2020年10月17日(土)、舞浜アンフィシアターにて『P's LIVE! -Boys Side-』が開催された。P's LIVE!とは、ポニーキャニオン所属の声優アーティストや関連作品発の声優ユニットが出演するライブイベントで、男性アーティストによるP's LIVE!は今回が初めての開催となる。

午後5時に開演されたライブは、インターバル休憩をはさみ3時間半を超える長丁場となった。総勢19名の出演者によって全30曲が披露され、初の試みであった『P's LIVE! -Boys Side-』は大盛況のうちに幕を閉じた。

なお本ライブはCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)に対する感染予防と流行拡大防止のため、会場内の座席を50%以下に間引いて実施。来場者に検温や靴底消毒、マスク&フェイスガードの着用を義務付けたうえ、MC中には扉を開放して換気をするなどの対策が行われた。一方で出演者も事前にPCR検査を受診しており、バックステージはもちろんパフォーマンス中もできる限り密を避けるなど、コロナ禍における有人ライブとしてはできうる限りの措置がなされているのが特徴だ。

●男性アーティストによる初のP's LIVE!

多くの来場者と生配信視聴者が見守る中、『P's LIVE! -Boys Side-』がスタート。大型モニターにオープニング映像が映し出されると、スーツ姿で決めたOxTのふたりが登場。さらに「UNION」(TVアニメ『SSSS.GRIDMAN』のOP主題歌)のイントロが流れると19名の全出演者が登場し、全員での大合唱という形でライブの幕が上がった。

「UNION」の後、間髪を入れずにOxTのステージ。「Go EXCEED!!」、「ゴールデンアフタースクール」といったTVアニメ『ダイヤのA』関連楽曲に加え、GRANRODEOの「変幻自在のマジカルスター」(TVアニメ『黒子のバスケ』OP主題歌)をカバーするというサプライズも。力強いTom-H@ckのギターサウンドと青春感溢れるオーイシのボーカルで、会場のボルテージは一気に最高潮に。

  • OxT

続いて登場したのはTVアニメ『美男高校地球防衛部HAPPY KISS!』の声優ユニット・地球防衛部HKの5人(下鶴直幸、小俣凌雅、石井孝英、安田陸矢、葉山翔太)。作中と同じ変身コスチューム姿でOP主題歌「絶対最幸☆HAPPY KISS☆」と劇中歌「HAPPY READY?????」を熱唱。フレッシュさと可愛らしさ全開のパフォーマンスで、会場にHAPPYを振りまいた。

  • 地球防衛部HK

ここでソロアーティストの一番手として、大人っぽい黒シャツでキメた土岐隼一が登場。9月にリリースされたばかりの最新ミニアルバムから「True Gazer」、「Adolescence」を披露し、さらにデビュー曲「約束のOverture」を情感たっぷりに歌い上げた。最後は「KEY」で締めくくり、4曲を使ってアーティストとしての世界観をしっかりと表現。ペンライトを使った観客とのコールアンドレスポンスを楽しむなど、初の大舞台にもまったく動じず、終始にこやかで優しげな表情だった。

  • 土岐隼一

エモーショナルな土岐のステージから一転、ここから怒涛の作品ステージに入っていく。TVアニメ『SSSS.GRIDMAN』で主人公を演じた広瀬裕也が真紅のジャケットをまとって登場し、キャラクターソングシリーズから「ONLY I CAN」を披露。その後は特別コラボレーションとしTom-H@ckを呼び込み、本作品の原点でもある『電光超人グリッドマン』(1993年放送の特撮シリーズ)のOPテーマ「夢のヒーロー」を歌唱。赤ジャケットにふさわしいアツいボーカルで大いに観客を沸かせた。

  • 広瀬裕也

  • 広瀬裕也 ✕ Tom-H@ck

そして第1部のクライマックスを任されたのは、パラパラ×ホストの音楽エンターテイメントコンテンツ『パラホス』。メインキャラクターを演じるキャスト3人(住谷哲栄、清家光亮、小林聡)によるメドレー「パラホススペシャルMEGA-MIX」は、6人のダンサーを引き連れた圧巻のパラパラダンスパフォーマンス。1980年後半のパラパラ全盛期へとタイムスリップしたかのようで、キレッキレのダンスと音楽に会場は大盛り上がりとなった。

