ビジネスパーソンが“今読むべき本”を厳選し、要約してそのエッセンスを伝える「flier(フライヤー)」。最新のトレンドを学んだり、読みたい本を見つけたりするためのツールとして、約68万人のユーザーに活用されています。

この記事では、flierを利用する意識の高いビジネスパーソンの中でも特に、20代~30代のユーザーが今、リアルに読んでいる本とその傾向を紹介します。同世代のビジネスパーソンは今、どんな本を読んでいるのでしょうか? なぜその本が選ばれたのでしょうか? 気になった本があれば、ぜひチェックしてみてくださいね!

  • 20代~30代が今読んでいるビジネス書ベスト3、2020年11月度の1番読まれた本は……?

仕事が速い人は、どこが違うのか?

11月、20代~30代に一番読まれたのは、『マッキンゼーで学んだ速い仕事術』(大嶋祥誉、学研プラス)でした。大嶋祥誉氏がマッキンゼーで働く中で学んだ、仕事の質とスピードを上げるためのノウハウをまとめた一冊です。

たとえば、仕事環境について。生産性が高く仕事が速い人の多くは、朝型なのだといいます。

なぜ朝型なのか。オーストラリアの研究グループによると、人間が十分に覚醒して仕事ができるのは起床後12~13時間までで、17時間を超えると「ほろ酔い状態」と同じくらいまで集中力が低下してしまうことがわかっています。

つまり、朝6時に起きる人なら、仕事に集中できるのは18時まで。もし23時まで残業しているなら、お酒をのみながら仕事をしているようなものだということです。せっかく仕事をしていても、効率が上がらないならもったいないですよね。それなら、すっぱりと朝型に切り替え、朝のうちに集中して仕事を片づけたほうがいいでしょう。

実際、著者の大嶋祥誉氏は、夜22時までに眠り、朝は日の出前後に起きることを習慣としているそう。午前中からお昼過ぎまでは思考力が必要な業務に集中し、集中力が低下してくる16時ごろからは事務処理系の仕事に。成果を最大化するために、時間帯ごとに仕事の種類を変えているのです。

本書では、仕事環境に加え、企画書、プレゼン、発想、会議、行動習慣と、合計6つの章にわたって、仕事が速い人のメソッドが紹介されています。それぞれのメソッドの冒頭には、「仕事が速い人は朝型」「仕事が遅い人は夜型」といったふうに、その項で紹介される仕事術がコンパクトにまとめられており、気になるところから読めるようになっているのもポイント。

20代~30代というと、仕事にも慣れ、チームのリーダーや、中心的存在になることもあるでしょう。「仕事が多すぎてさばききれない」「ワークライフバランスをキープしつつ成果を上げたい」などといった、この世代の課題を解決してくれる一冊です!

「デキる社員」の習慣は意外とシンプル

2位は、『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』(越川慎司、ディスカヴァー・トゥエンティワン)でした。

どんな会社にも存在する、成績がトップクラスの「デキる社員」。彼ら彼女らは、そうでない社員とどこが違うのだろう? もともとの素質が違うのだろうか――そう思ったことがある方も多いのではないでしょうか。

本書は、そんな「デキる社員」の秘密を知れる一冊です。著者は、クライアント企業25社の協力のもと、5%のデキる社員と95%の一般社員、合計約1万8,000人の働き方をリサーチ。「5%社員」のデスクに定点カメラを設置したり、ICレコーダーやセンサーを装着してもらったり、ヒアリングをさせてもらったりして、行動や発言を記録したのだそうです。

そうして収集したデータをAIと専門家で分析した結果、「5%社員」と「95%社員」の違いが明らかになりました。その「違い」をまとめたのが本書です。

たとえば「5%社員」は、期限を厳守する傾向にあることがわかりました。では、忙しい中、どうやって期限を守っているのでしょうか?

まず「5%社員」が習慣にしているのは、業務終了前の5分で翌日以降のスケジュールとタスクを整理すること。彼ら彼女らは、「今日は明日の分までタスクを先取りできたから、この案件を前倒ししよう」といった具合にスケジュールを整理していたのです。そうすれば、翌日を好調にスタートできるだけでなく、無理のないスケジューリングができます。

また、誰かから仕事を頼まれたときには、納期だけでなく上司や関係者の状況も確認し、納期までの動きをシミュレーションしていることもわかりました。そうすれば、「データをもらうのが〇日を過ぎる場合、休暇中なので対応は〇日以降になります」など、あらかじめ相談しておくことができ、自分も関係者も動きやすくなるというわけです。

本書を読めば、「5%社員」の習慣が意外とシンプルであることがわかるでしょう。会議での発言方法や、2週間に1回程度持つ「内省」の時間など、今日から真似できる習慣も多く紹介されています。同期に差をつけたいなら、本書をチェックしてみてはいかがでしょうか?

「悪い習慣」をすっぱり断ち切る科学的な方法

3位は、『やめたいのにやめられない 悪い習慣をやめる技術』(小早川明子、平井愼二(監修)、フォレスト出版)でした。

お酒にタバコ、間食、SNS、ネットショッピング……やめたいと思っていてもなかなかやめられない習慣、ありませんか? 本書は、「自分はなんて意志が弱いんだろう」と思いながらも繰り返してしまう「悪い習慣」を年内にすっぱり断ち切りたい方におすすめの一冊です。

本書によると、自分の行動は、「意志」で簡単に変えることはできないのだそう。そう言われると、「自分の意志の弱さが原因になっているわけじゃないんだ」と、少しほっとしませんか?

本書ではまず、脳の中で起きている「条件付けの仕組み」を解説します。生存を支える「防御」「摂食」「生殖」の3つの活動に成功したとき、脳は「生理的報酬」と呼ばれるご褒美をもらえる。ご褒美をもらうと、その行動に至る行動が定着し、習慣化する――という仕組みです。

この仕組みを使って、「悪い習慣」を断ち切りましょう。たとえば「人を見れば悪口を言ってしまう」という習慣をやめたい場合。本書では、「私は今、人の悪口を、言わない、大丈夫」と言いながら、胸に手を当ててその手で拳を作り、親指を握りこむ方法が紹介されます。

そうして、「悪口を言わずにいられた!」という状態を何度も繰り返します。1日に20回以上、この作業を行えば、ほとんどの人は2週間ほどで「悪い習慣」を断ち切れるはずです。

今年の反省を踏まえて、来年はもっと有意義に時間を使い、ますます成長したい――そんな20代~30代の気持ちを反映するようなランクインでした!

11月のキーワードは「習慣を考える」

11月のベスト3から見えてきたのは、「習慣を考える」というキーワード。

年末に近づき、今年の自分の行動や成果を見直した方が多かったのでしょう。行動や成果を変えていくには「習慣」を変えるのが手っ取り早いと考えて、そのヒントをビジネス書に求めたのではないでしょうか。

本の要約サイトflierには、他にも仕事やプライベートの「習慣」の参考になるような書籍が多くそろっています。10月の閲覧数で4位にランクインした『世界のお金持ちが実践するお金の増やし方』(高橋ダン、かんき出版)や7位の『ビジネスエリート必読の名著15』(大賀康史、自由国民社)、9位の『雑談の一流、二流、三流』(桐生稔、明日香出版社)なども参考になるかもしれません!

来月はどのような本が注目を集めるのか、楽しみにしていただければ幸いです。