フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)。11日に放送された『禍の中で この街は 前編~新宿二丁目 コンチママの苦悩~』では、新型コロナウイルスに襲われた新宿二丁目のショーパブを経営するコンチママ(72)や仲間たちの奮闘を追った。
密着したのは、2年前にもコンチママを取材した宮井優ディレクター。それから状況が一変し、世間に“不要不急”という目で見られることになった人たちの生き様を、どのように見たのか。18日に後編が放送されるのを前に、話を聞いた――。
■ドライ&温かさの両面を持つコンチママ
コンチママが経営する「白い部屋」は、二丁目で50年以上続く老舗のショーパブだ。しかし、新型コロナで3カ月にわたり休業。その間、店の収入は途絶え、月に130万円の固定費が重くのしかかり、赤字は膨らみ続ける状況に。コンチママは店の存続をかけて金策に奔走するが、長年、店を支えて来たベテランキャストたちが将来の不安を抱え、店を離れることを決意することになった。
そんなコンチママの印象を「経営者としてずっとお店を続けてきたという意味でシビアな面がありつつ、人情味もあって世話焼きな部分がありますね。ドライと温かさの両面を持っている方だと思います」と語る宮井D。
前編では、YouTuberをキャストにスカウトするなど、72歳ながら最新の情報収集に余念がない姿も見せていたが、「やっぱりショーをするというのは、今のトレンドを追わないといけないようです。振り付けの安河内さんと最新のポップスを聴いて曲選びをするシーンもありましたし、コンチママ自身がショー好きなので、いつも舞台を見に行ってますし、アンテナを張っている感じはありますね」とのこと。見た目も、72歳とは思えない若さだ。
■本音や弱音を吐く姿も映し出す
宮井Dがコンチママに出会ったのは、2年前に『ザ・ノンフィクション』で放送された『切なさに生きて…2丁目』(18年8月26日放送)。「白い部屋」をテレビ番組が初めて取材することに成功した作品だったが、「そのときは、あまり踏み込めなかったんです。それは、テレビの取材を初めて受けるということで、ママたちがどう“料理”されるんだろうと構えてしまったのもあって、ある意味営業的な話に終始してしまったという反省がありました」と振り返る。
だが、それを放送して信頼を得たことで、今回は精神的な距離感をより近づけて取材できるように。コロナという状況下で、本音や弱音を吐く部分も映し出している。
その背景としては、「お店をどうするかと迷っている中で、取材を受けることで1つのカンフル剤にするという思いもあったのではないかと思います。だから、“さらけ出す”という覚悟を持って、僕らに見せてくれたという印象があります」とも推測。
それでも、ベテランキャストのかんたさんがコロナに感染し、再び営業休止に追い込まれるというピンチに陥ると、コンチママに連絡してから返信があるまで、4日の時間を要した。
「現状について話さなきゃいけないと思いながら、混乱している中でやっぱり人前に出るときはある程度考えがまとまってないといけないという気持ちの揺れが、返信までの時間の“ラグ”で感じ取ることができました」と、精神的なダメージは相当大きかったようだ。