「杓子定規」は日常的な会話からビジネスシーンにおいてまでよく使われる言葉で、一般的には少しネガティブな含みを持たせて使われることが多い言葉です。

この記事では、杓子定規という言葉の意味や語源をはじめ、類語や対義語の使い方について例文を交えて解説します。杓子定規の意味や使い方を知り、ビジネスシーンにおいて活用できるようにしましょう。

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    杓子定規をビジネスシーンに活用しましょう

杓子定規の意味

杓子定規(しゃくしじょうぎ)とは、1つの見方でしか物事を見ず、融通が利かないことを意味する四字熟語です。使い方としては、「杓子定規な考え方だ」「物事はそんなに杓子定規に進まない」などが挙げられます。

■杓子定規の由来

杓子定規の「杓子」はご飯や汁物を盛るおたまやしゃもじのことを指し、昔は柄が曲がったものを使用していました。その曲がった柄を、無理やり定規として使おうとしたことにこの言葉は由来しています。

■杓子定規のニュアンス

「曲がった杓子の柄を定規として使う」という語源から転じて「間違った基準で物事を見る」「1つの基準にこだわりそれだけで物事を決めようとする」という意味になりました。このことから、杓子定規という言葉はネガティブな意味を含むと言えるでしょう。

ビジネスシーンにおける杓子定規の使い方と例文

実際にビジネスシーンにおいて杓子定規という表現を使う際、使い方や例文を知っておくと活用しやすくなります。杓子定規という言葉をシーンに合わせて正しく使えるようにしましょう。

(1)杓子定規な人

「杓子定規な人」とは、「融通の利かない人」「柔軟さがない人」「頑固者」という意味で使われます。

具体的な例文以下の通りです。

  • 「彼は杓子定規なところがある」
  • 「彼女は非常に優秀だけれど、少し杓子定規な人だ」

この他にも「まじめすぎる」という意味合いで使われることもあります。

(2)杓子定規に扱う

「杓子定規に扱う」とは「型にはまったマニュアルどおりの対応」という意味で、接客などで柔軟さがない、配慮が足りないというケースに使用が可能です。

具体的な例文以下の通りです。

  • 「お客様からの問い合わせを杓子定規に扱うのはよくない」
  • 「先日、商品の故障を問い合わせたところ、『決まりだから』との一点張りで杓子定規に扱われた」

(3)杓子定規な考え方

「杓子定規な考え方」とは「柔軟さがない考え方」「応用が利かない考え方」という意味です。

具体的な例文以下の通りです。

  • 「彼女はいつも杓子定規な考え方で物事を進める」
  • 「お役所仕事は杓子定規な考え方で成り立っているから、非効率だ」

(4)杓子定規に過ぎる

「杓子定規に過ぎる」とは、「柔軟さに欠けていて対応がなっていない」ということを意味します。もともとネガティブな意味を持つ表現ですが、「杓子定規に過ぎる」はより語気を強めた表現と言えるでしょう。

具体的な例文以下の通りです。

  • 「このルールは杓子定規に過ぎるので、ケースに合わせた対応が必要だ」
  • 「その考え方は杓子定規に過ぎる」

杓子定規の類語

ここからは、杓子定規の類語を解説します。

四角四面

四角四面とは、「まじめで堅苦しいこと、またそのさま」「非常にかしこまっていること」「折り目正しいこと」「生真面目で面白みが欠けること」という意味があります。

具体的な例文以下の通りです。

  • 「同僚は四角四面な人なので、打ち解けることが難しい」
  • 「四角四面な進行ではなく、リラックスした雰囲気で進めよう」

頑固一徹

頑固一徹とは「非常にかたくなで、自分の考えや態度を変えようとせず押し通すさまや、性格」という意味です。

具体的な例文以下の通りです。

  • 「父は頑固一徹な気質で、一度決めたら誰の意見も聞かずに突っ走るような人だ」
  • 「息子は頑固一徹で、小さな頃から一度決めるとてこでも動かない性格だ」

融通が利かない

融通が利かないとは「考え方、行動が偏っていて改められない性格」「自分の考え方が正しいと思い込み、人の意見を聞き入れられないこと」「最後まで自分を突き通すこと」という意味です。

