね」みたいな空気があったんです。
初めのころは撮影がどのように行われているのか、カメラの位置がどこかとか、どんな風に撮られているのか、そんなこともまったく意識できず、毎日がいっぱいいっぱいでしたね。
――いきなりの参加で余裕のないところ、初登場の宝路はすべてにおいて超然としている、ワンダーな男としてふるまわないといけないわけで、それは非常にやりにくそうですね。
撮影初日、衣装にも慣れておらず、まだブーツも足になじんでいなくて、そんな状態なのにいきなり山奥でロケして。小夜(演:工藤美桜)を背負って、「はい、芝居してください!」なんて言われまして……心の中で「ハードル高すぎだろーーっ!!」って叫んでいました(笑)。
――どんな苦しい状況に追い込まれてもひるむことなく、前向きに突き進んでいく宝路と庄司さんのキャラが重なる印象を受けます。キラメイジャーのみなさんともすぐ仲良くなったとうかがっています。
撮影には途中参加でしたが、僕もみんなと同じく最初からオーディションを受けて、早いうちから出演が決まっていました。東京ドームシティシアターGロッソで行われた制作発表会見にもいたんですよ。会見を見学していて、終わった後に博多南無鈴役の古坂大魔王さんにも「後のエピソードから出演します。庄司です」ってご挨拶しました。その時点で僕の役についての説明を受けまして「僕が兄で、古坂さんが弟」と知り、ええっ!?と驚きました。
――キラメイストーンを埋め込まれているため、通常の人間よりもずっと若々しい外見という設定でしたね。古坂さんとの「兄弟」関係についてはいかが思われましたか。
最初は「ちゃんと兄と弟に見えるかな」と心配していましたが、お互いの演技でときおり関係性を見せることができればと思って取り組んでいました。ファンのみなさんの反応をうかがう限り、2人が自然な感じで兄弟だと認識してもらえているようなので、うれしかったですね。
――庄司さんは初登場時20歳という若さでしたが、宝路は昭和生まれの40代。"昭和の男"を演じるにあたって、どんな思いでしたか。
僕自身、70年代後半から80年代にかけての"昭和"の歌謡曲が好きで、山口百恵さん、ジュリーこと沢田研二さん、河合奈保子さんのファンなんです。「平凡」や「明星」など当時の雑誌や、LPレコードも集めています。最初に宝路の設定を聞いたときはビックリしましたが、"あの時代"を生きてきた人物を演じられることに、やりがいを感じました。
――エピソード13「地底大戦争」のラストでは、素性を明かした宝路が『8時だヨ!全員集合』の加藤茶さん(ザ・ドリフターズ)を意識した"別れの挨拶"を充瑠(演:小宮璃央)たちにかけ、みんなが唖然とするやりとりがありましたね。
ああいうのは、脚本の荒川稔久さんがノッて入れてくださるんです(笑)。僕は最初『全員集合』のエンディングに"寄せて"みようと思って、「ババンババンバンバン♪」なんて振りを付けて芝居したんですが、結局それは「やらなくていい」ってことになりました。荒川さんはこの後もときどき"昭和ネタ"を仕込んでくださるのですが、あまりディープなものになると、さすがに分かりませんね(笑)。
――昭和といえば、宝路のキャラクターソング「ワンダー守護神」は山口百恵さんの大ヒット曲「プレイバックPART2」などを手がけられた作詞・宇崎竜童さんと作曲・阿木燿子さんご夫妻による楽曲なんですね。
そうなんです! これってすごいことですよね。時代が時代なら、宇崎・阿木コンビの曲を歌った僕は、日本レコード大賞にノミネートされていても不思議ではありませんから。年末にドキドキしながら「大賞、俺かな?」なんてステージ上で思っているはずですよ(笑)。
お2人が特撮ヒーローの歌を作られたのは『仮面ライダーBLACK』(1987年)や『重甲ビーファイター』(1995年)『ビーファイターカブト』(1996年)以来ひさびさだとうかがいました。昭和歌謡曲ファンの僕として最高にうれしいのはもちろん、長きにわたって特撮ヒーローを愛してきたファンの方たちの心も高揚されたんじゃないでしょうか。気持ちを込めて、一生懸命歌わせていただきました。