日本でも米国でも2020年は株高になり、株式投資に関連するポジティブな話題を耳にする機会も多くありました。いまだ収束しないコロナ禍、米国のバイデン政権誕生、衆院解散といった要素があるなか、2021年の相場展望を知りたい人も多いでしょう。

2021年1月15日、第4回資産運用EXPOにて、1日100億円動かした元カリスマ証券レディで、「株のお姉さん」こと経済ジャーナリストの雨宮京子さんの特別講演が開催されました。2021年の相場展望、リスク、注目テーマといった有益な内容をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

  • 「株のお姉さん」こと経済ジャーナリストの雨宮京子さんが2021年の相場展望、リスク、注目テーマを解説

    ※画像はイメージ

新型コロナ収束で株は売られる!? 2021年の相場展望

世界における新型コロナウイルス感染症との闘いは続いていますが、ワクチンなどで局面が変わる可能性もあります。

雨宮さん「新型コロナがピタッと収束すると、世の中は万々歳で株価が上昇すると思う人がいるかもしれませんが、実際は逆です。材料がなくなるので株は売られます」

株式相場は必ず先の展開を織り込んで動いています。コロナが収束することは、株式市場では潮目の変化になり、要注意すべきポイントだそうです。

また、業績相場に移行する可能性もあるとのこと。その場合でもV字回復ではなくK字型であり、浮く会社と沈む会社の二極化になるだろうと予想されていました。

  • 特別講演の様子

    特別講演の様子

日経平均株価「ボラリティが非常に高い年」

雨宮さん「日経平均株価は30年5カ月ぶりに高値を更新して話題になりましたが、私自身は全体的に上がっているという肌感覚は持っていません。1単元あたりの株価が高い『値がさ株』が、日経平均株価をリードしている状況です」。

雨宮さんは2021年の日経平均株価は、高値で3万2,000円(年末までに)、安値は2万5,000円(年央)と予想しました。また、今年はボラティリティが非常に高い年だということを認識していただきたいとのことです。

相場における"日米の政治面のリスク"とは?

バイデン新政権が誕生したことにより、増税懸念がリスク要因として挙げられています。巨大IT企業への締め付けが強まる可能性もあるとのことです。

米国の新政権には「ハネムーン期間」と呼ばれる、国民やマスコミとの関係が甘い期間があります。誕生から100日間は支持率が高い傾向がありますが、そのハネムーン期間が終わった後にどうなるのか注目すべきと雨宮さんはお話しされました。

一方で日本側にも政治リスクとして衆院解散があり、雨宮さんはそのタイミングを春か任期満了時と予想。4月に行われる補選の結果次第で、政局に波乱をもたらすリスクもあります。内閣支持率が40%を割り込んでいるのも良くない材料とのことです。

2021年の注目銘柄は?

雨宮さんが相場テーマとして挙げていらっしゃるのは、半導体、再生可能エネルギー、洋上風力発電、水素、ECコマース、DX、セキュリティなど。

中国に関連する株式も今後注目すべきとのこと。日本はコロナ禍で大変な状況ですが、上海ではすでにマスクをしていない生活を送っているそうで、中国は今後も伸びるそうです。

雨宮さん「すでに株価が上昇している半導体業界にこれから投資するなら、出遅れの割安株を狙うのがおすすめです」。具体的な注目銘柄として、「アオイ電子」(6832)を紹介しました。

日本の大型株では、トヨタ自動車とタッグを組んだ「NTT」(9432)、防衛関連で強い「三菱重工業」(7011)などを挙げていらっしゃいました。LNG(液化天然ガス)では「千代田化工建設」(6366)が注目だそう。東証二部の株であることから、プレミアム市場への変更で買われる可能性もあるとのことです。

「宮越ホールディングス」(6620)は中国関連での注目株式の1つ。「アジアのシリコンバレー」と呼ばれる中国・深セン市の都市総合開発の推進を手掛けています。

その後もDX、セキュリティ、広告、ECといったさまざまな業種の注目銘柄をピックアップし、説明していただけました。今年も波乱となる要素がいろいろありますが、投資家にとって良い年となるよう願っているとの言葉で締めくくられました。