2021年2月16日、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」の発表授賞式が行われました。

「読者が選ぶビジネス書グランプリ」は、「読者こそがビジネス書を評価する人であるべきだ」という信念のもと、株式会社フライヤーとグロービス経営大学院が毎年開催するイベントです。今年は、119冊のエントリー作品の中から、読者の投票によって総合グランプリと各部門賞が選ばれ、特別賞として「コロナ禍を支えたビジネス書」の表彰も行われました。

今回のラインナップからは、新型コロナウイルスの影響による「当たり前からの変化」に悩むビジネスパーソンの姿が色濃く出ています。結果は、次のようになりました。

「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」結果

  • 総合グランプリ/政治・経済部門賞『シン・ニホン』(安宅和人、ニューズピックス)
  • イノベーション部門『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』(堀内都喜子、ポプラ社)
  • マネジメント部門『心理的安全性のつくりかた』(石井遼介、日本能率協会マネジメントセンター)
  • 自己啓発部門『科学的な適職』(鈴木祐、クロスメディア・パブリッシング)
  • リベラルアーツ部門『LIFESPAN(ライフスパン)』(デビッド・A・シンクレア、マシュー・D・ラプラント、梶山あゆみ訳、東洋経済新報社)
  • ビジネス実務部門『本当の自由を手に入れる お金の大学』(両@リベ大学長、朝日新聞出版)
  • [特別賞]コロナ禍を支えたビジネス書『人は話し方が9割』(永松茂久、すばる舎)

本記事では、総合グランプリ/政治・経済部門賞を受賞した作品『シン・ニホン』と、自己啓発部門賞を受賞した『科学的な適職』をご紹介します。

総合グランプリ/政治・経済部門賞は『シン・ニホン』

総合グランプリに輝いたのは、『シン・ニホン』(安宅和人、ニューズピックス)。総合グランプリ、政治・経済部門賞のダブル受賞となりました。

本書の著者である安宅和人氏は、2016年のTEDxTokyoでシン・ニホンという言葉を生み出して以来、多様なテーマで、数十のバージョンの「シン・ニホン」を生み出してきました。その内容は、大人のサバイバル方法から子どもの教育、AI時代の人材育成や高等教育のあり方まで、多岐にわたります。本書は、それらをひとつなぎに俯瞰したものを描く試みとして出版されました。

本書のキーワードの一つが、「異人」という言葉。スケールよりも「創造」と「刷新」が重要な世界において、普通の人とは明らかに違う人材を尊重し、未来を仕掛ける担い手として活躍する場を提供することが、シン・ニホンの実現において欠かせないものだとされています。

新型コロナウイルスの感染拡大以前に書かれた書籍ですが、本書を読めば、アフターコロナの“ニホン”のあり方に思いを馳せずにはいられないでしょう。

自己啓発部門は『科学的な適職』

各部門賞・特別賞を受賞した書籍の中から、ここでは自己啓発部門賞の『科学的な適職』(鈴木祐、クロスメディア・パブリッシング)をピックアップ! 社会人になってしばらく経つけれど、いまだに自分の仕事にしっくりきていない……そんな方にはおすすめしたい一冊です。

本書で著者は、世の中に流布している役に立たないアドバイスを「仕事選びにおける7つの大罪」として挙げています。それらは、「好きを仕事にする」「業界や職種で選ぶ」「適性に合った仕事を求める」など、多くの方が指針としているようなものばかり。しかも著者は、これらのアドバイスを鵜呑みにしている限り、適職には巡り合えないと断言します。

著者の鈴木祐さんは授賞式で、「本書の執筆は、編集者の悩み相談から始まった」と振り返りました。10万本の科学論文を読破してきた鈴木さんは、編集者の悩み相談に「ベタなデータ」で返したつもりだったのに、その回答は編集者の予想を裏切るものだったのです。この内容はぜひ多くの読者に伝えたいと、本書の制作がスタートしました。

また、仕事に関して「自分のスキルや経験に自信が持てない人はどうすればいいか」という質問に対し、鈴木さんは「心理学的な知見から言えば、自信なんて要りません」と断言。「自信がある人は人から好かれにくい。だから成果が出ない確率が高いのです」と、その理由を語りました。加えて「自信満々に見える人も、最初から自信があったわけではありません。自信がない中、周囲からの評価を得続けたことで、その成果が自信として見えているのです」と話しました。

鈴木さん自身も「地道にやっていくうちに、なんとなく手応えが変わってきた」という実感があるそう。「自信は行動からしか生まれない」と言い切る姿が印象的でした。

一日の約3分の1を占める、仕事の時間。仕事を楽しめれば、人生は大きく変わるはずです。快適な人生を送るために、本書を手に取って「適職」について考えてみませんか?

全国950店舗以上の書店でフェア実施中!

「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」で総合グランプリ・各部門賞・特別賞を受賞した7冊は、現在、全国の950を超える書店でフェア展開されています(2021年2月時点)。

ぜひ実際の書籍を手に取って、本からの学びを得てはいかがでしょうか。

  • 未来屋書店 北戸田店