■3点要約
・「生かす」と「活かす」の意味はほぼ同じ
・「活かす」は常用漢字ではないため公的な文書では使用を避ける
・「経験をいかす」とする場合には「活かす」が一般的

「特技をいかす」「いかすも殺すも」。それぞれ「生」と「活」のどちらの漢字を使うべきか答えることはできますか? 改めて問われるとはっきり答えることができないという方も多いのではないでしょうか。

本記事では、「生かす」と「活かす」がそれぞれ持つ意味と、例文をあわせて解説します。

  • 「経験をいかす生かす」と「経験を活かす」はどっちが正しい?

生かすと活かすの違いとは

日本語では、読みは同じでも意味合いの違う漢字や言葉が多く存在します。「取る」と「撮る」など細かいニュアンスの違いや、「話す」と「離す」など漢字が違うだけで大きく意味合いの異なる言葉もあります。

では、「いかす」はどうでしょうか。いざ、「活かす」と「生かす」の違いを説明しようとするとなかなか難しいですよね。まずはそれぞれの意味を整理してみましょう。

「生かす」の意味

「生かす」の「生」には多くの意味や読み方がありますが、この場合は生命という意味合いを強く持ちます。生かすとは「命を生きながらえさせる」「死なないようにする」など、生命に関する場合によく使います。

さらに「活用する」という意味もあるので、「経験を生かす」や「特技を生かす」というように使うことができます。

「活かす」の意味

「活かす」の「活」は活躍の活です。快活や活発など、いきいきとしている様子をあらわすときに使用します。

また、活用するなど、持っている特性や能力についてあらわすときに使うことも多い傾向にあります。生かすと同様に「生命」をあらわす場合もあります。

しかし、命そのものよりも人が持つ特徴や物事が効果的に作用している場面をさすときなどに使うことが多いでしょう。

迷ったときはどちらを使ってもOK

このように漢字そのままの意味だけではなく、「生かす」でも「活躍」や「活用」、「活かす」でも「生命」という意味合いで使うことができます。実際に「いかす」で辞典で調べてみると「生かす・活かす」と並列で記載されていることが多くあります。

つまり、どちらを使用しているから間違っているということはないのです。

どうしても迷ったら言い換えを検討しよう

どちらも意味に大きな違いはないと聞くと、正解がなく不安に思ってしまう方も多いかもしれません。迷ったときはどちらかにこだわることなく、「いかす」「いかして」と平仮名に変えて書いてもいいでしょう。

または「活かす」の代わりに「利用する」や「活用する」、「生かす」の代用として「回復する」など他に適した言葉がないか探してみましょう。

  • 「活かす」と「生かす」。どちらを使っても大丈夫です

「活かす」は常用漢字ではない

「生かす」と「活かす」、それぞれの持つ意味に大きな違いがないことがわかりました。そのためどちらを使用しても問題はないのですが、文字として文書に残る場合はひとつ注意しておかなければならないことがあります。

実は、「活かす」の「活」は常用漢字ではありません。そのため、公的な文書では使用を避けなればならないのです。

常用漢字とは

そもそも、常用漢字とは一体なんなのでしょうか。常用漢字とは、社会生活で国語を書きあらわす場合に使用する漢字の範囲を「目安」として示しているものです。 具体的にいうと、法令や公用文書、新聞や雑誌、放送などで使用できる漢字のことです。

あくまで「目安」であり、常用漢字から外れたものがすべて間違っているというわけではありません。

公的文書では「生かす」「いかす」を使おう

常用漢字表では「活かす」の「活」という漢字は用いられていません。そのため、公的文書では使用を避けたほうがいいでしょう。

では、公的文書の場合「いかす」をどのように表記すればいいのでしょうか。「生かす」の「生」という漢字は常用漢字のひとつです。公的文書では「生かす」を使うのがいいでしょう。もちろん、「いかす」と平仮名で書くのもおすすめです。