「杞憂」という言葉を耳にしたことはありませんか。小説の中やニュースでこの言葉が用いられていたり、杞憂という言葉を使う場面に遭遇し「この使い方で合っているのだろうか」と悩んでしまったりする人もいるのではないでしょうか。

本記事では杞憂の使い方を解説し、ちょっとした会話の中だけでなくビジネスの場で咄嗟に活かせるよう例文を用いながらご紹介します。

  • ノートに何かを書いている人

    今さら聞けない「杞憂」の意味や使い方などを理解していきましょう

杞憂の意味

杞憂とは「心配する必要のないことに対して心配すること」「取り越し苦労」を意味し、「きゆう」と読みます。心配していたけど何も起こらなかった、という意味合いで使われ「杞憂に過ぎない」「杞憂に終わった」などのように用います。

杞憂を用いた例文

仕事上での杞憂を使った言葉をメール文で例えると、

「先ほどお送りしたメールの中で『書類の中に誤りがあるかもしれません』とお書きしましたが杞憂のようでした」

「電車の遅延により予定の時間に間に合わなくなるかと思われましたが、杞憂に終わったようです」

「杞憂かと思われますが、今一度ご確認のほうをお願いいたします」

などがあります。

杞憂の由来

杞憂の由来は、中国の思想家が記した書物「故事 天瑞篇」の中に綴られた「杞人天憂」の四字熟語からきています。杞人天憂(きじんてんゆう)は四字熟語であり、この言葉を省略してできた言葉が杞憂となります。

「杞」は中国周代の国名の「杞」からきています。杞の国の人たちが「いつか天が落ちて大地が崩れてしまうのではないかとありもしないことばかりを心配し夜もよく眠れず食事もできなかった」という故事の「列子」から取られて「杞人天憂」となりました。

杞憂の正しい使い方

ここでは杞憂を使った例文を用いながら仕事中でのメールを打つ際や日常での会話など、さまざまなシーンで臨機応変かつ適切に使えるように解説を加えながらご紹介していきます。正しい使い方をマスターし、自然に取り込めるようにしていきましょう。

■杞憂しても仕方がない

「起こらないことを心配していても仕方がない」という言葉を簡潔かつ丁寧にした文章です。無用な心配をしなくてもいい、という意味合いでも書かれます。

使い方としては「提出する書類は、隅々まで何度も確認したから間違えなどの杞憂をしていても仕方がない」などの書き方ができます。

■杞憂であればよい

何か悪い状況になっていないか(または起こらないか)心配し、相手への無事を祈る意味を込めて使う言葉です。「杞憂であればよいのですが」という丁寧語として使うこともできます。

使い方としては、「杞憂であればよいのですが、体調など崩していませんか」のように用いられます。

■杞憂に終わるだろう

「何か起こるのではないかと心配していたが、特に問題もなく無事に終わった」という意味を持つ言葉です。「杞憂に終わった」などの言い換えもできるため、日常会話などにおいてよく使われている言葉です。

仕事上でも丁寧な表現として使えるため、「今回の企画は不採用になるのではないかと思ったが杞憂に終わった」「開発した商品が売れるかどうか不安でしたが杞憂に終わるようです」「15時までに間に合わないと思われたが杞憂に終わるだろう」のように使われます。

  • 図書室の女子学生

    杞憂の意味を正しく理解しましょう

杞憂の類語

杞憂と同じような意味を持つ単語に「懸念する」「危惧する」「取り越し苦労」といった言葉があります。それぞれの意味や使い方の解説を通して理解し、場面によって使い分けてみるのもいいでしょう。

懸念する

「懸念」(けねん)とは「何かが気になり不安になる」ことで、日常やビジネスの場においても多く使われる言葉です。「懸念する」の使い方としては「将来起こる可能性のある出来事に対し不安を感じ心配すること」という意味合いを持たせて、「失敗してしまうのではないかと懸念する」という使い方もできます。

ビジネスで使う場合は「問題のある部分や心配な部分への指摘」という意味で、「この文章には矛盾があるのではないかと懸念する」「今回の件について懸念する声があがっているようです」などの使い方ができます。

また、「御懸念」と書くことで敬語としての形になり、目上の方に対し相手の心配事などを気遣うときに使える言葉となります。

危惧する

「危惧」とは「事が悪い結果になるのではないかと不安になり、恐れること」という意味を持ち、「危惧する」は「悪い結果になるのではないか」などの不安な場面に用いられます。

例文を用いると、「地球上の平均気温の上昇により海面の上昇が危惧される」「実験の失敗を危惧する声もある」などのように使われます。

「危惧しております」という丁寧語を用いた使い方もできるので、目上の人に対して用いる場合などに使いましょう。

取り越し苦労

「取り越し苦労」とは「先がわからないのにさまざまな想像をして心配になること」を指します。

杞憂と同じような意味合いで使われることが多く、こちらも日常会話やビジネスで使いやすい言葉となっています。ただし、目上の人に対して使うと失礼な印象となってしまうので場所を選んで使いましょう。

使い方は、「予定が入らないのではないかと思ったが取り越し苦労だった」「雨が降るのではないかと思って傘を持ってきましたが取り越し苦労でした」などのように使えます。

杞憂の対義語・英語訳

対義語

杞憂の対義語には「気楽」「のんき」などがあり、「何かに対する心配事や不安が無い様子」を表しています。

気楽は「心配なことや不安なことが無く、のんびりとしていられる様子」、のんきは「のんびりとした性格、または気分のこと、気晴らし」を指しています。

この2つをそれぞれ使ってみると、「やらなければいけないことが多いときでもあの人はマイペースでのんきだ」、「溜まっていた仕事がようやく終わったので気楽になった」などの使い方ができます。

英語訳

杞憂は英語で翻訳すると「needless anxiety」「unfouded fear」となりますが、このほかにも多数の表現の英訳があります。文章の中に取り入れることが難しい言葉であるため、英語だと日常会話やメールでも難しい部分が見受けられますので、使う際には「どういう文法にすれば杞憂という表現が伝わるのか」という点を踏まえて考えてみましょう。

杞憂の意味や使い方を理解しよう

杞憂とは、故事の「列子」から取られた「杞人天憂」を略した言葉であり、「心配する必要のないことを心配してしまうこと」という意味でした。それまでの不安や心配ごとを打ち消す表現となる「杞憂に終わる」という言葉は、ビジネスでの会話やメールの文面などに取り込むことで周りや相手をほっとさせられるでしょう。

また、「杞憂であればよいのですが」は目上の人へ体調などを気遣う言葉として使用できるため、「ちゃんとした言葉遣いができて相手のこともしっかり見ているな」と印象をぐっと変えられるでしょう。