「卓球戦国時代と化した20××年の東京」を舞台に、高校生たちが激しいピンポンバトルを繰り広げるドラマ『FAKE MOTION -たったひとつの願い-』(日本テレビ系 毎週水曜24:59〜)が現在放送されている。EBiDAN所属の人気若手俳優が集結し、2020年4月期にドラマ第1弾『FAKE MOTION -卓球の王将-』が放送されると、その後もプロジェクトは朗読劇、舞台など多角的に展開。ドラマ第2弾『FAKE MOTION -たったひとつの願い-』の第1話〜第2話は第1弾の総集編で、先週放送の第3話から本格的に新たな展開を見せている。

今回主役となるのは、俳優の板垣瑞生が演じる、都立八王子南工業高校の土方歳鬼。これまでに敵対していた恵比寿長門学園(エビ高)や薩川大学付属渋谷高校と手を組み、新キャストとなる荒牧慶彦演じる天下布武学園・織田佐之助が率いる、大阪の高校との激しい戦いが描かれていく。今回は主演の板垣にインタビューし、第2弾となるドラマへの思いや、役作りについて話を聞いた。

  • ドラマ『FAKE MOTION -たったひとつの願い-』主演の板垣瑞生

    板垣瑞生 撮影:宮田浩史

■考えるのは「どうやったら面白くできるかな」

——「卓球戦国時代」という設定を聞いたときはどんな感想でしたか?

「あ、そうなんだ~」と思いました。もう、「なんだそれ!?」というのもなく、「そうなんだ」と(笑)。だって、受け入れるしかないですから! でも、「どうやろうかな」とは考えました。原作がある物語ではないので、オリジナルで面白いことができればいいなと思っていました。

——最近板垣さんが出演されていた作品だと、ドラマ『貴族誕生 -PRINCE OF LEGEND-』ではホストが戦うナイトリングという設定があり、映画『映像研には手を出すな!』ではテンションの高いロボット研の部員役、映画『ゴーストマスター』では壁ドンで迫るゾンビ役と、面白い設定が多いですよね。

全部楽しくやらせて頂きました(笑)。僕としてはどれも「どうやったら面白くできるかな」ということしか、考えていないです。『貴族誕生』も自由にやらせてもらって、語尾をわざと変えたり、台本になかったけど役の感情から出てきたセリフを入れたり、オリジナルな要素を足したところはたくさんありました。見てくださる方に「いいな」と思ってもらえることをやりたいんです。

——今回もそうやって、自身のアイディアを足された部分はあったんですか?

色々と相談はしましたし、台本を作る段階でも「土方という役をもう少しブラッシュアップさせたい」と話し合いをさせてもらいました。前作から時間が経った設定でしたし、マザー(森崎ウィン)のピンチをきっかけに周りと関わっていかなければいけなかったので、もう少し外に対して開放的なキャラクターになっていたかったんです。具体的に言うと、ヒーローになりたかった。土方という、これまでいろいろ補佐をしてきたタイプの人がヒーローになれたら、夢を与えられるかな、と。それで「少年漫画の主人公にしたい」という話をさせてもらい、口調も少し変わって、敬語が抜けたキャラクターになりました。人は負けることで変わるので、1度エビ高に負けたことで、「今の自分じゃだめだ」と打ちのめされ、自分のプライドをどんどん捨て、家族のためにがんばるお父さんのような存在になりました。

——マザーとは役としてつながりも深いですが、演じる森崎ウィンさんとはどのような関係なんですか?

“あんちゃん”です。僕が行きたいハリウッドというステージに立っていて、すごくリスペクトしているし、それなのに人としての距離も、すごく近くにいてくれる方なんです。その尊敬と距離の近さが土方とマザーの関係に直結してくるのも、『FAKE MOTION』の面白いところ。もともとの人間を知っているから、「こういう言い回しで来るのかな」とか、より想像できるんですよね。「この人からこんなことを言われたら、本当に刺さっちゃう」という感じで、言葉の受け取り方の質が変わるというか……。そういう点は、特にウィンくんからの台詞で強かったような気がします。だから、ウィンくんとまた撮影できて嬉しかったです。

——元々知っている方が多く出演されていることで、他の現場とは雰囲気が違うということはあったんですか?

和気藹々とはしていましたが、それは他の撮影現場とも変わらずでした。僕が参加させて頂く撮影現場って、結構明るいことが多いんです。今回も元々知ってるからだけじゃなく、みんながいい人だから、明るい現場だったんだと思いました。

——第1弾から続けてナレーションが花江夏樹さんで、花江さんが主役の声を務める『鬼滅の刃』もヒットされているし、そういったところで話題にもなるのでは…? と思ったのですが。

花江さんの人間味のある、優しい声は、本当に『FAKE MOTION』に合ってると思います。第1弾、第2弾と引き続いてナレーションを担当してくださって本当にありがたいです。

■後輩にも「お芝居って自由なんだよ」と伝えたかった

——今回は大阪勢が入ってきて、新たなキャストの方も多く出演されますが、注目は?

ドラマ『貴族誕生』の時に廣瀬(智紀)君とのシーンが多かったんですが、今回も相変わらず最高でした。『FAKE MOTION』でも共演できるとなった時に「やったね!」と言っていたら、敵同士だったのであまり会う機会がなかったんですけど、同じシーンの時のリアクションも自分で考えてきてくれて、僕はそれを受け止める立場だったので、「ああ、面白いな」と思いました。みんな、好きなことをどんどんやってほしいと思っていたので、廣瀬君がどんどんやってくれて、作品の笑いどころも作ってくれていたので、すごくありがたかったです。

——前作とは空気が変わったと思ったところもありましたか?

変わった、というか、変えたかったんです。「みんなが好きなことをしていい場所」にしたかった。色んな挑戦ができる場所にしたかったので、「僕が最初にそこに踏み入ろう」「僕からやっていけば、みんなもそうなっていくかな」と思いました。後輩にも「お芝居って自由なんだよ。それも素敵なんだよ」ということを、伝えたかったんです。モンキー(田中洸希)やトビー(吉澤要人)もお芝居を心の底から楽しんでくれるようになって、そういう気持ちがあってやってくれてるんだなと、嬉しかったです。

——今回は大阪の過去もじっくり描かれつつ、板垣さんがぐっと本筋に戻してくる感じもありました。主演として引っ張っていく気持ちはありましたか?

一歩先を行くヒーローじゃないと、と思っていたので、そう言っていただけると嬉しいです。そういう勢いを持って卓球の試合をしていましたし、現場でも希望の光になりたいと思いながら演じた作品でした。

■板垣瑞生
2000年10月25日生まれ、東京都出身。2014年、映画『闇金ウシジマくん Part2』で映画デビューし、2015年公開の映画『ソロモンの偽証』で日本映画批評家大賞新人男優賞を受賞。主な出演作にNHK大河ドラマ『花燃ゆ』(15年)、NHK大河ファンタジー『精霊の守り人』シリーズ(17年〜18年)、連続テレビ小説『エール』、ドラマ『社内マリッジハニー』(20年)、映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』『初恋ロスタイム』(19年)、『映像研には手を出すな!』(20年)など。現在NHK大河ドラマ『麒麟がくる』に出演中で、公開待機作に映画『胸が鳴るのは君のせい』(2021年6月4日公開)がある。 ヘアメイク:礒野亜加梨、スタイリスト:石橋修一