秋元康氏が企画・原作、大根仁氏が脚本・演出を務めるオリジナルドラマ『共演NG』(テレビ東京系 毎週月曜22:00~)が現在放送されている。弱小テレビ局・テレビ東洋……通称・テレ東を舞台にした同作は、25年前に破局して以来“共演NG”となっている、元恋人同士の実力派大物俳優・遠山英二(中井貴一)と、人気女優・大園瞳(鈴木京香)が大型連続ドラマ『殺したいほど愛してる』で共演する様子を描いていく。第4話まで放送され、「ネットもテレ東」(テレビ東京HP、TVer、GYAO!、ニコニコチャンネル)での特別配信、Paravi&ひかりTVでの過去回配信、地上波での再放送も予定している。

劇中では各事務所やテレビ局側のキャラクターも数多く存在するが、遠山英二が所属する芸能事務所・マーク企画の人間として登場するのが、事務所社長のマーク野本(リリー・フランキー)、そして付き人の前島豊(小野塚勇人)だ。英二に憧れているものの失敗ばかりな役者志望の豊を、実際に役者として活躍する劇団EXILEの小野塚が演じている。今回は小野塚にインタビューし、作品の面白さや、意外な共演NG人物についても話を聞いた。

  • ドラマ『共演NG』に出演する小野塚勇人

    小野塚勇人 撮影:宮田浩史

■特撮俳優対2.5次元俳優にも注目

――『共演NG』というドラマの企画を聞いた時の感想はいかがでしたか?

企画が秋元さん、監督が大根さんで、中井さん鈴木さんという、そうそうたるキャストがいて、みなさんの名前を見るだけでわくわくしました。さらに、テレビドラマの裏側を物語にするという意外性があったので、作品に参加できるのが嬉しかったです。

――付き人役ということで、周囲の方など参考にしたことはありましたか?

付き人というよりも、天然ぽくてちょっとずれているところを意識しました。少し前まで自衛官をしていて、マーク企画という事務所に拾われて、役者を目指しているという、ほぼほぼ素人みたいなキャラクターだったので、あまり「業界人」を演じるという意識はなかったですね。基本的には、狙っていない感じ。普通に言っていることが人とずれている、という部分に面白さが生まれると思いました。

――第1話の後には「個人的には特撮俳優対2.5次元俳優のバトル。何故か他人事ではないと思ってしまいました。」というツイートもされていましたが…。

僕も特撮(『仮面ライダーエグゼイド』)に出ていましたし、2.5次元俳優さんと仕事することもあるので、反応してしまいました。「キャラ、かぶってるかなあ?」とも思いましたし(笑)。「特撮 VS 2.5次元」という構図に対して、秋元さんと大根さんが「ここまで手を届かせてるのか」という驚きと、「そういう風にも見えてるんだ」いう驚きが両方ありました。僕としては、仲良くいいものを作っていければいいと思います。今回2.5次元俳優役として出演されている小澤廉さんの演技も素敵だなと思うし、セリフに遊び心があって現場でも笑っちゃいました。

――テレビ東京さんのドラマへの出演としては、2019年放送の『特命刑事 カクホの女2』で爆弾入り小籠包を食べて殉職されて以来となりますね。

殉職して天国に行って、輪廻転生して豊としてテレビ東京さんに帰ってきました(笑)。『カクホの女』の黒木は詰めが甘い感じ、『共演NG』豊はちょっと抜けてる感じのおバカさで違いがあるのかなと思っています。

――『カクホの女2』では制作サイドにも黒木が好評だったという話を聞いたことがあります。『仮面ライダーエグゼイド』では後から出番が増えたり、映画『jam』ではSABU監督が「現場でセリフを増やした」と言っていたりと、小野塚さんが撮影で人の心をつかんでいくことが多いのかな? と気になりまして。何か心がけていることなどはありますか?

ライダーの時は、とにかく最初に「12話までには死ぬ」と言われていたので、キャラを濃く作っていきたいという思いがありました。蹴り方も、自分が童心に返った時を考えて「こういうキャラがいたらかっこいいだろうな」と……ワンピースでいうなら、サンジみたいな感じで(笑)。黒木も「最後に死ぬ」ということは聞いていたので、麻生(祐未)さんに色々言われながらも、仕事での信頼関係はあるところを見せていければいいな、と思って演じていました。ストーリーの中で求められているところから目的や目標を立てるということは、いつも意識しています。自分がやりたいことと、ストーリーにおける目的がずれてしまうといけないので、そこは冷静に考えている自分がいます。

――そういうところが制作サイドの心をつかむのでしょうか?