具体的な例文以下の通りです。

  • 「彼女は融通が利かず、どんな理由を並べても経費として落としてくれない」

  • 「課長は融通が利かない性格で、自分が常に正しいという考え方で周囲は振り回されている」

マニュアル通り

マニュアル通りの意味は「物事のありようが事前に決定されていること」「物事が型にはまっているさま」という意味です。

具体的な例文以下の通りです。

  • 「マニュアル通りの対応だけでは人を感動させることはできない」
  • 「接客はマニュアル通りではなく、臨機応変に行うことが正しい場合も多い」
  • 授業中考えている女性

    杓子定規の類語を理解しましょう

杓子定規の対義語

対義語のニュアンスや使い方を知ってシーンに合わせて使い分けていけるようにすると、日常生活はもちろんビジネスシーンにおいても役立ちます。

ここでは杓子定規の対義語について解説しますので、意味や使い方を知ってビジネスシーンでも活用できるようにしましょう。

臨機応変

臨機応変(りんきおうへん)は、「それぞれの場所の状況に応じて適切な処置を施すこと」という意味です。

使い方としては「接客ではお客様ごとに要望が異なるので、臨機応変に対応する必要がある」「エラーが発生した場合には、1つの原因だけを追求するのではなく臨機応変の処置が必要だ」などが挙げられます。

融通無碍

融通無碍(ゆうずうむげ)は、「考え方や行動など何にもとらわれず、自由に対応できること」という意味です。

使い方としては、「融通無碍な態度で応対しよう」「融通無碍に対処するように心がけよう」などがあります。

フレキシブル

「フレキシブル」は、英語の「Flexible」に由来し、「柔軟に」「臨機応変に」という意味があります。

使い方としては、「その仕事はマニュアル通りにやってもうまくいかないため、フレキシブルな対応が必要だ」「彼女はフレキシブルに対応ができるので、とても評判がいい」というように使います。

なお、就業時間を自分で決められるフレックスタイムの「フレックス」は「フレキシブル」が基になっている言葉です。

ケースバイケース

「ケースバイケース」は「場面によって対応を変えていく」という意味です。

使い方としては、「それぞれケースバイケースで対応していきましょう」「答えは1つだけではなく、ケースバイケースで答えが変わる」などがあります。

杓子定規の英語表現

杓子定規という言葉を英語で表現すると「formalism」「formalist」という言葉になりますが、これは直訳すると「形式主義」「堅苦しい人」「形式主義者」という意味です。

この言葉自体が日常会話で使われることはほとんどありませんので、ここでは日常会話で使われる杓子定規のニュアンスを伝えられる例文について解説します。

stick to the rules

「stick to the rules」という表現の「stick」には「固執する」「執着する」という意味があり、この表現で「ルールに従う人」「形式にこだわる人」という意味です。また、「a stickler for rules」という表現でも「stick to the rules」と同じような意味となります。

go by the book/go by the rules

「go by the book」や「go by the rules」という表現は、「慣例に従う」「規則通りに行う」「定石通りに行う」という意味です。ただし、この表現の中には杓子定規に含まれる「頑固」の意味合いはなく、否定的な表現は含んでいませんので覚えておきましょう。

inflexible

「inflexible」という表現は、「頑固な」「融通の利かない」という意味の表現になります。この表現を使えば、英語でも杓子定規の意味合いを出すことが可能です。

rigid

「rigid」という表現は「厳密な」「厳格であるさま」という意味です。この表現も「inflexible」と同じく杓子定規の意味を英語で表現するには適した言葉と言えるでしょう。

これらの英語表現を使用することで杓子定規のニュアンスを相手に伝えることが可能になります。

杓子定規の意味や使い方を理解しよう

杓子定規の語源は、杓子を定規として使う場面に由来しているということを初めて知った人もいるのではないでしょうか。杓子定規とニュアンス的に似ている表現や対義語、類語を覚えておくと、ビジネスシーンにおいても活用の幅が広がります。

頑固な人や融通が利かない人に対し、杓子定規のごとく「杓子定規ですね」などの表現を用いず、類語を上手に使うようにしましょう!