「招聘」はビジネスシーンでも使われますが、使い方を誤ると失礼にあたる場合もある言葉です。

本記事では「招聘」の詳しい意味や、「招聘する」「招聘を受ける」といった形での使い方と例文を紹介。敬語なのかや、招聘者・招聘状などの関連語、類語や英語表現もまとめました。

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    招聘の意味や使い方について学びましょう

招聘の意味と読み方とは

「招聘」を辞書で引くと、以下のように記載があります。

しょう‐へい 【招聘】 セウ‥
礼をつくして人を招きよぶこと。「外国の音楽家を―する」
[広辞苑 第七版]

基本的には、目上の人が自分より立場が下の者を招く場合に使われます。ニュースや新聞などで、各競技の日本代表監督が「海外組の選手を招聘する」といった趣旨のコメントをしているのを見聞きした人もいるはずです。

読み方は「しょうへい」

読み方は「しょうへい」で、「聘」という漢字自体が「礼を尽くして人を招く」という意味です。

「聘」という漢字が一般的な漢字ではないため、ひらがなを交えて「招へい」と表記されることもあります。

招聘の正しい使い方

招聘は目上の人を招く際に使用する言葉ではなく、敬語ではありません。

むしろ基本的に自分より目下の者に使う言葉であるため、上司や取引先、お客様など、立場が上の人に対して「あなたを招聘します」などと言うのは失礼です。目上の人を招く場合は、「お招きする」「ご招待する」などと表現しましょう。

招聘を使った例文

ここからは招聘を用いた具体的な例文を紹介していきます。

招聘する・招聘される

招聘は「招聘する」「招聘される」というように使用するのが大半です。例文は以下のようなものが挙げられます。

  • 監督が日本代表として海外から◯◯選手を招聘する
  • 教授として大学に招聘される
  • 市長に講師として招聘された

「監督と選手」「大学と教授」「市長と講師」という上下関係で、招く側が上の立場のときに使用します。

招聘を受ける・招聘に応じる

招聘されてそれを受け入れる場合には、「招聘を受ける」または「招聘に応じる」と表現します。

例えば、下記のように使います。

  • 監督の招聘を受けて代表選手となった
  • 大学の招聘に応じて教授となる
  • 講師として、市長直々の招聘に応じた
  • 「招聘する」「招聘を受ける」などの使い方をします

    「招聘する」「招聘を受ける」などの使い方をします

招聘と混同しやすい類語

招聘に類似する言葉に「招待」「招致」「招請」があります。

どれも「招」という漢字を含み、相手を招く際に使用するため、混同しがちです。

誤用すると特に目上の人に対して失礼になってしまうので、それぞれの言葉を正しく理解しましょう。

招待

招待は、客を招いてもてなすことです。

招聘には礼を尽くすという意味が含まれますが、招待には含まれていません。また、立場に関係なく使用できる言葉が招待です。

招致

招致の意味は「招き寄せること」「招いて来てもらうこと」です。

招聘は人に対して使いますが、招致は主に行事に使用するところが特徴です。「オリンピック招致委員会」「大会の招致活動」というように使用されます。

招請

招請の意味は「頼んで来てもらうこと」です。「請」という字には「願う」「請う」という意味があります。

招聘は主に目下の者を招く言葉ですが、招請は招く側が下手に出てお願いするときに使用するものです。読み方は「しょうせい」ですが、「しょうじょう」とも読みます。

招聘の関連用語

招聘を含む関連用語は、特定の場面で使用されます。ビジネスの場で耳にしても慌てることのないよう、整理しておきましょう。

「招聘者」と「被招聘者」の意味

招聘する側を「招聘者」、招聘される側を「被招聘者」といいます。つまり、目上の人が「招聘者」であり、招く側です。

なお招待という言葉の場合は、招待者が招かれる側になります。招聘者と招待者では立場が変わるため、使用するときには注意が必要です。

「招聘事業」の意味

「招聘事業」は、団体や企業が特定の人物を招く事業やプロジェクトを指します。例えば、海外から若手リーダーや研究者などを招聘する事業について、「招聘事業」という呼称を使用します。

この場合でも、招く側の団体や企業が目上の立場であることが、「招聘事業」の特徴です。

「招聘状」または「招聘理由書」の意味

「招聘状」は、招聘者が被招聘者に送る招待状のことです。一般的には、ビザ取得の審査で必要となる書類を指します。これは海外から人物を招聘する場合に、招聘する側(招聘者)が招聘される側(被招聘者)に渡す招待状のようなものです。

「招聘状」は「招聘理由書」とも言い、外務省のホームページにもフォーマットが掲載されています。「招聘理由書」には主に「招聘に至った経緯」「目的」「招聘者・被招聘者の情報」にまつわる記載が必要です。ビザ取得時に提出することで、審査資料として使用されます。

招聘の英語表現

招聘は英語で「invitation」と訳します。類義語の「招待」も「invitation」と訳すので、英語の場合は立場による使い分けはありません。

「招聘理由書」は「invitation letter」になります。「招聘理由書」は海外の人を招くときに必要なものです。英語表現を知っておくと、どの書類を指すのかすぐに把握が可能です。

招聘の意味や正しい使い方を知ろう

招聘は、目上の人が自分より立場が下の者を招く場合に使われる言葉です。よって、目上の人に対して使用する言葉ではありません。

類義語も多いので、使う場合は慎重に言葉をチョイスしてください。