2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で冬のボーナスの支給額が昨年と大きく変わったという人もいるのではないでしょうか。ボーナス額が上がった業界と下がった業界、それぞれどのような違いがあるのかを分析してみます。

またコロナ禍でのボーナスの使い道についてもお伝えします。

  • 2020年冬ボーナス額が上がった業界・下がった業界は? 新型コロナの影響を分析※画像はイメージ

そもそも「ボーナス」とは

日本の会社では、毎月の給与とは別に、ボーナスが夏と冬の年2回支給されることが多く、一般的に、夏のボーナスは10月から3月の勤務の評価に応じて、冬のボーナスは4月から9月の勤務の評価に応じて支払われます。

通常、ボーナス支給額は、1カ月当たりの所定内給与に支給月数を乗じて算出される場合が多いです。例えば、「基本給×2カ月」という場合、基本給が30万円だとすると、30万円×2カ月=60万円の額面となります。

そして、その金額から税金と社会保険料が差し引かれて支給されます。ざっくりですが、額面の約8割程度が手取りです。

ボーナスは労働基準法で定められているものではなく、勤務先の就業規則で決められています。就業規則に「業績によってはボーナスを支給しない」というような内容が記載されていれば、会社側は、業績が悪化している場合はボーナスを支給する義務はありません。

今年の冬のボーナス、業界別でどんな違いがある?

今年は新型コロナウイルスの感染拡大による業績悪化により、所定内給与も支給月数ともに悪化した業界が多くあります。

東京都が都内の1,000労働組合を対象に調査した「2020年年末一時金要求・妥結状況について(令和2年11月5日現在)」の中間発表によると、前年妥結額と比較可能な240組合の冬のボーナス平均妥結額は78万1,794円となっており、前年比3,133円(0.40%)減となっています。これは平均賃金の2.46カ月分に相当します。

産業別・業種別妥結金額の分析対象となった17業種で、前年に比べて増加率が大きかったのは「卸売・小売業」(8.79%)、「パルプ、紙、紙製品」(6.99%)、「サービス業(その他)」(6.27%)となっています。

在宅勤務などの影響で内需系の需要が増加したほか、マスクや生活必需品を販売するスーパーなどの小売業も業績がアップしたことが背景にあると思われます。

一方、前年に比べて減少率が大きかったのは「鉄鋼業」(-22.14%)、「輸送用機械器具」(-4.70%)、「食料品、たばこ」(-4.64%)となっています。

大きく減少した鉄鋼業は、コロナ禍において自動車などの工場が停止し、鋼材の需要が激減したことも影響しました。

コロナ禍でのボーナスの使い方

来年以降もしばらくはwithコロナ時代を生きていかなければなりません。

今年はボーナスが出たけれど来年以降はわからない……そのような状況で、ボーナスの上手な使い方はどのようなものがあるでしょうか。

借金を返済する

まず一番に考えたいことは借金を返済することです。もしボーナス払いを利用していて、ボーナスが支給されなくなったら困りますよね。またクレジットカードでリボルビング払いをしている人は、実はかなり高い金利を支払っています。

残金をまとめて返済できるのであれば、まずは借金をなくしてしまいましょう。

生活費の3カ月分は貯蓄して

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で給与が少なくなったり、仕事がなくなったりして収入が途絶えたりした場合でも日々の生活費は必要です。そんな場合に備えて最低でも毎月の生活費の3カ月分は貯蓄しておきたいもの。

もし貯蓄ができていないならまずはボーナスで準備しておきましょう。普段給与が振り込まれる口座とは別に、いざという時のための口座を作ってその口座に貯めていくといいでしょう。

経済を回すのも大切

ボーナスが減少しなかった、あるいは逆に増額したという人はレジャーや買い物に使って経済を回すのも大切です。また、生活費3カ月分の預貯金がある人は、投資をしてみるのもいいでしょう。

毎月の生活費が赤字だからといってボーナスで補填したり、まとまった金額の物をボーナス払いで購入したりすると、ボーナスが減額したり支給されなくなったりした時に困ります。まずは、毎月の生活を給与内でやりくりしていきましょう。

安部智香

女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター ファイナンシャルプランニングオフィス代表、ファイナンシャルプランニング技能士2級、AFP(日本FP協会認定)、一種外務員資格
短大卒業後、証券会社に勤務。在職中は資産運用のアドバイスを担当。結婚退職後は、証券会社在職中に得た知識を活かし投資による資産形成を行っていたが、周りの主婦の大半は投資の方法を知らないことに気付く。そのため、「もっとお金のこと、家計のこと、資産運用のことを伝えたい」という思いで個人事務所を立ち上げる。個別相談、執筆業務、マネーセミナー講師として活動中。著書は「幸せなお金持ちになるマネーレッスン♪」(パブラボ)
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