「街中で自分と同じ服を着ている人を見て以来、その服を着る回数が減った」

という経験がある人はいませんか? 実はこの心理には、「スノッブ効果」という名前がつけられています。

本記事では、このスノッブ効果について紹介します。意味を理解すれば、ビジネスシーンでも活用できる心理効果ですので、特に広報担当者やマーケティング担当者はご一読ください。

  • 何かを書いている人

    スノッブ効果について深く理解しましょう

スノッブ効果とは

スノッブ効果とは、多くの人が持っているものに対して、個人の購買意欲・需要が減少する効果のこと。反対に、多くの人が持っていないもの、特別なものに対しては「希少性」「限定性」に魅力を感じ、購買意欲・需要が増加します。

本効果は、米理論経済学者のバーヴェイ・ライベンシュタインによって提唱されました。

スノッブ効果の仕組み

冒頭で紹介したような、街中で同じ服やアイテムを身につけている人を見かけた時に「恥ずかしい」と思ってしまう心理や、「地域限定」「数量限定」といった売り文句の商品に魅力を感じてしまう心理は、このスノッブ効果によるものです。

「他者との差別化を図りたい」「自分だけの特別感が欲しい」という考えが、消費行動につながるのです。

  • 手帳にメモを書き込む様子

    スノッブ効果のキーワードは「限定性」「希少性」

スノッブ効果のマーケティング活用方法

スノッブ効果は、マーケティング戦略の1つとして用いられています。ECサイトや街中で「期間限定」「会員限定」などと謳った商品を見かけた経験のある方は多いでしょう。このような商法はスノッブ効果を狙ったものだと言えます。

以下では、マーケティング領域におけるスノッブ効果の活用方法について紹介します。具体例を基に、実際にどうやってビジネスで活用できる(されている)のか、イメージを膨らませてみましょう。

ケース1. 「地域限定」による限定性

旅行先で、「地域限定販売」と謳われた商品が置いてあった場合には、「ここでしか買えない」「旅行に来た人しか買えない」というイメージを持ち、購買意欲が高まります。

反対に、その地域に住んでいる人にとっては、「周囲の人も持っている」「いつでも買える」と考えるため、こうした商品に魅力を感じることはあまりないでしょう。

ケース2. 「数量限定」による希少性

「世界に1つだけの、あなたに合った枕を作成しませんか? (5名様限定)」と言われたら、少し興味を持つのではないでしょうか?

これが単純に「あなたに合った枕を作成します! 」と書かれただけであれば、あまり希少性を感じることはないでしょう。しかし、「世界に1つだけ」「〇名様限定」といった文言が加わることで、「持っている人が少ないのだ」というイメージから、特別感を覚えたり、希少性を感じたりすることで、購買意欲が高まるのです。

「世界に〇個だけ」というワードは、スノッブ効果を高めるキラーワードだと言えます。

  • ビジネス誌を読む人

    スノッブ効果のマーケティング活用方法を理解しましょう

スノッブ効果の注意点

スノッブ効果をマーケティングで有効活用する際には、「売りすぎ」「広めすぎ」に注意をする必要があります。スノッブ効果を活用するうえで重要なのは、購買者の「他者との差別化を図りたい」「自分だけの特別なアイテムが欲しい」という心理です。

スノッブ効果を活用するにあたっては、「あえて需要に合った供給をしない」ということも重要です。「この商品は1日で100個は売れるだろう」と考えていても、「あえて10個しか販売しないことで、希少性を演出しよう」という判断も重要になります。

スノッブ効果を維持・活用するためには、販売個数や販売時期を適切に制限する必要があるのです。

  • お店の人に注文をする様子

    売れすぎるとスノッブ効果が薄まる点に注意しましょう

スノッブ効果とヴェブレン効果の違い

スノッブ効果とよく似た性質を持つものに「ヴェブレン効果」があります。

ヴェブレン効果とは、商品の価格が高いがゆえに、それを手に入れること自体に特別な消費意識、欲求が生まれるという効果のこと。例えば、高級ブランドの商品に魅力を感じることもヴェブレン効果のひとつです。

スノッブ効果が希少性・限定性に魅力を感じる効果であるのに対して、ヴェブレン効果は、価格や価値そのものに魅力を感じる効果であるという違いがあります。

スノッブ効果とヴェブレン効果の組み合わせ

さて、このヴェブレン効果はスノッブ効果とも相性が良いものであり、双方を組み合わせることで、より消費者の購買意欲の刺激につなげることができます。

たとえば、「高級時計(ヴェブレン効果)」を「3本限定で販売(スノッブ効果)」するような場合には、それぞれの効果が良い方向に影響し合います。

この相乗効果を利用することで、マーケティングの効果を一層高められることでしょう。

  • 青い高級車

    高級なものほど買いたくなる心理をヴェブレン効果といいます

スノッブ効果とバンドワゴン効果の違い

スノッブ効果とは逆の意味を持つ「バンドワゴン効果」というものもあります。

バンドワゴン効果とは、大勢の人が選択しているものと同じものを、自分もつい選択してしまうという心理効果です。

「行列のできるラーメン屋」などが良い例で、「皆が並んで話題になっているからきっと美味しいはず」という消費心理が作用します。

スノッブ効果とバンドワゴン効果の組み合わせ

これらは一見すると対照的な効果ですが、上手に組み合わせることで、マーケティング効果の向上に寄与します。

例えば、「大人気商品(バンドワゴン効果)」を「期間限定・数量限定で販売する(スノッブ効果)」ような場合には、それぞれの効果が良い方向に影響し合います。

もちろん、ここに「ヴェブレン効果」も合わせて、以下のような表現をするのもよいでしょう。

<「スノッブ効果」と「ヴェブレン効果」と「バンドワゴン効果」を組み合わせた例>

「大人気で前回はすぐに売り切れた(バンドワゴン効果)」「高級商品(ヴェブレン効果)」を「期間限定・数量限定で再販売(スノッブ効果)」します。

  • タブレットを操作する様子

    人気のあるものほど欲しくなる心理をバンドワゴン効果といいます

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以上、マーケティングで活用できる「スノッブ効果」について紹介しました。

今回紹介した事例は、日常生活の中で見聞きしたことがあるものが多かったのではないでしょうか。こういった心理効果について知ることは、マーケティング活動・広報活動を行う中で非常に有効な手法となります。

是非、仕事の中で活用してみてはいかがでしょうか。