もちろん、監督さんなどの好みもあると思うので、もしかしたら「もっとぐいぐい出して来いよ」という方もいるかもしれません。もし自分が主演だったら、アイディアを出してディスカッションもすると思うんですけど、例えば『jam』ではそのシーンを成立させるための居方を考えて演技していただけなので、それがSABUさんの中で良かったと思っていただけたり、誰かにハマった時に出番を増やしていただけたりするのは、とてもありがたいです。

■知り合い2人の恋愛事情を…

――今期は同じテレ東さんで、劇団EXILEの町田啓太さんが出演されている『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(『チェリまほ』)もすごく話題になっています。『共演NG』も視聴率が好調で、互いに「頑張っていこう」といった思いはありますか?

僕は赤楚(衛二 )くんとも仲が良いので、互いにテレ東さんのドラマに出ると知って「どこかで会うかもね」なんて話していました。実際撮影で会うことはなかったですけど、同じ時期に同じ局でドラマが放映されてて、『チェリまほ』も『共演NG』も話題になってて、いい関係性だなと思いました。僕も『チェリまほ』を見させていただいているんですが、今までBL作品をまったく見たことがなかったので、直属の先輩と仲の良い友達がチューするのかしないのか……というシーンを、家で1人で酒を飲みながら見て、楽しかったです(笑)。

――それは小野塚さんならではの視点ですね。

知り合い2人の恋愛事情を、12話見届けないといけない感じがあります(笑)。しっかり見させていただきたいですね。

――ちなみに、LDH内で“共演NG”という方はいますか? 一緒にお芝居するのはちょっと照れちゃう、とか。

え〜! どうしよう、あえて挙げるとしたら……劇団メンバーは、そういうところがあるかもしれないですね。誰だろう、(佐藤)寛太かな? ずっとしゃべっているから、集中したいシーンの前でも話しかけて来そうで、多分、自分のペースでお芝居できない(笑)。スタッフさんからも、ドラマの現場でもいつもの寛太の感じだと聞いているので。プライベートで会う分にはいいんですけど、例えばテレ東さんで、それこそ『チェリまほ』みたいな作品を俺と寛太でやった時に、直前までベチャベチャしゃべっている相手と、チューするかしないか、みたいな空気は出せなくなると思うんですよ! しゃべりすぎということで、共演NGとさせていただきたいです(笑)。

――ありがとうございます。それでは、最後に視聴者へのメッセージをいただけたら。

全6話なので展開は相当早いし、主演の2人だけじゃない「共演NGアベンジャーズ」や、山口紗弥加さんが演じられる強烈なキャラも見どころ満載です。ジェットコースターのようなスピードで、いい意味で予想を裏切ってくれると思います。見所がありすぎて、1時間しっかりとお腹を満たしてくれる作品なので、1話1話楽しんで、「自分も仕事をがんばろう」と元気になってもらえると嬉しいです。

■小野塚勇人
1993年6月29日生まれ。千葉県出身。2012年、舞台『あたっくNo.1』出演をきっかけに劇団EXILEに加入。『仮面ライダーエグゼイド』(16年)出演で話題を呼ぶ。主な出演作にドラマ『コンフィデンスマンJP』『妖怪! 百鬼夜高等学校』(18年)、『橋田壽賀子ドラマ 渡る世間は鬼ばかり 3時間スペシャル2019』『特命刑事 カクホの女2』(19年)、映画『HiGH&LOW』シリーズ(16年〜17年)、『恋のしずく』『jam』(18年)、『GOZEN -純恋の剣-』(19年)、『いけいけ! バカオンナ〜我が道を行け〜』(20年)、舞台『勇者のために鐘は鳴る』(20年)など。

シャツ:50,000 円(LITTLEBIG リトルビッグ/LITTLEBIG リトルビッグ)/シューズ:24,000円(Clarks クラークス/Clarks ORIGINALS クラークス オリジナルズ) /その他:スタイリスト私物