女優の石原さとみが主演を務める、テレビ東京の新春ドラマスペシャル『人生最高の贈りもの』(2021年1月4日20:00～21:54)の田淵俊彦プロデューサー(テレビ東京 制作局)が取材に応じた。

  • 石原さとみ

    石原さとみ

同作は2019年に紫綬褒章を受章した脚本家・岡田惠和によるオリジナル作で、2011年に旭日小綬章を受章した石橋冠が監督を務めた。元大学講師の翻訳家・笹井亮介(寺尾聰)のもとに、突然一人娘・ゆり子(石原さとみ)が帰ってくる。これまで「父と娘」の会話をろくにしてこなかったため、2人の間にはぎこちない雰囲気が漂う。緊張しつつも温かく穏やかに過ぎていく2人暮らしだが、実は娘の人生に残された時間はわずかだった。

同局ドラマに初主演となった石原について、田淵プロデューサーは「初めて仕事をするんですけど、第一に感じたのは、非常に仕事に向き合う方。最初の衣装合わせの時から、それを感じたんです」と印象を表す。作中では、石原演じる主人公・ゆり子が久々に実家に戻り、父・亮介が一人で暮らすキッチンを見て「いやらしい」と言い放つシーンがある。実は亮介は一人暮らしで料理にハマるようになっていたのだが、ゆり子は父に料理をする女性がいるのでは? と疑う……というコミカルなシーンになっている。そのシーンについて、初対面の石原が田淵プロデューサーに挨拶をする前から「そこでいやらしい』思うのは、かなりキッチンが整って、プロフェッショナルな感じになってると思うんですよ!」と、話を始めたという。

田淵プロデューサーは「いきなりその話を始められて、『これはすでに入ってるな』という感じがあった。熱量があったし、脚本も石原さんが気に入って熱望してぜひやりたいと事務所に直談判してくれたという話を聞いています。多分、石原さんはいつもそんな感じで真摯に仕事をされる方なんだろうなと、魅力を感じました」と振り返った。

プロデューサー自身「実はデビュー映画の『わたしのグランパ』の時期にちょうどドキュメンタリーで菅原文太さんとお仕事していたので、観て『すごい人が出てきたな』と思った」と明かす。「それからいろんな作品を見てるんですけど、今回の泣き笑いの顔はあんまり見たことないなと思っていて、そういう意味でも非常に稀有な作品だと思うし、そういう顔もできちゃうんだ、まだまだ非常に引き出しがある人なんだなと感心しました」と語った。

俳優の向井理がゆり子の夫・田渕繁行を演じたが、実は石原とは初共演。田淵プロデューサーは「僕もびっくり」と驚いたという。長野で行われた夫婦シーンの撮影では、向井が先に現地入りし、後から石原が撮影に加わった。「会ったことはあるらしくて、『どうも～』と言って、それからずっと2人で話してるんですよ。何を話してるのかな、かなり話が盛り上がってるなと思っていたら、後で聞くと、それも役作りなんですよね」と田淵プロデューサー。「両親とも離れた場所に2人きりで暮らす夫婦だから、2人で話すことも多いだろうということで、撮影以外でも話すことによって夫婦としての雰囲気を作ろうとしていた。僕は『ずいぶん話が盛り上がってるんだな』と思ってたけど、そうじゃなくて役作りをしてたんだと思うと、すごい」と感心する。

また田淵プロデューサーは「向井さんの役って、本当に難しい。本人も言ってましたけど、自分から出ていく役じゃなくて、受け身、リアクションの役。岡田さんも『そうだそうだ。難しい役だ』と言っていて、『あんたが書いたんじゃないか』と思いましたけど、向井さんの受けの芝居に、石原さんも全幅の信頼を置いていて、向井さんも石原さんのことをすごく信頼している感じがありました」と明かした。