いつの時代も人気の職業として名前が挙がる「公務員」。比較的高水準で安定した給与も魅力のひとつですが、都道府県に勤める地方公務員の給与はどのくらいなのでしょうか。地方公務員の中でも一般行政職の給与が高いところ、低いところをデータから抽出してみました。また、その差を生んでいる要因についても考察していきます。

  • 公務員の給料「都道府県別ランキング」を発表

公務員の給料が高い都道府県は?

職や給与が安定していることで人気の高い公務員ですが、都道府県別ではどのくらい違いがあるのでしょうか。総務省が発表している「平成30年 地方公務員給与実態調査」のデータを用い、一般行政職(役所で事務的な仕事を行う公務員)で給与の高い都道府県を10抜き出してみました。

なお、給与は平均給与月額+諸手当月額の12ヶ月分と期末手当(年間)、勤勉手当(年間)の合計を計算しています。諸手当には、扶養手当、地域手当、通勤手当、特殊勤務手当、管理職手当、時間外勤務手当、その他の手当が含まれ、中には「寒冷地手当」が付くところもあります。寒冷地手当は、寒冷地や積雪の度合いが大きい地域に勤務する場合に支給される手当です。期末手当と勤勉手当は、民間企業で言うところのボーナスに相当するものです。期末手当は、在職期間に応じて定率で支給され、勤勉手当は、勤務成績に応じて支給されます。

<給与の高い都道府県上位10>

※年収で比較。カッコ内は、平均給与月額+諸手当月額の12ヶ月分、寒冷地手当(ある場合)、期末手当、勤勉手当の順に記載

1位:東京都 711万7,100円(533万4,000円+100万5,600円+77万7,500円)
2位:大阪府 703万2,600円(523万800円+104万7,500円+75万4,300円)
3位:神奈川県 701万7,800円(530万2,800円+102万5,100円+68万9,900円)
4位:兵庫県 700万5,000円(520万5,600円+5万5,800円+102万6,200円+71万7,400円)
5位:三重県 692万5,900円(519万4,800円+103万8,200円+69万2,900円)
6位:愛知県 692万1,500円(520万2,000円+101万5,100円+70万4,400円)
7位:滋賀県 690万2,200円(517万9,200円+2万9,000円+100万1,900円+69万2,100円)
8位:静岡県 688万7,300円(516万1,200円+100万100円+72万6,000円)
9位:徳島県 686万7,600円(517万6,800円+100万1,600円+68万9,200円)
10位:広島県 679万9,500円(505万800円+2万1,000円+103万6,100円+69万1,600円)

地方公務員の給与が最も高い都道府県は、日本の首都である東京都でした。月額給与と諸手当の合計は、平均で44万4,500円、期末手当は年間100万5,600円、勤勉手当は年間77万7,500円で、年収にすると711万7,100円となります。次に、大阪府の年収703万2,600円、神奈川県の年収701万7,800円と続いています。

大都市を抱える東京都や大阪府、首都圏でも東京に次いで規模の大きい神奈川県がトップ3に入り、年収はいずれも700万円台です。なお、上位10位までを見ると、比較的人口の多い都道府県が入っているようです。

公務員の給与が低い都道府県は?

次に、給与の低い都道府県を給与の高い都道府県と同じ条件で下から10抜き出してみました。

<給与の低い都道府県下位10>

38位:北海道 639万4,500円(471万3,600円+9万3,100円+93万500円+65万7,300円)
39位:秋田県 634万5,800円(475万6,800円+6万9,000円+91万3,200円+60万6,800円)
40位:佐賀県 630万3,800円(473万5,200円+93万3,500円+63万5,100円)
41位:鹿児島県 626万9,800円(473万4,000円+92万1,700円+61万4,100円)
42位:岩手県 624万3,400円(469万4,400円+91万9,200円+62万9,800円)
43位:鳥取県 620万5,100円(481万5,600円+84万8,200円+54万1,300円)
44位:宮崎県 618万6,300円(465万7,200円+91万2,100円+61万7,000円)
45位:青森県 608万7,500円(458万5,200円+6万5,800円+86万7,100円+56万9,400円)
46位:高知県 607万4,600円(463万6,800円+89万2,900円+54万4,900円)
47位:沖縄県 584万4,900円(442万8,000円+85万4,500円+56万2,400円)

最も給与の低い都道府県は沖縄県で、年収584万4,900円でした。46位の高知県から大きく金額が下がり、1位の東京都との給与の差は約127万円となっています。下位の都道府県は、比較的人口が少なく首都圏から離れているという共通点があるようです。地域としては、東北や四国・中国、九州地方が多く入っています。

給与額に差を生む要因とは

同じ一般行政職の仕事でも、都道府県によって給与に開きがあることがわかりました。この差を生んでいる要因のひとつとして、「手当」が考えられます。先にも出てきたように、公務員には様々な手当がつきますが、特に、地域手当は毎月の平均給与月額に占める割合が大きくなっています。

地域手当とは、地域の民間賃金水準を公務員の給与に反映させたもので、民間賃金の高い地域に勤務する公務員に支給されます。この地域手当は、たとえば、東京都では月額6万4,500円です。

また、給与額が近い都道府県では、寒冷地手当が付くかどうかによって、ランキングに入れ替わりが生じることもありました。寒冷地手当は全国22の都道府県で支給されており、この金額が突出して高いのは北海道の9万3,100円でした。

都道府県によって給与が大きく異なる

今回は、給与の高い都道府県と低い都道府県を10ずつご紹介しました。様々な手当が付く点は、やはり公務員は恵まれていると感じたのではないでしょうか。

特に、地域手当が高額な都道府県は、ランキング上位に入る傾向があり、同じ公務員と言っても、都道府県によって給与額には驚くほど差がありました。公務員の給与から地方財政の状況も考えてみると、興味深いものです。