高給取りで待遇も恵まれているイメージの国家公務員。毎月の給与やボーナスの金額も気になりますが、「退職金はどのくらいもらえるのだろう」と疑問に思ったことはありませんか? そこで本稿では、国家公務員の退職金の仕組みや平均支給額などについてまとめてみました。

  • 国家公務員の「退職金」の平均は?

国家公務員の給与の仕組み

国家公務員とは、行政府・司法府・立法府の国家機関で働く公務員です。一口に国家公務員と言ってもその仕事は多種多様ですが、大まかには、大臣や国会議員、裁判官などの「特別職」と、各府省に勤務ずる一般の行政官や税務職員、外交官などの「一般職」に分けることができます。

国家公務員の給与は、「基本給」のほか「諸手当」で成り立っており、会社員で言うところの基本給のことを「俸給」と言います。俸給は、法律で定められた「俸給表」に基づいて支払われます。俸給表とは携わる職務によっていくつもの種類に分かれているもので、自分に適用される俸給表の中から、横軸の「級」(職務の難しさや責任度合い)と縦軸の「号給」(勤務年数)が合わさったところで支給される給与額が決定。なお、級が上がることを「昇格」、号給が上がることを「昇給」と呼びます。以下は、俸給表の種類の一部です。

・行政職俸給表
最も当てはまる人の多い俸給表で、中央省庁に勤める職員などに適用されます。

・専門行政職俸給表
植物防疫官、家畜防疫官、特許庁の審査官、航空管制官などに適用される俸給表。

・税務職俸給表
税務職員などに該当する俸給表。

・公安職俸給表
警察官、皇宮護衛官、入国警備官、刑務所に勤務する職員などに適用される俸給表。

・海事職俸給表
日本船舶に乗る船長、航海士、機関長、機関士など主に海上での仕事に就く人に当てはまる俸給表。

このほか、医療職、教育職、研究職、福祉職などの俸給表があります。

国家公務員の退職金を計算するには

国家公務員の退職金(正確には、「退職手当」)は「国家公務員退職手当法」という法律によって定められており、給与と同様、当てはまる俸給表の適用範囲内で支給されます。退職金額の計算式は次の通りです。

基本額(退職日の俸給月額×退職理由別・勤続年数別支給率)+調整額

このうち、退職理由が「自己都合」の場合は、勤続年数が同じでも定年退職より支給率が低く設定されています。なお、「国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律(平成30年1月1日施行)」によると、退職理由が定年退職の場合の支給率は、勤続年数ごとに以下のようになっています。

・勤続年数20年……24.586875
・勤続年数25年……33.27075
・勤続年数30年……40.80375
・勤続年数35年以上……一律47.709

また、「調整額」とは、平成18年4月に施行された制度で、民間企業の「ポイント制退職金制度」のポイントに相当。ポイント制退職金制度とは、勤続年数や職能、職務等級、役職などにポイントを付与し、このポイントに1ポイント当たりの単価を乗じることによって退職金を計算する制度です。

ポイント制退職金制度は、従来の退職金制度のように、勤務年数が長いほど退職金が高額になるとは限らず、基本給とは別に会社への貢献度を退職金に反映できる点がメリットと言えます。「民間企業におけるポイント制退職金制度の実態に関する調査(平成26年度内閣官房内閣人事局委託調査)」によると、29.4%の企業がポイント制退職金制度を採用しているそうです。

国家公務員の退職金の平均額

では、国家公務員の退職金は具体的にどのくらいの金額なのでしょうか。内閣人事局の「国家公務員退職手当実態調査 退職手当の支給状況 平成30年度退職者」によると、平成30年度中の退職者は常勤職員で3万3,794人、退職手当の平均支給額は、1,054万9,000円。このうち、常勤職員の約56%を占める行政職俸給表(一)の退職者は6,374人が退職手当を受給し、平均支給額は1,520万4,000円でした。

なお、退職理由が「定年」である退職者のみに絞ると、受給者数は1万3,101人、平均支給額は2,068万円となりました。このうち、行政職俸給表(一)の退職者は3,254人、平均支給額は2,152万3,000円です。

一方、民間企業の退職金は平均でどのくらいなのでしょうか。厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」によると、民間企業の退職者(大卒または大学院卒・退職理由は定年・勤続20年以上かつ45歳以上)の平均退職給付額は、退職一時金制度のみでは1,678万円でした(退職年金制度のみでは1,828万円、退職一時金制度と退職年金制度併用では2,357万円)。ちなみに、民間企業の退職金は年々減っており、20年前と比較すると1,000万円以上もダウンしています。

国家公務員といっても職務の種類などによって退職金はまちまちです。が、国家公務員の半数以上を占める行政職俸給表(一)の退職者の退職手当と民間企業の退職金を比べてみると、やはり国家公務員の待遇の良さが目に付きます。民間企業との差を縮めるため、平成25年から国家公務員の退職手当は段階的に引き下げられましたが、それでもなお、格差は残っているのが現状のようです。

一方、国家公務員の定年を段階的に65歳まで引き上げることが検討されています。それにより、60歳を超える職員の給与は7割程度になり、65歳で退職する場合、退職金を計算する際のベースとなる基本額も60歳時点の7割に減額する可能性があります。国家公務員の退職金については、今後の動きに注目していきたいところです。

注視したい国家公務員の待遇

今回は、国家公務員の退職金について解説しました。国家公務員といえば、コロナ禍にあっても、ボーナスが「超微減」であることが話題となりましたが、退職金にしても、やはり恵まれていると感じます。一方で、実際に勤めてみなければわからない給与、待遇の良し悪しや大変さなどもあるでしょう。また、定年延長も議論されています。国家公務員の様々な待遇の変化に注視していきましょう。