「敷居が高い」という表現は、よく使われているにもかかわらず、誤用の多い表現でもあります。

本記事では「敷居が高い」の本来の意味や誤用をしている人の割合と誤用例、また正しい使い方を例文とともに紹介します。類語も確認し、「敷居が高い」への理解を深めましょう。

  • 「敷居が高い」の本来の意味とは

    「敷居が高い」の本来の意味や使い方を、改めて確認してみましょう

「敷居が高い」の本来の意味とは、不義理などにより行きにくいこと

「敷居が高い」とは「不義理や面目のないなどの理由で、相手の家へ行きにくい」という意味があります。「伯母には数年会っていないので、敷居が高くて伯母の家には今更足が向かない」のような使い方をします。読み方は「しきいがたかい」です。

ビジネスシーンでも、「この間の〇〇社でのプレゼンテーションが不評だったので、敷居が高くなった感じがして訪問しづらい」のように使われています。

  • 「敷居が高い」の意味と読み方

    「敷居が高い」の本当の意味を把握しておきましょう

文化庁の世論調査によると「高級で行きにくい」という誤用が多い

「敷居が高い」はよく見聞きする表現ですが、半数以上が勘違いしているほど誤用の多い表現です。

前述のように、「敷居が高い」は本来、不義理や面目ないという理由で、相手の家の敷居がとても高く見えて家に行きづらい心境を表現していますが、令和元年の文化庁による調査「国語に関する世論調査」によると、「高級すぎたり、上品過ぎたりして、入りにくい」という間違った解釈をしている人が56.4%もいました。

「敷居が高い」を誤用した例文

ここでは、多く見かける「敷居が高い」を間違った意味で使っている例文を紹介します。

誤用の定型ともいえるのが、「あの店、ドレスコードもあるし敷居が高いよね」や「料亭は敷居が高くて、とても行けないな」のように、高級店に気後れしている様子の表現として使われるパターンです。多くの方がこのような使い方をした経験があるのではないでしょうか。

誤用の「敷居が高い」を言い換える場合は「ハードルが高い」を使う

高級店や上品な場所に気後れして入りにくいことを「敷居が高い」で表現するのが間違いだと学んでも、ほかにどう表現したらよいのかわからない方も多いでしょう。

店の格に気後れして入りにくい場合には、「ハードルが高い」という表現を使うのが適当です。「ハードルが高い」の本来の意味は、「乗り越えるべき障害が大きい」ですが、「あのお店はハードルが高いな」などのように使えます。

  • 「敷居が高い」の誤用

    周囲に惑わされずに正しい使い方をしましょう

「敷居が高い」のビジネスシーンにおける使い方

「敷居が高い」はビジネスシーンで使われるときも、不義理や面目を失ったことを理由とする訪問しづらさの表現として使われます。シーンに合わせて適切に使うようにしましょう。

「敷居が高くなった」の例文

以前は普通に訪問できていたのに、何かのきっかけで、急に足が向きづらくなった状況を「敷居が高くなった」と表現し、この表現はビジネスシーンでもよく使われています。

「トラブル発生直後なので、トラブルと関係ない商談の訪問であっても敷居が高くなった」のように行きづらくなったことの表現として用いられます。

「敷居が高くて」の例文

「敷居が高くて」は、訪問できない理由を述べるときに使われています。「何度も訪問を促されているが、敷居が高くて訪問しづらい」や「敷居が高くてというのは、言い訳だ」などの使い方は、ビジネスシーンでも日常会話の中でも使われています。

「敷居を高くする」の例文

「敷居を高くする」は自ら訪問しづらい理由を作って、訪問することのハードルを上げることです。「訪問を怠って、敷居を高くするような営業職は優れているとはいえない」といった表現で使えます。

日常生活でも同様に、「普段から親戚付き合いをおろそかにして、自ら敷居を高くすることはない」のように使うことができます。

  • 「敷居が高い」の使い方と例文

    「敷居が高い」は日常生活でもビジネスシーンでも使えます

「敷居が高い」の類語・言い換え表現

「敷居が高い」という言葉を使いづらい場面で、同じような意味を表現したい場合には、類語を知っていると便利です。ここでは、「敷居が高い」と同様の表現になる類語の意味と使い方を解説します。

門を塞ぐ

「門を塞ぐ(かどをふさぐ)」は「敷居が高い」とほぼ同義の「不義理をしているため、相手の家へ行くのが恥ずかしくなる」という意味で使われます。

「自ら敷居を高くする」という表現は、そのまま「自ら門を塞ぐ」と言い換えることができます。

委縮する

「委縮(いしゅく)する」には「元気がなくなる」という意味が含まれています。「敷居が高い」の持つ「気後れする」「申し訳ない」という心情と通じる部分があるでしょう。

「長い間連絡を取っていないので、敷居が高い」は「委縮してしまう」としても近い意味を表現できます。

頭が上がらない

「頭が上がらない」は「引け目を感じることで、対等な関係でいられない気持ち」を表現しています。「引け目を感じる」という意味において、「敷居が高い」と通じます。

「長い間ご無沙汰しているので、敷居が高い」は、状況によっては「頭が上がらない」に言い換えられます。

  • 「敷居が高い」の類義語

    状況を的確に表現できる類語も使えるようなりましょう

誤用が多い慣用句「敷居が高い」を正しく使おう

今まで自分が使っていた「敷居が高い」という言葉の意味や使い方は、正しいものだったでしょうか。誤った意味で使っていたという方は、この機に正しい意味を理解し、正しい使用場面で使えるようにしていきましょう。

「敷居が高い」を使う状況は、不義理や面目を失うというきっかけが存在し、それに対し気後れしているという気持ちが前提にあることが条件になります。基本を押さえ、ビジネスシーンでも活用していきましょう。