「諸刃の剣」という言葉は、スポーツの競技中に難易度の高い技について話すシーンや、経済政策などのニュース関連で解説者が使うことがあるため、聞いたことがあるという方もいるでしょう。

「諸刃の剣」は、簡単にいうと「ハイリスクハイリターン」という意味があるため、インパクトの強い言葉です。表現の一つとして身に付けておくと、何かを説明したり、コメントを残したりする際に使用できるでしょう。

「諸刃の剣」の意味や使い方を知り、ビジネスに活かしましょう。

  • 「諸刃の剣」の意味や読み方

    諸刃の剣の意味や読み方を知り、ビジネスシーンで活かしましょう

「諸刃の剣」の意味・読み方

諸刃の剣は「もろはのつるぎ」と読み、「非常に役に立つものであるが、大きな被害を与える危険性もある」という意味があります。「収益を期待できるが、それとともに危険性があるため覚悟が必要」といった使われ方をします。

身近なところでは、仕事や投資のリスクについて話す際などに使われることが多いでしょう。

  • 「諸刃の剣」の意味や読み方

    諸刃の剣の意味や読み方を理解しましょう

「諸刃の剣」の語源

「諸刃の剣」は、「両面に刃がついている剣は相手を傷つけることも、自分を傷つけることも可能である」という意味から来た言葉です。

「諸」は多くのという意味がある漢字ですが、名詞の上に付いて複合語を作る働きがあります。「刃」の前についているため、「諸刃」は両面の刃という意味になります。

なお、諸刃の剣の「剣」は、片面にしか刃がついていない日本刀ではなく、両方に刃がついている西洋の剣をイメージすると分かりやすいでしょう。

  • 「諸刃の剣」の語源

    諸刃の剣の語源を知り、この言葉の理解を深めましょう

「諸刃の剣」の使い方と例文(具体例)

諸刃の剣という言葉には、2通りの使い方があります。

1つ目は、「高い効果を発揮するが同時にリスクも伴う」という使い方で、2つ目は、「高い利益を得られるが同時にダメージも伴う」という使い方です。

どちらの意味も押さえておけば、場面に応じて適切な使い方ができます。以下に紹介する例文を参考にして、正しい使い方を覚えましょう。

高い効果を発揮するが同時にリスクも伴う

この意味で用いる「諸刃の剣」は、どちらかというと効果よりも危険性への警告として、相手に理解してもらいたい場合に使う表現です。

<例文>

  • 抗がん剤はがん治療としては効果的だが、強い副作用があるため諸刃の剣とも言われる部分がある
  • 原子力は便利な力ではあるが、事故の危険性もあるため諸刃の剣だ

高い利益を得られるが同時にダメージも伴う

この意味で用いる「諸刃の剣」は、ダメージを被る覚悟を持って欲しい意味合いが強いでしょう。

<例文>

  • 競合他社を出し抜くための作戦は諸刃の剣だ、うちも損益を覚悟しなければならない
  • SNSを楽しむ方は多いが、使い方を間違えると炎上や個人情報の流失というダメージになるため諸刃の剣だ
  • 「諸刃の剣」の例文

    諸刃の剣の正しい使い方について、例文を参考にしましょう

「諸刃の剣」の類語・言い換え表現

諸刃の剣の類語には、「両刃の剣」「ハイリスクハイリターン」「一長一短」「痛みを伴う」などがあります。

諸刃の剣の類語とそれぞれのニュアンスや使い方を知って、シーンに合わせて正しく使いましょう。一つの表現を使い回すよりも、言い方を変えたほうが知的な印象を与えられるでしょう。

ビジネスシーンなどで活躍する言葉なので類語も押さえておきましょう。

両刃の剣

「両刃の剣」は、相手に打撃を与えられるものの、自分に害が及ぶ可能性もあるという意味の言葉です。諸刃の剣と同じ意味・使い方であり、諸刃と同様、両刃も両面に刃がついていることを指します。読み方は「りょうばのつるぎ」。

<例文>

  • 両刃の剣と批判されても、この企画を最後のチャンスと捉えているので問題ない
  • 優秀な外科医師だが、素行の悪さを考えると両刃の剣だ
  • 両刃の剣であっても、この契約で得られる利益を優先しよう

ハイリスクハイリターン

「ハイリスクハイリターン」とは、高い危険性がある(安全性が低い)ことほど、高い利益を期待できるという意味の言葉です。

投資の際に用いられることが多い言葉で、損害を負う危険性が高いと示唆するときに使います。

「価格の変動が大きいハイリスクハイリターンの銘柄を買いたい」「一発逆転を狙う場合はハイリスクハイリターンの商品に手を出すしかないだろう」などの使い方ができるでしょう。

一長一短

「一長一短」は、良いところもあれば悪いところもある、長所と短所、完全ではないという意味です。

一長一短は、性格や一つの物事には良い面と悪い面があるという使い方をしますので、危険に関して話す場合は「諸刃の剣」を使ったほうが良いでしょう。

<例文>

  • 彼女はとても頭が良く優しいが、計算高い気もしてしまい、交際相手としては一長一短である
  • どんな方でも一長一短があるため、相性は一概に判断できない

痛みを伴う

「痛みを伴う」は、ある物事に付随して痛みが起こるという意味がある言葉です。

ある物事や目的を達成するには、デメリットも覚悟して取り組むというときに使います。危険の警告というより、犠牲に対しての意味合いが強いでしょう。

<例文>

  • この改革を実行する場合、痛みを伴うだろう
  • お互い良い方向に進むには、別れという痛みを伴う選択しかなかった
  • 治療する場合は痛みを伴う覚悟が必要だ
  • 「諸刃の剣」の類語

    諸刃の剣の類語を覚えましょう

「諸刃の剣」の対義語

諸刃の剣の対義語として、「片刃の太刀」「ローリスクローリターン」という言葉があります。諸刃の剣と逆の意味として、相手に伝えたいときに活用できるので、意味や使い方を押さえておきましょう。

特に「ローリスクローリターン」は、ビジネスシーンで使用したり耳にしたりする機会が多くあるでしょう。

片刃の太刀

「片刃の太刀」とは、片面に刃がついている太刀という意味の言葉です。太刀は、日本で作られた大体2尺以上の大型刀剣のことを指します。

両面に刃がついた西洋の剣に対して、片面に刃がある太刀という違いを表しています。

「日本刀は片刃の太刀だ」という使い方をしますが、通常の会話などで何かを指す意図で使われることは少ないでしょう。

ローリスクローリターン

「ローリスクローリターン」とは、「危険性が低いが利益も低い」という意味の言葉で、投資関係で使用されることが多いでしょう。

役に立つが、大きな被害を与える危険性もあるという諸刃の剣の対義語です。また、類語で挙げたハイリスクハイリターンと逆の言葉でもあります。

<例文>

  • 今の銀行への預金は、金利が低くローリスクローリターンだ
  • ローリスクローリターンな選択をしがちで、基本受け身な姿勢が多い
  • 「諸刃の剣」の対義語

    諸刃の剣の対義語を知り、場面ごとに活かしていきましょう

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諸刃の剣は、両面に刃がついている剣という意味どおり、相手を切りつけることも可能だが自分も傷つく覚悟が必要という際に使う言葉です。

勝気な方であれば、諸刃の剣という内容を理解しても挑んでいく傾向にありますが、基本的に受け身で弱気な方であれば別の方向を模索するでしょう。

ビジネスシーンでも使用したり、相手から言われたりする機会が多いため、諸刃の剣の正しい使い方を覚えて上手に活用しましょう。