JR九州は22日、香椎線西戸崎~香椎間にて、819系「DENCHA」1編成(2両編成)を使用し、運転士が乗務した状態の営業列車で、自動列車運転装置を用いた実証運転を行うと発表した。12月24日から開始し、上下各12本の列車で実施予定としている。

  • 香椎線で活躍する交流蓄電池電車「DENCHA」

JR九州では、少子高齢化や人口減少が進む中でも鉄道ネットワークを長期的に維持し、将来にわたる労働人口減少の中でも必要な人材を確保するため、作業の自動化・機械化を推進している。その一環で、2017年から自動運転の検討を進めており、既存の技術であるATS-DKをベースに、自動列車運転装置の開発に取り組んできた。

香椎線西戸崎~香椎間では、2019年12月下旬から「DENCHA」による走行試験が行われ、2020年度中に営業列車での実証運転をめざすと発表していた。12月24日から自動列車運転装置を用いた営業運転が始まることになり、初列車となる香椎駅9時0分発、西戸崎行の発車に合わせ、香椎駅で出発式を行う。この列車は宇美駅始発だが、宇美駅から香椎駅まで手動運転となる。

12月24日以降、自動列車運転装置の実証運転を行う列車は、上り(西戸崎行)が香椎駅9時0分発・10時10分発・11時9分発・12時9分発・13時9分発・14時9分発・15時9分発・16時0分発・17時3分発・18時1分発・19時3分発・20時3分発、下り(西戸崎発)が西戸崎駅9時30分発・10時39分発・11時39分発・12時39分発・13時39分発・14時39分発・15時32分発・16時29分発・17時28分発・18時29分発・19時30分発・20時31分発。運転士の心理的影響を把握し、車両制御の安定性と運転取扱いの変更点における検証を行い、在来線での自動運転列車の運行に関する知見を蓄積する。

JR九州によれば、「ATS区間、踏切有、JR線における自動運転は国内初導入」とのこと。今後の目標として、2021年度末までに営業運転の区間拡大(香椎~宇美間)・対象列車拡大をめざすとともに、将来的には運転士以外の係員が前頭に乗務する自動運転(GoA2.5)の実現をめざすとしている。自動列車運転装置を用いた実証運転は当面実施し、運転士以外の係員が前頭に乗務する自動運転の実現まで継続する予定。「鉄道における自動運転技術検討会(国土交通省鉄道局)」での議論を踏まえつつ、今後も取組みを進めていく。