企業の宣伝・マーケティング・広報担当者なら、その動向を必ず押さえておきたいのが「Z世代」だ。令和時代に続々と社会人になっていく「Z世代」には、どのような行動傾向があるのだろう? マイナビニュース・マイナビウーマンが「Z世代」のインサイトに関する調査を実施、オンラインセミナーで結果を解説した。

Z世代の"SNSの使い方"

1996年~2015年に生まれた世代で、デジタルネイティブ世代とも重なる「Z世代」。彼女ら彼らは平均15.1歳のときにスマホを手にしており、物心ついたときからSNSがあった。今回の調査では、1996年~2000年生まれ(21歳~24歳)の男女96名にアンケート調査、12名にヒアリング調査を実施した。一部を抜粋して紹介していこう。

Z世代が利用するSNSについて、アカウントを所持している、また最も閲覧しているSNSは「Twitter」次いで「YouTube」「Instagram」となった。また、利用法についても特徴が見えた。Twitterは複数アカウントを趣味により細分化して利用し、そのアカウントではカテゴリに属さない投稿はしないし、属さない投稿を見てもスルーするという。したがって企業のプロモーションも、投稿する場所を間違えると効果がなく、むしろ逆効果になると分析する。

一方でInstagramでは、誰とでもつながって良い「オフィシャル」と、もっと個人的な話をする「アンオフィシャル」のアカウントを使い分ける。「誰でも良いから『いいね』されたい」とは思っておらず、限られたコミュニティの中で、自分が選んだ人に『いいね』されることを望むという。

また、同じInstagramでも世代によって使い方は異なる傾向も。ミレニアム世代は「パンケーキを食べている私のアカウントに皆さん『いいね』してね」、Z世代は「パンケーキに特化したアカウントのコミュニティ内だけで盛り上がりたい」というインサイトだ。

  • 同一のSNSでも、ミレニアム世代とZ世代で使い方は異なる

インスタグラマーの作り込まれた世界より、見たいのはリアルな友達の思い出。これが感情が動かされる状態、いわゆる『エモい』という感情にもつながっていく。

リアルを求める

デジタルに慣れすぎたZ世代は、一周してアナログなものに魅力を感じているという。今アンテナに刺さるものは、写ルンです、純喫茶、フィルムカメラ、レコードといったものがあげられた。アンケートでは不便なもの、歴史のあるもの、そんな時代に憧れを持ち、「不便さってエモい」「昔見たことがあるような情景が、エモいってことなんだと思う」とコメントが寄せられた。

また「フェイクを嫌がりリアルを求める」姿もアンケートで見えてきた。プリクラや加工アプリの写真に触れ、フェイクにまみれながら生活してきた世代なので、フェイクにまみれたクリエイティブはスルーされる。つまり盛っているPR情報は受け付けず、「この口コミはプロモーションっぽい、やらせっぽい」と敏感に感じ取るという。

「リアルを求める」という部分では、SNSで参考にする人物も特徴的だ。フォロワーが100万人いる人物よりも、マイクロインフルエンサー的な人物、自分と限りなく近い環境なのに1歩先を行くような人物が参考にするという。スーパーモデルが着ているものよりも、等身大のモデルが着る服を求める。修正された広告を嫌い、広告と実物が違う商材を出せばまたたく間に企業の信頼がなくなる。PRに関しては盛らず理想を見せず、最初からリアルを見せていく戦略が求められる。

実際にあった事例として「100日後に死ぬワニ」を挙げながらの説明もあった。最終回になった途端に、書籍化、アニメ化、映画化、ゲーム化、コラボイベント展開の話が一気に出たことで「PRが絡んでいた」と気付き一気に覚める。炎上しないマーケティングのためには、誠実な見せ方が重要になるだろう。

他にも、セミナーの中では個人情報リテラシーの高さもあげられた。個人情報をさらけ出すことは危ない、と親に言われたり学校で教えられてきた世代であり、大人が思う以上に個人情報にシビアな面もある。したがって、企業がマーケティングで実施する「ハッシュタグを付けて投稿しよう」などというキャンペーン施策は、Twitterならばアカウントによっては受け入れられるが、個人との紐づきが強いInstagramアカウントでは、商材がよほど魅力的でないと難しいという。

Z世代のインサイトをまとめると

最後に、アンケート調査の分析を行うなかで、Z世代の特徴として以下のポイントが見えてきたという。

  1. 整理されていない情報はスルー、むしろ迷惑に感じる。
  2. ミレニアム世代の上をいく本物志向。ニセモノの情報を忌み嫌う。
  3. 個人情報リテラシーが高く、SNSのキャンペーンやロイヤリティプロモーションは難しい。

また、親がリーマンショックの影響を受けた姿を見ており、Z世代は雇用不安を身近に感じてきた世代だという。そうしたことから、日常生活が持続可能であることに幸せを感じる傾向があり、遠い憧れも追わないようだ。


若手社会人を読者ターゲットとするマイナビニュースでは、今回の調査のようにZ世代の分析チームを立ち上げている。Z世代の消費行動について、今後も定点観測を実施していく方針だ。