  • パラホス

締めくくりはトークコーナー。オーイシマサヨシ、小俣凌雅(地球防衛部HK)、土岐隼一、広瀬裕也、住谷哲栄(パラホス)、濱野大輝(Reflap)、下野紘、福山潤の8名が登壇し、ホストに選ばれた広瀬の答えをみんなで当てる「答えを合わせろ シンクロチャレンジ」に挑戦。正解を狙わずボケ続ける福山やオーイシと、それをなんとかまとめようとする下野など、トークスキルの高い8人だけに、和気あいあいで笑いの絶えない時間となった。

15分のインターバル休憩を挟んだのちに第2部のスタート。トップバッターを務めたのは、バーチャルアイドル7人によるYouTubeオーディション番組『ReFlap』のキャスト6人(生田鷹司、松岡侑李、佐香智久、濱野大輝、石井孝英、熊谷健太郎)。シンガーソングライターや俳優など、バラエティ豊かなバックボーンを持つキャストたちなだけに、ステージでもそれぞれの個性が爆発。キャストによるステージは今回が初めてだが、「Entertain」、「Believers」、「Start over」の3曲を熱唱し、高い音楽性と歌唱力もあいまって大きな存在感を示した。

  • ReFlap

続いてはスカジャン姿の下野紘が登場。デビュー曲「リアル-REAL-」と、続く「WE GO!-On Your Mark-」では先ほどのトークパートで見せたコミカルな下野紘とはまったく違うクールな表情。さらに最新シングルの「Soul Flag」では福山潤、土岐隼一も参加してのコラボレーション歌唱。ポニーキャニオンに所属する男性声優アーティストの3者が同じステージで並んで歌うという、P's LIVE!ならではの光景が実現した。再びソロに戻った下野は、笑顔で「Running High」、「Pleasure」を熱唱。人前で歌えることの喜びをなんども叫んだ下野だけに、感情の大爆発したステージとなった。

  • 下野紘

  • 下野紘 ✕ 福山潤 ✕ 土岐隼一

ライブはいよいよ佳境へと突入。続くステージは福山潤が4人のダンサーを従えて登場し、最新アルバム収録の「展望録」、さらに1stシングル「KEEP GOING ON!」と本格的なダンスを見せつけ、スタイリッシュなステージングで観客を魅了する。しかしダンサーが消えてひとりになって歌った「Breaking Dawn」では急にコミカルな小芝居を始めるなど、強烈なギャップを発揮。最後は再びダンサーとともに最新シングル「パース・オブ・パーソンズ」をエネルギッシュに歌い上げた。MCでは持ち前のマシンガントークが炸裂、大声で笑えない観客にとっては、笑い声を抑えるのが大変だったかもしれない。

ライブの大トリを務めるのは"アニソン界のおしゃべりクソメガネ"ことオーイシマサヨシ。「世界が君を必要とする時が来たんだ」(TVアニメ『トミカ絆合体 アースグランナー』OP主題歌)を歌うと、続いて生田鷹司を呼び込み、「地縛少年バンド」として「No.7」(TVアニメ『地縛少年花子くん』OP主題歌)を熱唱。Wボーカルによる迫力の高速掛け合いで観客を唸らせた。さらに土岐隼一と熊谷健太郎が参入し、3人が参加している『A3!(エースリー)』のOP主題歌「MANKAI☆開花宣言」をコラボレーション歌唱。ソロに戻ったオーイシは続けて「キンカンのうた2020」をテレビCMでおなじみのダンス振り付けで披露。最後には実物のキンカンを自分の首筋に塗るパフォーマンスも見せた。そしてラストソングは「君じゃなきゃダメみたい」。圧巻の歌唱力で、3時間半に及ぶライブの最後を締めくくった。

  • オーイシマサヨシ

  • 地縛少年バンド

  • オーイシマサヨシ ✕ 土岐隼一 ✕ 熊谷健太郎

ここで19名の出演者が登壇してEDトーク。全員での記念写真撮影をして『P's LIVE! -Boys Side-』は幕を下ろした。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)対策のため、声を出しての応援ができないなかで、拍手やペンライトを使って精一杯に感情を表現する観客と、人前で歌える喜びを噛み締めつつその想いに応えようとする出演者。お互いにとって貴重で、喜びにあふれた時間だったことは間違いなく、あらためてライブエンターテイメントの素晴らしさを感じさせるイベントとなった。

なお、「P's LIVE! -Boys Side-」のBlu-ray&DVDが、2021年3月24日にリリースされるので、こちらもチェックしておきたい。詳細は公式サイトにて。